ヤマユリの強い耐暑性を持った株作りで、温暖化対第2世代を育てていく過程で、これ迄の温暖化に強い株作りの進め方に、見込みの甘さが有った事が分かって来ました。
その問題点は 第2世代の発芽後2年目と3年目となる去年に 耐暑性の強い株を選別したのですが、選別してユリ専用の鉢に移植して 今年花が咲く大きさにななった株の中に、今年は 去年よりずっと涼しい6月だったのですが 下旬になると、下の葉の4,5枚が 黄ばんで来る株が 半数近く出て来ました。一昨年と去年の秋に選別した時点では、下の葉迄 全く枯れていない 強い耐暑性を持っていると思われる株を選んだつもりでしたが、選別基準か 選別時期に問題が有ったのか それとも選別後に耐暑性が変化したのか分かりませんが、耐暑性の強くない株が 混ざってしまいました。
これは7月3日の状況ですが、大きく膨らんだ蕾を着けた4株は 下半分の葉が黄ばんでいます。これ等の株は ある程度の耐暑性は持っていますが、日照時間の長い場所での栽培は出来ませんので、温暖化対策株作りには使えません。中央から左斜め上に 大きく伸びている株は、今年は花を着けていませんが 葉は下迄 殆ど黄ばんでいません。中央上に 小さい蕾が見える2株は、蕾は未だ小さいですが 葉は下迄 全部黄ばんでいませんので、耐暑性は かなり強いと思われます。現在 葉が黄ばんでいる株は、蕾がこの程度の大きさの時には 既に葉が黄ばみ始めていましたので、この蕾が未だ小さい2株は これから葉が黄ばんで来る事は無いと思います。その他 未だ株が小さくて 花を着けない株の方は、1株を除いて 葉は全て元気な様に見えます。
これ等の株を育てたプランターの株は、既に全ての株を取り出して 選ばれなかった株は 全て処分してしまっていますので、元の集団から再度選別し直す事は出来ません。
耐暑性の判別法
耐暑性の選別に問題が有ったとすれば、判別に 次の様な問題点が考えられます。
ユリの耐暑性の強弱は、株の小さい内の方が はっきり現れると 思っていましたが、どうやら それは思い違いで 全くその逆の 大きくなってから 強弱が判明する事も有る様です。又 小さい株は 暑さに弱く 大きな株は 暑さに強いと 考えていたのですが、どうやら そうとも限らない様でした。ですから 耐暑性の強い株を選別する時期は、前回は 発芽後2年と3年で選別していたのですが、その選別時期を 発芽後3年と4年に 遅くした方が、確実性の高い選別が出来る様です。
又 成長が早い事と耐暑性の強さとは 関連が無い様なので、株の大きさは あまり重視しない方が良い様です。
更に 鉢に移植した後の株を見て 気付いた事ですが、花を着け始める迄の年数と 開花する時期が 耐暑性の強弱に関連が有る様な気がして来ました。花を着け始める迄の期間については、体が小さい内に 早く花が咲き始める株よりも、体が大きくなってから 遅く花が咲き始める株の方が 耐暑性が強い様に見えます。開花時期については、7月上旬に 早く開花する株よりも 7月下旬以降に開花する株の方が、耐暑性が強い様に見えます。この開花時期は 春の芽出しの時期と連動していて、早く芽を出す個体は 早く開花する傾向が見られます。即ち 耐暑性の強弱に関係するのは “成長の早遅“ や “株の大小“ では無く、“花を着け始める迄の期間の長短“ と “開花時期の早遅“ の方ではないかと言う気がして来ました。ただ これについては 本当に関連が有るのかどうか これから良く調べないと 未だ分かりません。もし それが関連が有るとすれば、選別要因に 花の咲き始める迄の期間も入れる事になるので、 選別時期が更に遅くなり 世代更新には 更にもっと年数が必要になります。
世代更新による耐暑性の変化
もう一つは 世代更新による 耐暑性の強さの進化の度合いです。普通のヤマユリ 即ち温暖化対策第0世代同士を掛け合わせた時に、耐暑性の強い株が現れる比率は 凡そ1%と見込んでいて、その比率には 自生状況から見ても 大きな間違いは無いと思います。その出現した耐暑性の強い株 即ち温暖化対策第1世代同士を掛け合わせて、次の世代の株を作った時 耐暑性の強い株を選別して 温暖化対策第2世代としました。この第2世代として 耐暑性の強い株が現れる比率は、これ迄2割から3割程になるだろうと考えていたのですが、その比率が かなり甘かったのかも知れません。この第2世代の株を 鉢に移植してみると、耐暑性が強いと思った株の 半数近くが 強い株でなかった事からすると、耐暑性の強い株同士を掛け合わせても 期待した程 耐暑性の強い株は 現れないのかも知れません。もしかすると その比率は 1割以下かも知れませんし、その耐暑性の強さ自体も 期待した程強くならず、第1世代よりも 僅かに強まっている程度かも知れません。
この状況は 第2世代株同士を掛け合わせて作った 第3世代についても、当然同じ事が言えると予想されます。
これが意味する事は 耐暑性の強い株同士を掛け合わせても、それから作られた次世代の株の集団は 期待通りの割合と強さにはならず、耐暑性は 僅かづつしか強化されて行ないのかも知れません。世代更新の時の 選別基準を厳しくしても、この傾向は あまり変わらないと思われます。つまり 耐暑性の強い集団を作る為に 必要な世代更新の回数は、3回程度では済まず 5,6回繰り返さないといけないのかも知れません。
耐暑性の強い株の作り方の正否
でも 世代更新と選別を繰り返す方法自体は、野性の本来持っている力を使って 耐暑性を高める方法として、間違ってはいなかったと思います。その証拠に ヤマユリが温暖化で 一旦は消えてしまった当地でも、日照の強い環境にしても この方法で 暑さに耐えられる株が 半数近く現れているからです。
しかし この手法が間違っていなくても、温暖化に耐えられる集団を 自生で復活させるには、これ迄考えていた 3世代 ,15年程度では無理で、30年くらいは必要なのかも知れません。でも 長く掛かるからと言って 諦めていては、絶滅を避ける活動の 手遅れになり兼ねません。