藤蔓の誘引

我が家に 30年以上前に庭に植えて、モッコクに絡みついているフジが有ります。このフジは 知人から「野生の薄紫の花の藤で 香りが有る珍しい物なので、分けて上げましょう」と言われて 分けて頂いた株です。園芸種のフジでは 香りの有る物は多いのですが、野生のフジで 香りの有る物は とても少ないのです。このフジを 庭のモッコクの傍に植えておいたのですが、いつの間にか モッコクに絡みついて、木の頂上にだけ葉を茂らせていました。でも モッコクが弱っている様子は見られなかったで、そのままにして置きました。ただ このフジの花の咲いている姿は まだ見た事は有りません。見えない位置に花を付けても 香りは漂ってくる筈なので、多分花は咲いていないのでしょう。野性の樹木は 実生は勿論の事 挿し木でも、何年待っても 花を付けない物が多いのです。

誘引法

木性蔓植物には 早く花を咲かせる 特別な蔓の誘引法が有ります。このブログでも 2年程前に詳しく解説した投稿をしましたが、もう一度 その概要を紹介しておきます。

その誘引法は 蔓を地上から2から2.5m上に上げて、そこから 所定の長さ真下に下げて、その先を水平に誘引します。葉はその水平部分だけに付けて、水平部より根元の芽は 全て掻き取ります。誘引後の 一夏は、葉に十分に日を当てます。すると 翌年には 水平部分の芽は、殆どが花芽になります。この誘引法で 真下に引き下げる落差は、樹種によって異なります。アケビが最も少なく、30cmでも 効果が現れます。ヤマブドウやサルナシでは 80cm以上必要です。この引き下げは 根元近くで行い、中間や先端を下げても効果は出ません。この誘引で 花は付きますが、実は 一定年数経たないと成りません。実を早く成らせるのではなく、花の鑑賞や雌雄の確認を早く行うのに役立ちます。

フジ蔓の誘引

フジは 実を使う事は無く、雌雄を早く判定する必要も無いので、この誘引法を試した事は有りませんでした。最近 藤の花の話題になった時、この花の香りの事を思い出しました。誘引の時期には 少し遅いのですが、秋迄待つと 又忘れてしまいそうなので、今直ぐにやってみる事にしました。

f:id:tanemakijiisan:20240502203908j:image 後の太い2本のモッコクの間に見える蔓が、地面から上に上がったフジの蔓で、手前のくねった蔓が上から引き下げた部分です。右下の緑の葉は 良く似てますが フジの葉ではなく、プランターに植えたサンショウの葉です。

ただ この蔓を フジの葉やモッコクを傷めない様に外す事は無理です。葉の多く付いた蔓の先端部は 外せないので 切り離し、残ったフジの葉もかなり傷めてしまいました。

f:id:tanemakijiisan:20240502204931j:image 幸い株が枯れる程 蔓を傷めなかったので、5月に再度 沢山出して来た新芽です。もし この夏葉が少ししか茂らなければ、来夏に葉が十分茂る迄 もう1年待たないと 蔓誘引の効果は確認出来ません。

こうして置いて 結果が出るまで 1年か2年待ちます。この位置ならば もし花が咲けば 必ず気付きます。この様に 何年先になるか分からない事でも、色々な「話の種子」として播いています。

このフジの効果が出ましたら、忘れた頃に また投稿します。