オニユリ No405

先日 買い物帰りの国道脇の岩盤壁の上部の カヤや雑草の中に、オニユリが咲いているのを見付けました。多分 以前からそこに生えていたのでしょうが、周りの雑草が多い事や 歩く視線のかなり上にあったので、良く歩いている道なのに 気付く事が出来なかったのでしょう。その上 この付近には ノカンゾウも多く 花期も色も似ているので、無意識にノカンゾウと決め付けていたのかも知れません。周りを良く調べてみると 1.5m程離れた所にも、別の2株がくっ付いて 咲いていました。最近 オニユリを見かけなくなった様に感じていて、まさか家の近くで オニユリが自生しているとは思わなかったので 、 これを見た時には とても意外でした。

私は 子供の頃は ユリと言えば 身近に接していたヤマユリで、大人になってからは 地元に無い ササユリに興味を持ちました。オニユリの事は 知ってはいましたが、育てたり 調べる事は有りませんでした。でも ヤマユリやササユリが 温暖化で減り始めているのが分かってから、オニユリでは どうなっているのかと 少し気になっていました。

f:id:tanemakijiisan:20260716153542j:image オニユリは 河原や開けた 痩せた草丈の低い草原に見られるユリで、繁殖力のとても強いユリの様で その繁殖力の強さは、痩せ地でも良く育ち 大量のムカゴを作れる事に寄る様です。この繁殖力の強さと 耐暑性の強さとは 関連性は無く、最近 オニユリを見かけなくなったのは ヤマユリと同様に 温暖化に弱いのかも知れません。

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殆どの葉の付け根に 黒い艶のあるムカゴが付いています。種子に比べた ムカゴの利点は 大きな株に育つ確率が高い事なのですが、欠点は 数を種子程多く出来ない事と 遠くへ撒けない事ですが、それ等よりもっと重大な欠点は クローンなので 形質の変異が現れない事です。これは 現在起きている温暖化に対して 致命的な欠点になり、この変化に有利な変異をする株が 現れて来ないのです。オニユリは ヤマユリ程 温暖化には弱くはない様ですが、それでも テッポウユリやタカサゴユリの様な強い耐暑性は 持っていないのでしょう。その為 最近の著しい温暖化で、個体数を減らしているのではと思います。

 

ユリ葉にカビのキノコ No404

サクユリのシントシマの発芽2年目の1枚葉の苗に、カビの様な 白くて細い小さなキノコ状の物が現れました。

この苗は 去年の秋に 知り合いの園芸業者の方から、シントシマの発芽1年目の2mm程の小さな球根を 3個分けて頂いた株です。ヤマユリに近いサクユリは どれくらいの耐暑性を持ち、気候の温暖化の影響を どれくらい受けているのかを調べたかったからです。ユリ専用の鉢に植えた3株は 4月に元気良く1枚葉を出して来ましたが、暑さには 強くない様で 夏にはしっかりと日陰を作るヤマブドウの葉が 未だ茂っていなかったので、強い直射日光を受けると 2株が 5月と6月に枯れてしまいました。

残った1株は 葉に濃い緑色を保って 元気なのですが、6月下旬に 株とその周りの物に カビのキノコの様な物が生えて来ました。

f:id:tanemakijiisan:20260709105003j:image この小さいキノコの様な物は 特別珍しい物では無く、乾燥防止用に鉢に敷き詰めている小枝のチップや落ち葉に 良く生えて来る物です。気になる事は このカビの様な物が 表面だけに付いているのか 生体の内部に迄菌糸の様な物を伸ばしているのかです。発生場所を良く見ると 枯れた小枝のチップが主なのですが、全てのチップに生えるでも無く 特定のチップでも無く、鉢のプラスチックの壁面や 生きたユリの葉面にも見られ、規則性は殆ど無い様に見られます。ただ 物体の尖った稜線部分に多く現れ 平面部では 列を成して生えている感じで、ユリの葉では 外周部だけに生えています。やはりカビの仲間なのでしょうか、暫くすると 茶色になって枯れて消えて行きます。これが 生きた植物に生えているのは、今迄見た事は有りません。

もし 生体内に菌糸の様な物を伸ばしているとしたら、外部のキノコの様な物は 消えても 内部の菌糸はそのまま生きている筈で、この菌の様な生き物とユリは共生関係に有るのでしょうか。

対処法

この事象に対する処置は 例えユリが枯れるとしても、何もせずに ただ見守るだけです。この栽培目的が 温暖化に耐えて 自生出来る株を作り出す事ですので、防除して強い耐暑性を持った株が出来ても この菌に弱い株では、自然界で 生き抜く事は出来ません。

サクユリの温暖化に強い株探し

もしこの苗が このカビの様な物の影響を 無事乗り切ったなら、これ迄は かなり強い日陰に置いてあったのですが もう少し日向に出して、耐暑性の強さを確認します。耐暑性が弱くても 日陰なら温暖化しても 花を咲かすだけならば出来るのですが、耐暑性の強い株を探し出して 温暖化対策株を作るには、花が咲いて 丈夫な種子が採れなくてはなりません。今年の4月5月は 晴れが続いて 気温も高くなったせいか、5月と6月に 1株づつ枯れてしまったのですが、残りの1株だけでも 耐暑性がどれくらいか 確認したいのです。仮に 残ったこの1株が かなり強い耐暑性を持っていれば、ヤマユリの耐暑性の強い株が現れる比率に比べ、かなり高い事になり 予想外の良い結果となります。多分 カビを乗り越えても 梅雨明け後の高温と日当たりの良さで、消えてしまうのではないかと予想しています。仮に 残ったとしても 今度は、耐暑性を持った株の花粉が 必要になります。

大島のサクユリ

6月中旬に 大島で、サクユリの去年の秋の花殻の中に 散り残った種子を見付け、胚の膨らみのしっかりした10粒を採取して 家に持ち帰って 播いておきました。その親株は 温暖化しても 平地に残った株ですので、ある程度の耐暑性を持っている事が予想されます。その種子が 来春に発芽すると思いますので、1株くらいは 耐暑性の強い株が現れるのではと 期待しています。運良く2株以上現れれば 交配して 種子を採り 温暖化に強い株を作り、元の自生地に戻せる可能性が出て来ます。もし 1株出来たとしても それに このシントシマを交配する事は出来ません。伊豆七島のサクユリは 島毎の固有種なので、温暖化に強い株が出来たとしても 絶滅が確認された時でないと 島には戻せないのです。

 

コノテガシワの花 No403

先日 近くのスーパーマーケットに行った帰り道で、道路脇のお宅の生垣のコノテガシワに 沢山の花が咲いているのを見かけました。コノテガシワは 名前にカシワと付いていますが、広葉落葉樹の柏の仲間では無く 針葉樹のヒノキの仲間で、葉が手の平を垂直に立てた様に見えるので この名が付いています。針葉樹なので 花と言っても雌花は “松ぼっくり“ で、雄花は小さな目立たない花です。種子を採取したり 播いた事は 有りませんので、詳しい形態は知りませんが 色々推察しながら、実が熟す迄観察をしてみようと思います。

f:id:tanemakijiisan:20260702133253j:image 5個着いている大きな実は 中に種子が出来る雌花で、中央の小さい花が雄花だと思います。写真を撮った日の3日前に見た時は、この雄花と思われる花から数本の雄しべらしい物が見られましたが、写真を撮る時には 無くなっていました。もし それが雄しべだったら 受粉は済んだのでしょう。雄しべよりもっと興味深いのは 雌花の柱頭に当たる部分で、一見直ぐそれと分かる部分は見当たりません。でも 受粉期であれば 花粉を受け取る部分が、形は違っても外に現れている筈です。このマツカサの様な物を良く見ると、鱗片の様な先端が 少し尖っていて 僅かに房状に見えました。花粉を受け取るとしたら その部分しか見当たりません。もしそうだとすると 鱗片の中を 花粉管が伸びて行き、中の子房に 花粉の核を届けているのでしょうか。

針葉樹のマツカサは、皆んなその様な受粉方法をのでしょうか。落ちているマツカサは 普段良く目にするのですが、木に着いている緑色のマツカサは 遥か高い所に有るので、どうやって受粉しているのか等は 考えた事は有りませんでした。梅雨の時期の水溜りの外周に 薄っすらと黄色の筋が出来るのは、マツの花粉によるものです。その時期のマツカサは 緑色の固く閉じた状態で、花粉を取り入れる隙間も見られません。1枚の鱗片の根元に 2個の子房が有る筈で、其処から トウモロコシの毛の様に 鱗片の中を通って先端に繋がっているのでしょうか。

このコノテガシワも もし上手く受粉出来ていたら、冬には種子が熟して 鱗片が開いて来る筈ですので、晩秋以降 マツカサを注意して見ておく様にします。

ユリの耐暑性の強い株作りの問題点 No402

ヤマユリの強い耐暑性を持った株作りで、温暖化対第2世代を育てていく過程で、これ迄の温暖化に強い株作りの進め方に、見込みの甘さが有った事が分かって来ました。

その問題点は 第2世代の発芽後2年目と3年目となる去年に 耐暑性の強い株を選別したのですが、選別してユリ専用の鉢に移植して 今年花が咲く大きさにななった株の中に、今年は 去年よりずっと涼しい6月だったのですが 下旬になると、下の葉の4,5枚が 黄ばんで来る株が 半数近く出て来ました。一昨年と去年の秋に選別した時点では、下の葉迄 全く枯れていない 強い耐暑性を持っていると思われる株を選んだつもりでしたが、選別基準か 選別時期に問題が有ったのか それとも選別後に耐暑性が変化したのか分かりませんが、耐暑性の強くない株が 混ざってしまいました。

f:id:tanemakijiisan:20260703152425j:image これは7月3日の状況ですが、大きく膨らんだ蕾を着けた4株は 下半分の葉が黄ばんでいます。これ等の株は ある程度の耐暑性は持っていますが、日照時間の長い場所での栽培は出来ませんので、温暖化対策株作りには使えません。中央から左斜め上に 大きく伸びている株は、今年は花を着けていませんが 葉は下迄 殆ど黄ばんでいません。中央上に 小さい蕾が見える2株は、蕾は未だ小さいですが 葉は下迄 全部黄ばんでいませんので、耐暑性は かなり強いと思われます。現在 葉が黄ばんでいる株は、蕾がこの程度の大きさの時には 既に葉が黄ばみ始めていましたので、この蕾が未だ小さい2株は これから葉が黄ばんで来る事は無いと思います。その他 未だ株が小さくて 花を着けない株の方は、1株を除いて 葉は全て元気な様に見えます。

これ等の株を育てたプランターの株は、既に全ての株を取り出して 選ばれなかった株は 全て処分してしまっていますので、元の集団から再度選別し直す事は出来ません。

耐暑性の判別法

耐暑性の選別に問題が有ったとすれば、判別に 次の様な問題点が考えられます。

ユリの耐暑性の強弱は、株の小さい内の方が はっきり現れると 思っていましたが、どうやら それは思い違いで 全くその逆の 大きくなってから 強弱が判明する事も有る様です。又 小さい株は 暑さに弱く 大きな株は 暑さに強いと 考えていたのですが、どうやら そうとも限らない様でした。ですから 耐暑性の強い株を選別する時期は、前回は 発芽後2年と3年で選別していたのですが、その選別時期を 発芽後3年と4年に 遅くした方が、確実性の高い選別が出来る様です。

又 成長が早い事と耐暑性の強さとは 関連が無い様なので、株の大きさは あまり重視しない方が良い様です。

更に 鉢に移植した後の株を見て 気付いた事ですが、花を着け始める迄の年数と 開花する時期が 耐暑性の強弱に関連が有る様な気がして来ました。花を着け始める迄の期間については、体が小さい内に 早く花が咲き始める株よりも、体が大きくなってから 遅く花が咲き始める株の方が 耐暑性が強い様に見えます。開花時期については、7月上旬に 早く開花する株よりも 7月下旬以降に開花する株の方が、耐暑性が強い様に見えます。この開花時期は 春の芽出しの時期と連動していて、早く芽を出す個体は 早く開花する傾向が見られます。即ち 耐暑性の強弱に関係するのは “成長の早遅“ や “株の大小“ では無く、“花を着け始める迄の期間の長短“ と “開花時期の早遅“ の方ではないかと言う気がして来ました。ただ これについては 本当に関連が有るのかどうか これから良く調べないと 未だ分かりません。もし それが関連が有るとすれば、選別要因に 花の咲き始める迄の期間も入れる事になるので、 選別時期が更に遅くなり 世代更新には 更にもっと年数が必要になります。

世代更新による耐暑性の変化

もう一つは 世代更新による 耐暑性の強さの進化の度合いです。普通のヤマユリ 即ち温暖化対策第0世代同士を掛け合わせた時に、耐暑性の強い株が現れる比率は  凡そ1%と見込んでいて、その比率には 自生状況から見ても 大きな間違いは無いと思います。その出現した耐暑性の強い株 即ち温暖化対策第1世代同士を掛け合わせて、次の世代の株を作った時 耐暑性の強い株を選別して 温暖化対策第2世代としました。この第2世代として 耐暑性の強い株が現れる比率は、これ迄2割から3割程になるだろうと考えていたのですが、その比率が かなり甘かったのかも知れません。この第2世代の株を 鉢に移植してみると、耐暑性が強いと思った株の 半数近くが 強い株でなかった事からすると、耐暑性の強い株同士を掛け合わせても 期待した程 耐暑性の強い株は 現れないのかも知れません。もしかすると その比率は 1割以下かも知れませんし、その耐暑性の強さ自体も 期待した程強くならず、第1世代よりも 僅かに強まっている程度かも知れません。

この状況は 第2世代株同士を掛け合わせて作った 第3世代についても、当然同じ事が言えると予想されます。

これが意味する事は 耐暑性の強い株同士を掛け合わせても、それから作られた次世代の株の集団は 期待通りの割合と強さにはならず、耐暑性は 僅かづつしか強化されて行ないのかも知れません。世代更新の時の 選別基準を厳しくしても、この傾向は あまり変わらないと思われます。つまり 耐暑性の強い集団を作る為に 必要な世代更新の回数は、3回程度では済まず 5,6回繰り返さないといけないのかも知れません。

耐暑性の強い株の作り方の正否

でも 世代更新と選別を繰り返す方法自体は、野性の本来持っている力を使って 耐暑性を高める方法として、間違ってはいなかったと思います。その証拠に ヤマユリが温暖化で 一旦は消えてしまった当地でも、日照の強い環境にしても この方法で 暑さに耐えられる株が 半数近く現れているからです。

しかし この手法が間違っていなくても、温暖化に耐えられる集団を 自生で復活させるには、これ迄考えていた 3世代 ,15年程度では無理で、30年くらいは必要なのかも知れません。でも 長く掛かるからと言って 諦めていては、絶滅を避ける活動の 手遅れになり兼ねません。

 

ネジバナの花 No401

6月16日に「ウケユリの播き床の芽 No397」で投稿した ネジバナが 綺麗に開花しました。野性のランの仲間で 花はとても小さいのですが、色や咲き方が とても可愛い草です。花は 名前の通り螺旋状についた 無限花序で、下から順次咲き上がって行きます。巻き方は 右巻きと左巻きの 両方が有ります。日当たりの良い 芝生の中に 良く見られます。

f:id:tanemakijiisan:20260630213936j:image ネジバナを 発芽から開花迄 通して観察した事は、今迄一度も有りませんでしたので 色々参考になります。発芽から3ヶ月程で こんなに早く花を咲かすとは 意外でした。

これから先は 種子の出来方と播き方、1年草か多年草か等を観察して行こうと思います。

残念ながら もうウケユリの発芽は、去年播いた種子も1本も発芽していませんので 諦めました。

サンショウの植物フェロモン No400

フェロモンとは

フェロモンは 虫や動物で 良く知られています。その定義は「社会生活を営む集団において、他の個体の行動を制御する “情報伝達物質“ 」となっています。この定義からすると この物質は 出している個体には 全く作用せず、その物質自体にも 個別に識別出来る標識を具えていて、受け取る個体側も その物質の “自他“ を識別する能力を持っていている事になります。具体的な事例を挙げて説明すると、アリの集団では 常に食物を探して歩き回っていますが、1匹が最初に大量の食物を見付けると、揮発性の液体を出しながら その食物を巣に運んで行きます。出した側の個体は 全くその物質に反応しませんが、他の個体がその足跡に出会い その物質を感知すると、その濃度が低くなる方向に 自然に体が動き出して、結果的に その食物に到達します。食物にたどり着くと その個体も その物質を出しながら、今度はその濃度の高くなる方向を感知し 先行する個体の跡を追って 食物を巣に運ぶのでしょう。これが “アリの行列“ で、食物以外にも 引っ越しや警戒にも使っている様です。この例では その物質の自他の判別だけで無く、微妙な濃度差迄 識別している事になります。フェロモンは それ自体が 他の個体を 直接動かしているのでは無く、受け取った個体が 自ら動く様な 情報を与えているだけなのです。

これに似た物質に ホルモンが有りますが、こちらは “自他“ の区別は無く 自身の各臓器の働きを制御する情報伝達物質です。

植物フェロモン

植物にも このフェロモンと同じ働きをする物質が有り、それを “植物フェロモン“ と呼んでいます。植物は 社会生活では無く、群生や密植の状況を指すのです。私の経験で それをはっきり認識出来た事例が サンショウなのです。

サンショウの事例

サンショウのこの働きに気付いたきっかけは、サンショウの発芽実験をしていた時です。サンショウの種子は 表面の艶のある黒い薄皮の下に、薄い茶色の油脂層が有り その油脂層を取り除かないと 発芽出来ません。これは 親株の近くで 発芽する事を防ぐ為と考えられ、油脂層を取り除いておけば とても高い発芽率で 発芽します。そこで サンショウをモヤシの様に 発芽させて 出来た新苗を収穫して、佃煮や香り付けの添え物に使ってみようとしました。その発芽処理を施した沢山の種子を、深いプランターの底に薄く土を入れて 播いておきました。すると 沢山の苗が底いっぱいに生えて来て、本葉が3枚になった頃に 刈り取ろうとしていたところ、突然葉が黄ばんで来て 1週間程で全部が枯れてしまいました。その枯れた原因は 色々と考えたのですが、株の相互作用である 植物フェロモンとしか考えられません。

そこで 翌年に サンショウの種子を 浅い発泡スチロールの箱に、土を縁いっぱい迄入れて 適当な密度で播いてみました。同時に その箱に隣接させた10cm程の鉢に 種子を播いておき、更に同じ条件の鉢を 2m程離れた場所に 3鉢置いておきました。これ等のサンショウの苗は 本葉3枚になっても枯れませんでした。ところが 30cm程に伸びた時 台風の風で 苗が大きく揺れて 葉が擦れ合う状況になり、その後 箱と隣接した鉢の苗は 葉が黄ばんで 全て枯れてしまいました。離して置いた鉢の苗は 枯れませんでした。

この出来事と実験から推察出来る事は、この物質は 空気より重い気体の植物フェロモンで、葉が擦れ合うと放出され 深い容器では 底に溜まって、その気体を吸収した個体は 何等かの方法で 自らを枯らす行為に出る様です。気体が滞留しない容器では 葉が強く擦れ合う様な強い刺激を受けた時に、大量に放出して 近くの個体が反応しているのでしょう。

この実験の3年後に、毎年実を採取している 大きなサンショウの雌株の下に植えてあった、やっと実が成り始めた小さい雌株が、5月頃に急に葉が黄ばんで来て 1週間程で枯れてしまいました。

更に 今年の春に 庭に鳥が種子を播いて 生えて来た2本のサンショウの内の1本が、突然枯れてしまいました。その2本は 60cm程離れて生えていたのですが、最近葉が接触するぐらい 枝が伸びていました。

f:id:tanemakijiisan:20260622213043j:image 中央少し左奥から伸びている株が 枯れてしまったサンショウで、右手前から中央上に伸びている株が、残ったサンショウです。発芽した年も大きさもほぼ同じなのですが、何故か手前の家側が残り 外側が枯れたのです。

サンショウのフェロモンの目的

これ等のサンショウの枯れた原因は、やはり植物フェロモンと思われます。同じ大きさであれば 両方が枯れる事が多く、株に大小があれば 小さい方が枯れ、上下があれば 下の方が枯れる様です。サンショウの場合 これ等の例からも その目的は、やはり自身の近くに 競争相手が育つ事を防ぐ為なのでしょう。

意外な事例

我が家で最も大きい アシガラサンショウの株に、根元近くの根から芽を出したヒコバエが有ります。サンショウのヒコバエは とても珍しい現象で、私はこれ迄この他には 一度も見た事は有りません。そのサンショウのヒコバエが、この春突然枯れてしまいました。確かに 親株の下になっているのですが、同じ株なので 親株が植物フェロモンを出していても、ヒコバエは反応しない筈だと 安心していたのですが、枯れてしまいました。サンショウは 本来ヒコバエを作らないのに 生えて来たのは 枝変わりの様な変化を起こした為で、その変化が 親株のフェロモンに反応してしまったのかも知れません。

次に起こるであろう事例の予測

アシガラサンショウの種子は 毎年播いているのですが、去年 発泡スチロールの箱に播いた種子が 4本出て来ていて、その大きさに かなりのバラツキが生じています。これを移植せずこのまま放置すると 植物フェロモンによって、今夏又は来年には 30cm程に伸びた大きい1株を残して 他は枯れると予想されますので、その現象が起きるかどうか 観察してみようと思います。

 

大島のサクユリ観察 No399

6月17日と18日に、以前から気になっていた 大島のサクユリを 見に行って来ました。サクユリは ヤマユリの変種とされていて、伊豆諸島の各島に 其々の島固有の種が自生しているそうで、ヤマユリとよく似ていますが 草姿も花も ヤマユリより 一回り大きなユリです。ヤマユリに近いと言う事と ヤマユリに比べると 自生地がとても狭い事で、気候の温暖化による減少 更には 消滅の危機に有るのでは無いかと 気になっていたのです。それ等の島の中で 大島が最も近くて 行き易いので、大島に行って 現状を観察してみる事にしたのです。

観察地

島でサクユリを案内して頂いた地元の人の話では、「子供の頃は 身近な所でも 良く見られましたが、現在は 三原山の頂上の火口原に 群生が見られますが、麓の平地では 疎に見られるだけになってしまいました」との事で、その火口原の群生地でも 数が減少して来ているそうです。その方も 株の減少をとても心配されておられて、その保護活動をされていました。

私は 頂上付近の群生地の花では無く 平地に僅かに残った株を見た方が、温暖化による株の減少の状況が 良く分かる筈だと思いました。それならば 暑くなる前の 未だ花の咲いていない この時期の方が、ゆっくりと落ち着いて見られ 人工授粉にも 未だ間に合うと考えて、この時期に出掛けてみたのです。

ヤマユリには 温暖化による 減少が見られますので、近縁種のサクユリにも 同じ現象が出ているのでは と思ったのです。予想通り 株が減少していたとしても 平地で 温暖化に耐えている株が 未だ僅かでも 必ず有る筈だと考えて、その状況を確認したかったのです。でも そんな僅かの株では 観光資源にはならず、有ったとしても 地元のごく一部の人しか その存在を知らないのではと思われたので、地元のユリに詳しい人を紹介して貰い 街の近くを案内して頂いたところ、その状況を 詳しく見る事が出来ました。

観察と結果

主に 住宅地やその周辺と 山の中腹の一部を、案内して頂きました。

f:id:tanemakijiisan:20260619163244j:image ヤシの幹に着生したシダの中に 生えているサクユリです。花が咲かないと 同じ緑色なので 目立ちませんが、蕾を付けた株が2本写っています。全体では 10株くらい着生していました。ヤマユリでも 古い茅葺き屋根の中に、良く見られる現象です。

f:id:tanemakijiisan:20260619163438j:image 民家の庭に この株だけ 消えずに残っていた株です。同じ庭の少し離れた所に10本くらいあった株は、最近全て枯れてしまったそうです。

色々と株を見て回った結果は、予想通りサクユリも 温暖化の影響を受け易い 標高の低い所の株が、明らかに減少していると思われました。標高の中程と頂上部も、今後は 減少していく事が予想されました。

この状況は 大島のサクユリに限らず 伊豆諸島全体のサクユリも、温暖化の影響を受けて 減少と絶滅の危機に有るものと推察出来ます。

温暖化対策

そこで ユリを見て回った後、私が今 ヤマユリでやっている温暖化対策を詳しく説明して、サクユリでも やってみる事を勧めて来ました。ただ この方法は 結果が出るのは、5年から15年後になりますので とても気長な取り組みになります。でも 今から始めなければ、判明する迄 待っていては 手遅れになり兼ねません。差し当たり 今直ぐにやっておくべき事は、今度の花期に 耐暑性の強そうな株同士の人工授粉をして 種子を採る事です。その詳細な手順を 説明して、是非やって頂く事を お願いしておきました。

種子の採取と種播き

見て回った株の中に、去年咲いた花殻に 散らずに残っていた種子が 未だ少し有ったので、それを採取させて貰いました。採取した種子の中から 胚の膨らみがしっかりしていた10粒を選び、帰宅した後に ユリ専用の鉢に 播いておきました。今の時期であれば 暑くなる前なので、遅発芽性のユリであっても 来春に発芽する可能性は 十分有ります。この消えずに残った株の草姿を見ると、下の葉までしっかりと 緑色をした株なので、既に消えてしまった株よりも 強い耐暑性を持っている株と思われます。その様な株の種子なので、発芽すれば 耐暑性を持った実生株になる可能性が有ります。ただ どの株の花粉を受粉したのか分かりませんので、その種子が 本当に強い耐暑性を持っているとは限りません。

もし 発芽して その株が 強い耐暑性を持っていれば、それ等の株を掛け合わせて 更に耐暑性の強い 次の世代の株を作れます。