サンショウは 雌雄別株の植物で、雌花と雄花が別々の株に付きますが、稀に 雌しべと雄しべの両方が 一つの花の中に有る両性花が出来る事が有ります。我が家の庭に 雄株に雄花に混じって 両性花が有る事を確認したサンショウが有り、この株を その採取地から「アシガラサンショウ」と名付けました。この株の両性花を確認してから、もう10年以上になります。この株の両性花の着き方には 年や 枝によって、かなりの偏りが見られる事がわかって来ました。年による偏りから見れば、今年は両性花の当たり年と言えそうです。枝による偏りは 結果枝の新芽毎の偏りの様で、隣り合う新芽でも 両性花の割合は 全く違っています。両性花は 不完全な物が殆どで 通年で見れば 不完全な物も含め 両性花は1割以下の様に見えます。完全な両性花は 中央の子房が丸く はっきりしていて、子房の先に柱頭が真っ直ぐ伸びていて、そのまま実になる事が多い様です。不完全な両性花は 子房が小さく、柱頭が短く 且つ曲がっていて、殆ど実に成る事は有りません。
枝変わり
果物や花卉の樹木では、稀に新芽が突然変異を起こして 元の株とは違った形質を現す枝が出来る事が有ります。この枝を切り取って 接木や挿し木によって、新しい品種の樹木を作る「枝変わり」と言う手法が有ります。
このサンショウの場合 両性花は特定の枝だけに付くのではなく、木全体のあちこちに 両性花が付く形質で、その着き方が 年や場所によって変化しているので、通常の「枝変わり」とは違っています。通常の枝変わりでは、枝変わりした枝が 成長枝となりますが、サンショウの場合は 結果枝は 普通は成長枝にはなりません。ですから サンショウは 両性花をとても多く付ける枝が有ったとしても、その枝が伸びて広がる事は無いのです。でも その結果枝を敢えて挿し木して 無理に成長させれば、通常の「枝変わり」の様に その形質が 育った木全体に現れるかも知れませんので、一度 その様な枝を 挿し木して 試してみる事にしました。幸い今年は 両性花が多いので、両性花が纏まっている枝が かなり見られるので、その内の 7,8割が両性花を付けた結果枝 2本を切り取って 挿し木にしておきました。
両性花の多い花房です。この短い結果枝は、成長枝と違い 通常は挿し木には使いません。でも 挿し木が不可能と言う訳では無く、挿し木後に 新たに成長枝の芽を作るので その分成長が遅くなります。通常 挿し木した苗は 2,3年は 花は付きませんので、両性花が木全体に多く付くかは 4,5年経たないと分かりません。また 木全体に両性花が多くなったとしても、それが 年によってバラツキが出る時は、枝変わりの効果とは 評価出来ません。
これ迄は 全部の花が両性花になる株を作る方法として、その種子を採って播く手法を採用して来ましたが、これとは別に「枝変わり」の手法が使えるかやってみるつもりです。もし 木全体に両性花が多く付く形質になれば、今度は その種子を使って 木全体の花が両性花になる株を作るつもりです。もしそれが出来れば、不完全な両性花の割合が低くなる事も期待出来ます。