ジャガイモの実とムカゴ

ジャガイモの繁殖法は 他の芋類と同様に、栄養繁殖である 種芋による方法です。ところが 4年前に 庭の畑に 実が成り 更にムカゴまで付けるジャガイモが現れました。それも 1株だけでは無く 一緒に植えた3株も 同時になったのです。此れ等の芋は 私が植え付けたのではなく、別の人が植え付けたまま放置した株で、それを私が周囲の草取りだけして 手を付けずに 観察していた株です。

f:id:tanemakijiisan:20230829091338j:image19年5月には、この様に 普通に 花が咲き始めました。花は 普通に見られる現象ですが、花の後に果実が出来ました。

f:id:tanemakijiisan:20230829091516j:imagef:id:tanemakijiisan:20230829091455j:imageこの様なトマトに良く似た実が出来ました。でも この後 暑さで株が枯れて、種子は採れませんでした。

f:id:tanemakijiisan:20230829091115j:image葉が枯れてしまった後の 葉の付け根の茎に ムカゴが出来ていました。地際のムカゴからは 新芽が出ています。このムカゴは 茎が枯れてから採取し、プランターの土に生けておきました。翌年には 大小の沢山の芽が出て来ました。でも 花を付けた株は 1つも有りませんでした。ムカゴを付けた株も有りませんでした。前年に実を付けて ムカゴを付けた親株は、次の年は 小さな株になって 全ての親株は、そのまま消えてしまいました。実を付けたり ムカゴを作ったりした株は、繁殖を終えたものとして、地中には芋を殆ど作らずに 消滅してしまうのでしょう。ジャガイモは 地上に出来るムカゴと同じ様に 地中にも木子を作る機能を持っていて、その地中の木子だけを大きくする様に進化したのでしょう。此れ等の芋は 以前の形質を現す、先祖返りをしたのでしょう。

小さなムカゴからは1年では、大きな芋には成りません。今年は ようやく普通の大きさの芋が出来ました。

f:id:tanemakijiisan:20230917094834j:image此れ等の芋は 地表に掘り上げたものではありません。地表に分厚く枯葉が敷き詰められていたので、その中に芋が出来ていたのです。これはその枯葉を 取り除いた状態です。調べた後に また元通り枯葉を5cm程被せて置きました。この大きさの芋であれば、来年には 花が咲いてくれるのではと期待しています。

普通のジャガイモが 何故突然実を付けたり ムカゴを作ったりしたのでしょうか。1株だけの現象ではなく 3株も同時に現れるのは、偶然の事象とは考えられません。この現象を引き起こす 何らかの原因が有る筈です。その原因が何なのか、とても気になり 現在調べているところです。

ジャガイモが 何故 突然実を付け ムカゴを付けたのかを考える時、逆に 普通に栽培しているジャガイモが、花が咲くのに 何故 実が成らず ムカゴを作らないのかを考えると、その理由が 判ると思いました。普通のジャガイモが 実とムカゴを付けない原因は、種芋の植え付け方に有るのではと思いました。種芋は植え付ける時、其々に芽を持った2個か3個に切り分けます。その大きさは 根が十分機能する迄の間、茎の生育に必要な養分を供給出来る大きさにします。こうする事によって 生育期間を 複数年から、半年に短縮する事が出来ます。注目したいのは この切り分ける操作です。切り分けずに 始めから必要な大きさの芋を使えば、手間がかからずに楽な筈ですが、それなのに わざわざ切り分ける方を選んでいます。この切り分ける操作が、芋の経過年数を初期化して、実を成らせたりムカゴを作る繁殖機能を、働かない様にしているのではと考えました。

樹木等の場合は、実を良く付けていた木の枝を 挿木すると、挿し木した枝は 実生からの十分な経過年数が経っていても、挿し木から暫く年数が経過して 木が大きくならないと 実を付ける様になりません。これは 枝が親木から切り離された事により、枝の経過年数が初期化されてしまい、種子を作るのに必要な経過年数が足りなくなり、繁殖機能が 抑えられる為と考えられています。この機能は 宿根草にも見られ、大きい個体から挿し木したり 株分けした小さな個体は、暫く経って 大きく成らないと 花を咲かせたり 実を成らせたりする事が出来ません。

ジャガイモにも この機能が有るかを確認する為には、切断されていない種芋を 前年から植え付けておいて、それを観察する必要が有ったのです。小さいムカゴでは 2,3年して芋が大きく成らないと、花は付けない様なので、今年やっとその大きさの芋になりました。芋を掘り出して別の環境で保存する事も、初期化の原因になり得ると考え、芋の周りの土は触っても 芋には全くな触れない様にしたのです。この芋が 来年実やムカゴを付けなければ、また別の原因を探がそうと思っています。でももし 花が咲いて実が成ったとしても、この暑さでは 何処か涼しい所に移さなければ、種子が出来る迄 葉や茎は持たず、枯れてしまうと思います。でも 小さいムカゴの方は 出来ると思います。

もし この仮説が正しければ、他の芋類では どうなるのでしょうか。他の芋類で 容易に種子で繁殖する物は、ヤマイモだけです。

ヤマイモは 栄養繁殖のムカゴによる方法が 主な繁殖法です。ムカゴは 株が古くなった時、蔓の細い部分に出来ます。野生なので 経過年数の初期化を起こす事象は有りませんので、そのままの年数で 種子もムカゴも作る様になります。因みに ヤマイモは、雌雄別株の芋です。

サツマイモは 稀にアサガオに似た花を咲かせますが、種子が出来た話は聞いた事が有りません。サツマイモは 挿し木による繁殖法になり、これで 経過年数が 挿し木による初期化がされて、花が咲かない様になるのでしょう。

サトイモは 木子を株分けして 種芋として使っていて、その株分けが 経過年数の初期化になっているのでしょう。

コンニャクイモは 晩秋に掘り上げて、春に植え付ける操作を繰り返して 大きくしています。この植え替えが、経過年数の初期化になっているのかも知れません。植えたままにしても 余程大きくならないと 花は咲かない様です。咲いたとしても マムシソウの様に、芋が小さい時は 雄花を咲かせ 大きくなると 雌花を咲かせると思います。20年以上前から 庭に植えて有るのですが、日当たりが悪いせいか 中々大きくなってくれません。