ヤマブドウの発芽

去年の秋に 収穫したヤマブドウの種子を播いておいたものが、発芽しましたので その様子を投稿しました。

f:id:tanemakijiisan:20240423171356j:image23年9月16日に収穫したヤマブドウです。食べてみたのですが、まだ早い様で 酸っぱかったです。

ヤマブドウの種子の発芽率を確認する為に、中の種子を取り出して、綺麗に洗って 翌日プランターにまいてみました。

f:id:tanemakijiisan:20240423172324j:image4月中旬に 纏まって発芽して来ました。大凡の発芽率は 6から7割の様に見えます。10本くらいでも 雌雄が分かる迄育てるのは、場所も手間も大変で出来ません。引き取り手も無いでしょうから、申し訳無いのですが 廃棄処分しか有りません。

実生蜜柑の試食

今年初めて実が成った実生の蜜柑に付いて、3月17日に最初の試食結果を投稿しておきました。4月20日に収穫して 直ぐに試食してみました。外観は 前回より一回り大きく成っていました。切って中を見ると、表皮の下の綿の厚みが増えたのと 中心部の隙間が広がっていたせいでしょう。水分は 減ってなく 十分に保たれていました。味の評価は 前回と殆ど変わらず、ただ未熟感は無くなり 甘味が僅かに増えている様に感じました。味の感じは 甘夏とグレープフルーツの中間の様に思います。

20年以上前の事なので、全く覚えていないのですが、私はハッサクは食べず アマナツは良く食べていたので、アマナツの種子を 鉢に播いたものと思われます。

さて この蜜柑に 商品価値が有るかの問題ですが、実生なので どの蜜柑とも異るのですが、これと言った特徴が無いので 微妙な問題です。強いて言えば 味に強い特徴が無い分、誰でも とても食べ易く 後味に「さっぱり感」が有る事でしょうか。

この蜜柑の収穫期は、4月上旬になります。

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今年のヤマブドウの実験

今年は ヤマブドウも 花が遅れていますが、ようやく花が咲く時期になりました。今年は ヤマブドウについて 2つの実験をしています。その一つは この花を付ける様になったヤマブドウの雌株で「種無し葡萄」が出来るかで、もう一つは 自家受粉の種子が 僅かでも採れるかを確かめる事です。

f:id:tanemakijiisan:20240410173740j:imageヤマブドウの蕾 4月10日の状態で、もっと大きい物や ようやく見えて来た物と 成長はバラバラですが、全体的には まだこれより小さい蕾の方が多かったです。

種無し葡萄

今花を付けているヤマブドウの雌株は、去年迄の観察から 普通よりずっと小さな果実(ショットベリー)を、沢山付ける株である事が分かりました。このショットベリーの生成には、雄株の花粉が関係しているのか 気になります。また このショットベリーは そのまま黒く熟す迄付いていて、美味しくは有りませんが食べられます。

f:id:tanemakijiisan:20240414205832j:image去年の5月25日の一房で、右端に有る一つの大きい実が 普通の実で、小さい沢山付いている実が ショットベリーです。

そこで もしかしたら ジベレリン処理をすれば、このショットベリーも大きくする事が出来、「種無し葡萄」が出来るのではと 考えました。早速専門家に相談してみると、ショットベリーについては「栽培種の葡萄には偶に見られるが、ヤマブドウでは見た事は無い」との事でした。また ヤマブドウジベレリン処理については 「以前山形大の先生が試した報告が有るので、それを参考にしてみたら良いでしょう」と助言されました。早速それを読んでみましたが、ショットベリーとジベレリン処理の関連については 書かれていませんでしたので、直接本人に ジベレリンとショットベリーの関連について メールで問い合わせたところ、次の様な助言を頂きました。「ヤマブドウは 栽培種のブドウと違い 株毎の形質の違いが大きく、その株でジベレリン処理をしてみないと分かりません。それ故 そのショットベリーの出来る株で 試してみる価値は有ると思います。私の目的は ヤマブドウで「干し葡萄」を作る事でしたが、期待した程の大きな実は得られませんでした。」とのご返事でした。

今回の実験の目的は、このショットベリーを付ける株が ジベレリンに対する感受性を どれくらい持っているかを調べる事なので、沢山の房について試す必要は有りません。多くても 20房も試せば十分です。処理の仕方は 経験が無く良く知りませんので、溶液に房を漬けるよりは 溶液を筆で 房に塗り付ける方法が簡単なので、そのやり方で やってみました。塗る時期は 開花の10日前と 開花10日後の2回です。溶液の濃度は 栽培種のデラウェアの濃度を参考に、100ppmとしました。溶液を塗った房には、房の根元に紐を結んで置きます。紐が2本結ばれていれば 処理済みとなり、収穫時迄残しておきます。

f:id:tanemakijiisan:20240410174455j:imageジベレリンと処理に使った道具です。

自家受粉で種子が採れるか

ヤマブドウは 栽培種の葡萄と違い、雌雄別株の風媒花の植物です。ですから 実を採るには 雌株の近くに雄株が必要ですが、我が家の場合 は、雄株は 雌株から少し離れた家の裏に 植えて有りました。でも 去年の暮れに その雄株を伐採して、現在残っているのは まだ花の咲かない 数本の取り木した 雄株の枝だけです。ヤマブドウの自家受粉についての実験は、雄株の花粉が無くても 自家受粉で実が付くか、一昨年に数ヶ所と去年に20ヶ所の 雌株の花房に 袋を被せてみたのですが、袋掛けは 半分くらいが上手く行かず、上手く行った半分の房は 実は1つも成りませんでした。袋を被せなかった房は 疎ですが 実を付け、去年は 全部で150粒くらいは採れました。ただ その全ての実が、その雄株の花粉を受粉して 結実したものとは 断定出来ません。そこで 雄株の花粉では無く 雌株の自家受粉をして実を付けた物が、本当に無いのか 調べる事にしたのです。

ヤマブドウの枝の剪定は 野生植物なので 原則としてしませんので、今年は殆どの芽に蕾が付いて 全部で300以上の花が付いていると思われ、その花房の全部に袋を被せるのは 到底出来ません。そこで 花粉を出す雄花を無くしてしまう方が 楽で且つ確実なので、雄株を伐採する事にしたのです。幸い 近所には葡萄を栽培しているお宅も無く 野性のエビヅルも見かけませんので、この伐採で 自家受粉の実が付くかが 分かると思います。

雌株の雌花には 雌しべの周りに 雄しべが有りますが、その雄しべは 飾りで花粉を作りません。この雌株に咲いた雌花を良く調べると 付いている雄しべは 全て短くて湾曲していますので、この形の雄しべは 稔性の有る花粉は作らないそうです。でも 花房が300以上で 1房に30以上の花が付き 1輪に5本の雄しべが有れば、雄しべの総数は5万個以上になります。その中に 稔性を持った花粉を作る葯が出現する確率は、5,6個で良いのであれば 十分に有ると考えられます。因みに 以前 ヒイラギの雄木の太い枝を伐採した時、葉を全て外して調べたところ 2個の実を見付けました。このヤマブドウが 5,6個の実を付ける確率の方が それより遥かに低いのですから、数個の実が採れても 不思議では有りません。要は 母数になる花の数が十分かどうかと、その全てを確実に調べられるかの問題だと思います。葉が枯れてからなら、高い場所ではないので 全ての枝を調べるのは 難しくは有りません。もし 果実が 5,6粒でも採れれば、それを播くと これ迄の発芽率で有れば、多分その実生株が得られると思います。その実生株には 自家受粉する両性花を付ける確率が高くなるものと思われますので、それを調べたいのです。それこそが 今回の実験の目的なのです。

ヒイラギの発芽

春になると 色々な芽が動き出すので、庭中を全て見ておかなくてはなません。そんな中で 去年の6月19日に投稿した ヒイラギの種播きをした芽が出ていましたので 投稿します。

f:id:tanemakijiisan:20240407180422j:imageヒイラギの発芽苗は、大きな双葉に特徴がある様に見えます。4個纏めて播いた鉢で 3本発芽して来ました。4個中3本も発芽したので、ウメとは違い 纏めて播いても 発芽には影響はない様でした。発芽率も割と良い様です。

ただ 悩ましいのは、苗が出来ても使う当てが無いのです。毎度の事で 申し訳ないのですが、しばらく悩んで 結局は廃棄となります。

 

2年目に芽を出したウメ達

ウメの種子に有る「発芽を制御する機能」については、以前から何度も投稿して来ました。この 「何故 纏めて種子を播くと 発芽しないのか」については、夏の暑い時期に 種子の殻から何らかの物質が浸み出して来て、その濃度が高くなると 種子を殺してしまう事が これ迄の実験から分かりました。この濃度を調べる確認の実験で 一昨年に播いた種子が、2年目になる今年の春に6本も発芽して来ました。この物質は 初めは休眠物質と思っていましたが、休眠物質は それとは別で 胚とその皮に含まれているそうで、この物質はその休眠を解除する物質の様です。

f:id:tanemakijiisan:20240411095216j:image写真の右側の小さい鉢は 内径8cmの鉢で、普通にこの大きさの鉢に1個の種子を播くと、その物質の濃度が高くなり 種子は確実に 秋迄には死んでしまいます。そこで その時の実験では その物質の濃度を下げる為、この小さな鉢にだけ 7月と8月の間 毎日1日1回鉢にたっぷりと水をかけておきました。結果は 6鉢中3鉢が、翌春に発芽して来ましたので その物質が水溶性で、濃度が確実に下がっていた事が分かりました。発芽しなかった3鉢は そのままにしておきました。すると 2年目になるこの春に、その残り3本が発芽して来たのです。

左側の鉢は 内径12cmの鉢で、水遣りはせずに そのままにした鉢です。ウメの種子を播く鉢の大きさについては、鉢の中の土の容量が 内径8cmでは、その物質の濃度が高くなり 絶対に発芽出来ず、15cmでは その物質の濃度が下がり 確実に発芽出来る事が分かっています。そこでこの実験では その中間の内径12cmの鉢の場合は、どうなるのかを 調べてみたのです。結果は この鉢の大きさの濃度が境目の濃度になる様で、翌春には 6鉢中 1本も発芽して来ませんでしたが、そのままにしておきました。すると この春になって 3本が発芽して来たのです。残りの種子は 多分死んでしまったものと思われますが、念の為 来春迄待ってみます。

要は これらの1年遅れて発芽した6株は、「死ぬ」と「生きる」の境目の状態に置かれた種子なのです。その状態で 死んではいないのですが 発芽出来ない「仮死状態」になり、通常の休眠とは異った状態で 1年目には 発芽出来なかったのでしょう。その仮死状態が解けた後 2年目に 発芽して来たと思われます。以前の別の実験では 3年目に発芽して来た例も有り、この仮死状態はかなり長くなる事も有る様です。

ウメの種子の発芽仕組み

ウメの種子の発芽には、何故この様に複雑な 「休眠機能」と 濃度が高くなれば死んでしまう危険な「休眠解除機能」を持っているのでしょうか。休眠させて 後で解除するのであれば、最初からそんな面倒な仕組みを付けなければ良いのではと思います。その理由を考えてみると、ウメの実は 6月に完熟するので、その時期に理由がある様に 私は思います。もし 落葉樹のウメが 実が完熟して、種子が播かれて直ぐに発根して 夏の終わりに発芽してしまうと、春の時期には既に遅く 秋が直ぐ来てしまうので 出した葉が無駄になり、とても中途半端な発芽時期になってしまいます。そこで この様な複雑仕組みを採って、秋迄発根を遅らせて 翌春に地上に発芽しているのではと思います。

ウメに近い時期に熟すビワは、実が落ちて直ぐに発芽して来ますが、常緑樹であるので 全く問題無い様です。

ヤマブキの花

今年もヤマブキの鮮やかな黄色の花が目立つ時期になりました。

f:id:tanemakijiisan:20240408215458j:imageこのヤマブキの花を見ると 何時も思い浮かべる和歌があります。それは「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに 無きぞかなしき」です。この歌は 太田道灌の逸話でも有名で、落語の題材にもなっています。でも 私が感心するのは、平安時代の貴族や文化人の 自然や植物に対する知識の高さなのです。当時既に品種改良された八重のヤマブキが有り、野生のヤマブキは種子が出来るが、その園芸種には種子が出来ない事を、歌の作者も評価する側も それを認識していた事になります。そうでないと この歌に秘められた想いが伝わりません。

現代の人に 山道で、「この緑色の小さな房がヤマブキの種子ですよ」と教えると、「えっヤマブキって種子が出来るんですか、あんな歌が有るんで 実が付かないのかと思ってました」と帰って来ます。自然に対する関心が薄く、野性種と園芸種の違いが全く認識されていないのです。昔の人は 今の人が考えているより ずっと賢かった様です。

地表に咲いたサクラのお花見

各地のサクラの満開の便り聞かれる頃になりました。今年は例年よりかなり遅れている様です。散歩も少し遠回りでも.サクラの見られる道を選んで歩いています。近くの神社の境内を通った時、サクラの木の根元に 小さな花が咲いているのを見かけました。

f:id:tanemakijiisan:20240407072922j:image地表から僅か数cmの高さです。この木は 多分植え付けてから 40から50年程でしょう。参道脇の境内なので、実生とは考えられません。ならば 販売された苗木なら、必ず目的の品種を接木している筈です。すると この位置に咲いた花は、穂木の花なのか 大木の花なのか どちらの花なのでしょうか。感じとしては 穂木の ソメイヨシノか台木の少し混ざった物の様に見えます。

少し穿った花見かも知れませんが、上ばかり見ずに 下も見ていると 楽しいですよ。