イスノキのキノコ No420

我が家のイスノキの根元に、白いキノコが沢山生えて来ました。今話題になっている あの白い毒キノコとは、形状と生え方から見て 違う様です。こんなに纏まって生えて来たのは、9月の長雨と低温が 発生の原因なのでしょうか。しかも 不思議な事に 生えて来たのは イスノキの根元だけで、イスノキでも 庭の他の場所でも このキノコを見たのは初めてです。

f:id:tanemakijiisan:20261001073829j:image 9月25日の最も大きくなった状態で、1週間程で 腐って消えました。生えた箇所は 根元の全周では無く、北西側だけなのです。

イスノキを植えた経緯

このイスノキは 三十数年前に、伊豆半島南端の神社の境内で出会った木の ヒコバエを挿し木したものです。イスノキは 南九州に見られる照葉樹林帯の代表的な樹木で、常緑広葉樹で 材質が日本の木の中では 最も硬い部類で、櫛やそろばん玉や工芸品の彫物に使われています。

私がイスノキで 気になったのは、宮崎県でイスノキの林を見た時 葉に大きな虫癭が 何個も付いてた状態を見た事です。久し振りに 伊豆でこのイスノキに出会ったので、この木を  直線距離で50km以上も離れた我が家に持って来たら、それでも虫癭は出来るのだろうかと 気になって、ヒコバエを1本採取して 庭に植えたのです。当地の周辺や伊豆の山中では、これ迄 イスノキを見掛けた事は 一度も有りませんでした。

虫癭の結果は 数年して木が少し大きくなると、1cm以下の小さな瘤が出来始めて 年と共に段々と大きくなって来て、今では 5cm以上にもなる 普通の大きさの虫癭が多く付く様になりました。虫がとんでも無く遠い所迄、花粉と同じくらいの量が 飛んでいる事になります。この事については、以前 イスノキの虫癭として 投稿しました。

キノコ菌とイスノキの関係

樹木とキノコの関係は、共生から敵対迄 色々有ります。共生関係で最も知られているのは アカマツとマツタケの関係で、他の植物が生え難い程の 痩せた土壌で、マツタケ菌が 僅かに有るミネラルを集めて アカマツに渡し、アカマツが 葉で作った マツタケ菌にとって必要な養分を マツタケ菌に渡しているのです。他にも 多くの植物と菌が、この様な共生関係を持っています。

真性菌と樹木で 致命的な敵対関係では、白紋羽菌や紫紋羽菌が有りますが、白紋羽菌は 普段は枯れ草や枯れ木に取り付くのですが、稀に生きたボタンやヤツデの様な 柔らかい根を持つ樹木の根に取り付いて 枯らしてしまう事が有り、紫紋羽菌は もっと過激で 柔らかい根だけで無く普通の樹木にも取り付いて 極短時間で 樹木を枯らしてしまいます。ただ これ等は稀にしか見られませんので、それ程心配する必要は有りません。

普通の腐朽菌は 自然界では とても重要な掃除屋さんの役割を持っていて、倒木や枯れ木を腐らせて ミネラル分を土に返しています。ただ 生きた木でも 傷が有ったり 太い枯れ枝の跡から、樹木の中心部の仮死状態で 骨格の役割をしている硬い部分に入り込んで、樹木を空洞化させ その後倒壊に至ります。腐朽菌は 直ぐ枯れる訳では無く 敵対関係では無いのですが、木と菌は 共生関係でも有りません。クスノキやコナラやクヌギは 不要になった小枝を落とす時、落とす前に 枝の根元に隔離層を作って 枝を落とした跡を綺麗にして、傷痕から腐朽菌が 幹に入り込まれるのを 防いでいます。更に クスノキは 材に防腐剤の働きをする「樟脳」が含まれているので、枯れ難く 大木になる例が 多く見られるのです。

このイスノキの場合

このキノコの付いたイスノキの状態を確認したのですが、葉が落ちたり 変色している様子は 見られませんので、このキノコ菌とは 今のところ敵対関係ではなさそうです。生えて来ている場所が 木の根元に限られているので、共生関係で有れば キノコは根の先の周辺に生える筈なので、共生関係でも無さそうです。普通の腐朽菌の一種なのでしょうか、でも この木に付く虫癭と同じ様に この木と特別な関係に有る菌で、虫癭より遥か遅れて 漸くこのイスノキに出会う事が出来たのかも知れません。来年も生えてくるか 木が弱って来ないかを、注意して 観察してみます。

 

今年のモクセイ No419

今年も キンモクセイの 良い香りが漂う季節になりました。モクセイは 雌雄別株の樹木で その仲間には、他に 白い花のギンモクセイと 薄黄色の花のウスギモクセイと 伊豆七島に自生するシマモクセイが有ります。キンモクセイは 香りが強く ギンモクセイは 香りが弱く、この2種は 園芸種で 昔 中国南部で ウスギモクセイから 香りの良い枝変わりを見付けて、園芸種を作り出したものと思われます。キンモクセイは 実が着く事は 有りませんが、ギンモクセイは 稀に実を着ける事が有ります。ウスギモクセイは 野性種を庭木にした樹木で、雌木は良く実を着けて 種子の発芽率は、5割くらいになります。シマモクセイは 伊豆七島に自生する野性のモクセイで、木の現物は 御蔵島で見た事は有るのですが 花は良く知りません。

キンモクセイは その年の気候により 秋の早目に花が咲く場合が有り、その様な年は 11月に2度目の開花が咲く事が有ります。

ギンモクセイは キンモクセイより開花が、1週間から10日くらい遅いのが普通なのですが、今年は ほぼ同時に開花しています。その現象と関連が有るかも知れませんが、今年のキンモクセイの香りは ギンモクセイと同じ程度に弱い様に感じます。この傾向は 我が家のキンモクセイだけに限らず、街を歩いている時に 漂って来る香りも 何となく薄い様な気がします。今年の秋の 記録的な長雨と日照不足が、影響しているのかも知れません。

f:id:tanemakijiisan:20260923140357j:image 右の枝が キンモクセイで、左の枝がギンモクセイです。同時に花が見られるのは 珍しい景観です。この両方の枝は 同じくらいの香りの強さに感じました。

このギンモクセイの株にも 以前実が着いているのを見掛けましたが、剪定した枝に着いた実だったので 熟した種子を得る事は出来ませんでした。このギンモクセイの株は 毎年実が成る訳ではなさそうで、注意して調べているのですが それ以来一度も 実は見付かりません。今度 実を見付けたら 完熟するのを待って採取し、それを播いてみようと思ってます。

モクセイの近縁種で ヒイラギが有り、この木も雌雄別株で 白いモクセイに似た小さな花を着けますが、香りは有りません。雌株は ネズミモチの実に良く似た実を着け、熟した実を 果肉を綺麗に取り除いて播くと、発芽率が5割程と 良く発芽します。庭木を剪定した時は 再利用する為に 葉と小枝と太枝に 其々を分けているのですが、以前 ヒイラギの雄株の太枝を剪定した時に、葉を取り除いていると 2個の実を見付けました。この様に 雌雄別株の雄株が 両性花を着けて 実を着ける現象は、稀では有るが 多くの樹種に見られる現象なのかも知れません。その中で ギンモクセイが 実を着ける現象は、かなり見られる方らしく 時々「実を見付けました」と言う報告を目にします。

ただ 剪定した枝から 実を見付け出すのは 根気良く探せば可能なのですが、剪定前の樹木から見付け出さないと 熟した実は得られないので、それは ほぼ不可能ですから 偶然を期待して 常に気を付けて 探すしか有りません。

 

サンショウの両性花から作られた実生株 No418

サンショウの雄株に着いた両性花から作られた種子を播いて、出来た実生株を調べる内容で 以前から何度か投稿して来ましたが、今回も その途中経過を投稿します。

このサンショウの雄株は、20年程前に 箱根外輪山の南足柄市のハイキングコースの脇に生えていた株で、その枝を採取して挿木し 大きな株に育てました。この株が最初から両性花を着けると分かって 採取した訳では無く、棘が殆ど付いて無かったので 珍しいと思って 枝を採取したのです。その株が 花が咲く大きさに育つと、所々の枝に 1個づつ全体で数個の実が成っているのが見付かり、調べてみると 1割程の花が両性花で有る事が分かりました。でも 全ての両性花が実を着ける訳では無く、実が成るのは その又1割程の様でした。両性花の柱頭は 短かったり 曲がっていたりと、変形した不完全な物が多い様でした。

普通のサンショウは 現代では 雌雄別株の樹木ですが、稀に 雌雄分化以前の昔の状態の両性花を 一部に持った株が現れる様です。雌株にこの現象が現れても 全く気付きませんが、雄株に現れると 実が着くので 直ぐに分かります。ただ 出来た種子は 他の木の花粉を受粉して出来たものか、自身の花粉を受粉した自家受粉なのかは 分かりません。そこで この種子を播いて どんな株が出て来るか 確認する為に、毎年出来た種子を播いています。

播き始めて 5,6年以上になりますが、3年程前から 初めに播いた株が花をつけ始めています。未だ中間結果ですが 予想外の状況が現れています。普通のサンショウを播くと 雌雄が半々に現れるのですが、この両性花の種子は 雌株が1株も現れて来ないのです。数株が雄花を着け始めて 内3株に 1房に1,2個の実を着けています。全ての花が両性花と見られる株が 1株有るのですが、実は1個も着けません。

f:id:tanemakijiisan:20260921095412j:image 両性花の種子から出来た実生株で 今年から実を着けるようになった雄株で、実の着け方と両性花の着く割合は 親株と同じなのですが、小さい棘を普通に着けるところは 親株とは違っています。雄株で 両性花が着いて実が成る状態は 親株の形質を引き継いだと理解出来ますが、雌株が現れない点と 当初期待していた 僅かの株でも沢山実を着ける完全な両性花の株が 現れて来ないのは 予想外で 不思議な事です。

親株と良く似た雄株が何株か現れている事から、この両性花は 受粉して実を作っているのでは無く、クローンで結実しているのでは無いかと考えました。サンショウの仲間で フユザンショウと言う種が有りますが、このサンショウには 雌しべだけで 雄しべの無い花を咲かす雌株だけで、雄株は見付かっていませんが それでも 沢山の実を成らせ、その種子は良く発芽します。この様にサンショウの仲間には、クローンで 実を成らせている種も有るのです。ただ クローンで作られた種子から出来た株とすると、棘の着き方とその形状が少し違う事が 説明出来ません。

他方 受粉して出来た種子だとすると、雌株と完全な両性花の株が出て来ない事と、自家受粉か他家受粉なのかがが 気になります。

この点に関しては もう数年待って 両性花の実生株の多くの株が 花を着けて来れば、今の疑問点に対し もう少しはっきりした事が言えると思います。

この元の両性花を着ける親木は、今年の8月に寿命で枯れてしまいましたが、この親木から採った挿し木苗が 2,3年先には 花を着け始めると思いますので、もし 追加の実生株が必要で有れば 作る事は出来ます。

でも それよりも 2代目の両性花から出来た種子の方を播いて、どの様な性状の株が現れるかを見たいので、今後は 2代目の両性花の種子を播き続けようと思っています。

 

 

園芸種の実生のブドウ No417

10年程前に 建物の脇の草叢の中に、発芽して1,2年経ったであろう ブドウの苗が生えているのを見付けました。この発芽した株の元になった種子は、私が店で買って食べた葡萄の種子を その辺に捨てたか、又は 近隣の葡萄畑の実を啄んだ小鳥が 糞をして播いたかの どちらかです。この建物の周りには 小鳥が種子を播いて 発芽した色々な木が、沢山生えて来ます。そんな訳で この株の親は どんな葡萄なのかは分かりませんが、園芸種の葡萄である事だけは確かです。

一般に 市販されている果物は、その種子を播いても その果実と同じ物が出来る果樹には成らず、殆どは 商品価値の無い実しか出来ないのが普通です。果物の優良品種は 大量の実生株の中から 選別された株を親にして、その枝を接木したり 挿木して 大量の同じ株の苗木を生産しているのです。ですから 美味しい果実の種子であっても どの株の花粉が掛かって出来た種子か分からず、例え自家受粉であっても その実を着けた株は 遺伝的に固定された果樹は殆ど無いので、親と同じ果実になる事は 殆ど有りません。でも 実生株には その比率は とても低いのですが、とても優良な果樹が 現れる可能性も有るのです。ただ ウメの場合は 古くから各家の庭で、何代にも亘って 実生で作られた選別株が存在していたので、実生株でも 良い実が成る確率は かなり高い様です。

この株も その様に商品価値の高い実が成る事は ほぼ期待出来ないとは思いましたが、でも 折角発芽して来た株なので どんな実が成るのか 見てみたいと思って、万が一も期待して 育てて果実を食べてみる事にしました。生えた場所の近くには 以前デワノマタタビを誘引した棚が設けられていて、その棚に この葡萄の蔓を誘引すると 予想以上に とても良く伸びて来ました。そして 4年目には もう3房の花を着けましたが、初めての花なので 実は1粒も 止まりませんでした。その後 年毎に実の止まる数が、段々増えて来ました。

野性のブドウの仲間は 雌雄別株に進化しているのですが、園芸種のブドウは 品種改良し易い様に 雌雄分化前の両性花の形態に、栽培株を作った際に 戻したのでしょう。園芸種のブドウは 人間が栽培を始めてから 何世代も経ているので、実生で苗を作っても 元の雌雄別株の株が現れる事は無いのでしょう。この株も 自家受粉する 完全な両性花の様です。

一般に 実生の果樹は 木が大きく古くなってからでないと 花は着けず、花が咲く様になってから 数年して 漸く実が成る様に成り、成り方や味が安定するのは 更にその数年後になります。私はこれ迄 ウメ,カキ,クリ,モモ,ナツミカン等で 実生の果樹を作った経験が有り、クリは割と早く実を着けましたが 他の果樹は 忘れた頃に 花が咲く程 時間が掛かりました。

今回のブドウは 成り始める年数が短いだけで無く、実が成り始めてから 本格的に実が沢山着く様になった年数も 3年と短く、接木苗に劣らない程 早いので とても意外でした。蔓を誘引した棚が 2階建ての屋上で、地表からかなりの高低差が有るので、それが 実の成る年数に影響しているのかも知れません。

f:id:tanemakijiisan:20260915102901j:image 2階建ての建物の屋上で 風当たりが強いのと 屋根の照り返しの為か、この時期では 未だ着いている筈の葉が 殆ど傷んで 落ちてしまい 実も2,3割が 落ちてしまいました。其れにも拘らず 未だとても良く実が着いていますので、この株は 通常の葡萄と同様に とても良く実を着ける形質を 具えている様に見えます。今はまだ実が固いので 熟期は、10月の上旬から中旬の様に思われます。果実の色も その時期にならないと はっきりしませんが、落ちた実から推察すると 薄紫になるのではと 予想しています。味と皮の硬さは もう2,3年して 安定してからでないと 分かりませんが、品種登録する程では無いにしろ かなり期待が持てそうです。もし 実の味が良ければ、この木の枝を接木か挿し木で苗を作り、日当たりの良く 風当たりの弱い場所を探して、自家用として 栽培してみるつもりです。

 

 

セイタカヤマシャクヤクの種播き No416

今年も セイタカヤマシャクヤクの種子が 採れましたので、早速種播きを しておきました。デワノヤマシャクヤクの栽培を始めてからは、開花時期の近い ヤマシャクヤクの栽培は 交雑を避ける為に 止めています。セイタカヤマシャクヤクは デワノヤマシャクヤクより 花期が1ヶ月遅く、交雑の恐れが無いので 栽培を続けていました。でも 花を咲かす株は 今年は 1本になってしまいました。ヤマシャクヤクの仲間は、全て良く自家受粉する形質を持っていますので、1株や1輪だけだったり 花粉を媒介する虫が来なくても 良く種子を作ります。

f:id:tanemakijiisan:20260912094611j:image その株の種子が、9月9日に 全ての鞘が開いたので 収穫しました。長雨で 少し傷んでいる様に見えますが、黒い種子の方は 傷みが無く 健全な物が採れました。

f:id:tanemakijiisan:20260912094625j:image 種子は 18個採れましたが、この房の大きさでは やや少なめです。鮮やかな赤い小さめの実は シイナで、種子を食べて貰って頒布する小鳥を 呼び寄せる為の物です。採れた果実は 果肉をカッターで 剃る様に綺麗に取り除いて、一晩水に漬けてから 播きます。ヤマシャクヤクの中で セイタカヤマシャクヤクだけは、発芽が 播いてから 2年目になります。

温暖化とヤマシャクヤク

これ迄漠然と ヤマシャクヤクの仲間は全て、日当たりの弱い所で栽培すれば 温暖化には強い様に思っていたのですが、セイタカヤマシャクヤクは 強い日差しを避けても 良く育たなくなって来たので、温暖化には それ程強くは無い様です。セイタカヤマシャクヤクは、標高の高い開けた草丈の低い草原で 日当たりの良い場所に 自生していたので、10年程前に 我が家でも 日当たりの良い場所に 移してみましした。すると 直ぐ弱り始めて来たので、翌年には 元の日当たりの弱い場所に戻しておきました。どうやら 低地では セイタカヤマシャクヤクは、他のヤマシャクヤクと同様に 長時間日の当たる場所は 苦手な様です。ただ 元の場所に戻しても、弱ったままで 元の勢いは回復しませんでした。一度勢いを弱めてしまった株は 中々元に戻らない性質も有るのかも知れませんが、最近のセイタカヤマシャクヤクの様子を見ていると その弱った原因は それだけでは無かった様です。

この栽培場所を移動した時期が 温暖化の酷くなって来た時期と重なっていて、ヤマシャクヤクの仲間は 温暖化に強いと言う思い込みから、この弱った原因を場所の移動だけに限定してしまったのですが、でも 株が弱った主な原因は 温暖化の方だった様です。ヤマシャクヤクの種子が採れると 全て播いていたのですが、他のヤマシャクヤクと 同じ日照の弱い栽培環境にしても、セイタカヤマシャクヤクは 発芽率や実生株の成長は かなり劣って来た様なので、やはり セイタカヤマシャクヤクは 温暖化の影響をかなり受けている様です。

今回播いた種子が、再来年にどれくらい発芽するか とても気になります。

 

 

 

 

庭の木の様子 No415

今年の庭の木に 変化が有りましたので、その様子を投稿します。今年の2月19日に「サンショウの一生 No367」で投稿した アシガラサンショウの木が、残念ながら 予想通り 8月に完全に枯れてしまいました。

f:id:tanemakijiisan:20260907210231j:image 中央の葉の付いていない細い枝の木が、枯れたアシガラサンショウの木です。8月末には 枯れた葉が付いていたのですが、その後の風雨で 全て落ちてしまいました。木の大きさと樹齢からすると 根元の直径は10cm程 樹高4m程で、サンショウとしては もう限界に近いのです。この木は10年程前に 台風の強風で、根元から 45°くらい傾いて 根の半分程を損傷して失い、その後の支る支柱の取り付けの不手際で 樹皮を傷めてしまい、それによって 樹勢が弱り始めていたのです。今後の両性花の観察と実験は、この木から作った挿し木の 後継木に引き継がれます。これ迄のこの木の詳細は、先の投稿を参照して下さい。

今年のウメの様子

我が家の庭には 実を採るウメが2株有るのですが、今年のウメの実の成り方は 殆ど収穫出来ない 極端な不作でした。この裏年と6月の冷夏のせいか 今年の9月のウメの樹勢は、例年になく 葉の傷みが殆ど見られずに とても元気な様に見られます。

トウジバイは 名前の通り 冬至の頃に咲き始める早咲きのウメですが、開花の時期は 葉が落ちる時期と関連していて、早く葉が落ちた年は 花は早く咲き、遅く迄葉が落ちなかった年は 開花が遅くなります。今年は 葉がとても元気なので 落葉が遅れ、開花は 大晦日以降になり 年を越しそうです。来年の果実の成り方は、今年の裏年の反動で 大豊作になると予想されます。

f:id:tanemakijiisan:20260908104637j:image 葉に全く傷みの見られない トウジバイの様子です。例年 夏の終わりには、葉の一部が傷んでいたり 数が少し減っています。

ザロンバイも 今年は 夏が過ぎたこの時期でも、葉に全く傷みが見られず とても元気な葉をしています。この様子では こちらも 来年は 大豊作が期待出来ます。

 f:id:tanemakijiisan:20260908102327j:image ザロンバイの 9月上旬の 枝の様子です。

ウメの害虫の心配

我が家で ウメの幹に喰い入る害虫としては、これ迄は コスカシバ(名称が間違えているかも知れません)だけだったのですが、今年は 最近話題となっている クビアカツヤカミキリが加わりました。両方とも 食いカスを見付けて発見するのですが、コスカシバの方は 捕殺出来ますが カミキリの方は 確実に捕殺する方法が無く  致命的な損害を与えます。

コスカシバは 食いカスの出ている周辺の樹皮を、ドライバー等の硬い棒で軽く叩いて その音で樹皮の下の空洞を見付けます。乾いた高い音がすれば その部分は既に喰われていますので、カッター等の刃物で その部分の樹皮を剥がすと、その先に 食害している最中の幼虫がいるので 捕殺します。

カミキリは 好みの イチヂクやクリの樹皮に噛み跡を付けて、そこに卵を産み付けます。1枝に5,6ヶ所に 産卵します。卵から孵った幼虫は 樹皮の下ではなく 木質部に喰い入り、その穴がクネクネと曲がっていますので 細い銅線の先を鉤型にした物を使っても、穴の奥に居る幼虫は 容易に捕殺する事は出来ません。毎日 対象木の肌を丁寧に観察して 噛み跡を見付けて、直ぐに卵や幼虫を取り除けば 防除は可能ですが、現実には そんな大量の面倒な作業は出来ませんので、栽培農家は 農薬散布に頼るしかないのです。同じ様に 木質部に喰い入る害虫に コウモリガがいますが、こちらは 穴が真っ直ぐなので 同線で引き出して捕殺出来ます。

クビアカツヤカミキリは 厄介な特定外来種で、繁殖地域が もう隣の県迄広がって来ていますので、当地が繁殖地域に指定されるのも 時間の問題です。もし この地域に侵入されれば バラ科のウメ,モモ,サクラ等の木の有る栽培地は、防除の消毒が義務付けされるでしょう。被害が確認されれば 被害株の伐採を指示されますので、とても心配しています。もし 侵入されれば 庭の他の植物への影響を考えると、薬剤の散布よりは 伐採の方を選ばざるを得ません。2株のウメは 来年の実の収穫が 最後となるのかも知れません。

 

進行する温暖化 No414

今は未だ9月始めで これからもう暫くは 暑さが続き、温暖化の影響を判断するには 少し早いとは思いますが、今年の暑さを 野性植物の面から 振り返ってみました。今年は エルニーニョの影響か 6月に低温が続き 関東では猛暑日の日数が 去年より少ない様ですが、それでも 植物から見ると 温暖化は一段落せず 今年も確実に進行している様です。植物が受ける温暖化の影響は、日照時間の長い方が 強く受け 短い方が弱い傾向が見られます。野性植物では 温暖化の影響を受けていても 身近な存在で無い為 それが気付かれ難く、他方 園芸作物は 温暖化が影響すると 人々の生活に 直ぐに直接関わって来ますので、大きな話題となります。この野性植物を 10年単位の長い期間で注目して観ると、その温暖化の影響が はっきりと見えて来ます。今回は それを個別の植物から見て 取り上げてみました。

ユリ

ユリの中で 全く影響を受けていないか 逆にその変化を享受しているのが、亜熱帯系の テッポウユリやタカサゴユリです。他のユリは 強弱は有りますが、温暖化の影響を受けて 数を減らしたり 自生地を狭めています。最も影響を受けているユリは、ササユリとヤマユリの様に見えます。元々自生地が狭い タモトユリやウケユリやサクユリは、影響がそれ程強く無くても 自生地が狭いので、種の存続を脅かされ兼ねません。

f:id:tanemakijiisan:20260831213656j:image ヤマユリの温暖化対策第2世代として 去年選抜した株の内の 8株の 8月末の状態です。8月末迄 何とか未だ葉に緑色をしている8株を、手前の位置に集めてみました。今年の夏は 一時涼しい時期も有ったのですが、高い耐暑性が有るとして選別した筈の株の半数が、8月に入ると葉が黄ばんで 枯れてしまいました。枯れたと言っても 株が消滅した訳では無く、かなりの耐暑性は持っているので 球根は 残っています。この葉が枯れた株は、温暖化対策株には使えませんが 少し日照を弱めれば、観賞用には十分利用価値が有ります。

この枯れる株が出て来る状況は、選抜株の耐暑性が 定植で弱くなったのでは無く、温暖化が 一時は弱くなった様に見えても 毎年確実に進んでいて、選別した時は 耐暑性が強いと見えても、その後進んだ温暖化には 耐えられなくなったと考えるべきでしょう。ヤマユリの温暖化対策株作りは、世代更新に年数が掛かり過ぎて 温暖化の進行に 追い付けないのかも知れません。

来年もう1年だけ この日照時間の長い場所で栽培してみて、全ての株が 8月末迄に 葉が黄ばんでしまう様になったら、ヤマユリの今の温暖化に対する限界と判断して、栽培場所を 日陰に移して 温暖化対策株の選別をして行こうと思います。ただ その方法で得られた株では、自生地が 日照の少ない場所に制限され、種子を作る能力は低くなり 強い繁殖力は期待出来ません。

ギョウジャニンニク

10年程前に 暖地に適応した株を作ったのですが、その品種が 4年前を境に 花の数と種子の発芽率が低下し始めて、今年の開花数は 2房にまで減って 種子は採れなくなり、去年播いた種子も 発芽率が2割程に落ちてしまいました。この発芽率の低下については、種子の採取から種播き迄の期間が長い為かと考えて、3年前から 採取して直ぐに播く方法にしてみましたが、それでも 発芽率の低下は止まりませんでした。暖地に適した品種と言えども、ここ数年の温暖化には適応出来ないのかも知れません。この傾向は 自生地である寒冷地に近い低地で、栽培されている株にも 現れているのでは無いかと心配されます。

この暖地適応株は 温暖化に対して 花の減少と発芽率の低下の現象を現しましたが、これとは反対に 夏になっても 葉が枯れずに残る 不思議な現象も見られました。寒冷地産の普通のギョウジャニンニクは、暑いのが苦手で 7月には枯れてしまいますが、この暖地適応株は 温暖化で夏が暑くなるに従って、葉が枯れる時期が遅くなっているのです。

f:id:tanemakijiisan:20260903152211j:image 9月始めの状態です。葉は少し傷んでいますが、未だしっかりした緑色を保っています。

マタタビ属

・ミヤママタタビ

数年前迄は 日照時間を 3,4時間にすれば、当時の温暖化には 耐えられたのでしょうが、現在の温暖化の進み具合には 追い付けないのでしょうか、日当たりの良い場所の株は 3年前に完全に枯れ、残った日照の僅かしか無い場所の株は 去年迄花を着けていたのですが、今年はもう1輪の花も着けていません。

・デワノマタタビ

数年前迄は 日照時間が8時間以上の場所で 良く実を着けていたのですが、実の成り方が徐々に少なくなり 今年は殆ど採れませんでした。ミヤママタタビよりは 温暖化に強いのですが、もう2,3年もすると 日照の強い場所では 葉が枯れて 栽培出来ない様になり、日陰でしか栽培出来ない様になり 実は殆ど採れない様になるでしょう。