寒ボタン(もどき)の経過報告

先に投稿した寒ボタンらしき株の 現在の状況を報告します。

専門家の見解

私はボタンの実生は 数多く扱って来ましたが、寒ボタンについては 全く経験が有りません。そこで 今回 専門家に この詳細な状況を話して、この株の寒ボタンの可能性を聞いてみました。結果は「それは春咲きのボタンが 異常な時期の刈り込みに遭って、起きている現象だと考えられ その可能性は殆ど無いと思います。ただ 寒ボタンの可能性が全く無いとは断言出来ないので、その後の経過を注意深く観察してみて下さい。」との事でした。そこで その極僅かの可能性に期待する事にし、現在その株を注意深く観察しているところです。

1月末の状態

12月末迄は 普通の緑色の元気な葉に見えましたが、1月に入ると 少しづつ葉の日焼けが目立って来ました。月末には日焼けの薄茶色が 大分濃くなっていますが、でもまだ 葉は枯れてはいません。ただ 興味深い現象は、葉が重なって直射日光の当たらない下の隠れた葉は、日焼けが全く見られずに 緑色の元気な葉のままです。当地は 冬でも暖かいと言っても、最低気温が氷点下になる日も有りました。この事から このボタンの葉は 低温にはかなり強いが、低温の時に直射日光に当たると 日焼けして葉が傷められる様です。これとは逆の現象で、ミヤママタタビの葉は 低地の真夏の高温下で、長時間直射日光に当てると日焼けを起こし 枯れてしまいます。ただ 直射日光に当たる時間を制限すると、高温でも葉は日焼けせず良く育ちます。でも 標高の高い自生地では 一日中強い紫外線の直射日光に当たっていても、全く日焼けは起こしません。この事から 落葉植物の葉の日焼けは、気温や紫外線の量で起こすのでは無く、日照時間や気圧も関係している様です。

今後の予想

現在の株の状況で 気になるのは、春に芽吹く冬芽が見られない事です。この株は 初夏に根から出た二度目の出葉の為か、茎らしい部分が殆ど見られません。一見タンポポの様なロゼット状に見えます。その為 葉の付け根に出来る冬芽が出来ないか 目立たないのかも知れません。このまま冬芽が膨らま無い状態で 春を迎えると、去年の初夏の出葉の時と同様に 根から直接不定芽が出て来て 大きく育つのかも知れません。その場合は いくら株が元気でも 花芽は付かず、期待した花は見られません。でもそうなると 春咲きの蕾を摘み取るのと同じ結果になりますので、もし寒ボタンであれば 秋に芽を出して花を付けるかも知れません。また 今付いている葉が 春に出葉する葉と、どの様に入れ替わるのかが気になります。

追加観察

2月11日に調べ直したところ、葉をかき分けて 中心部を調べてみると 2個の小さめの冬芽が見つかりました。小さい葉を付けて 枯れている芽も 2個有りました。2個の冬芽は 膨らみは見られないので、春には花は付けないと思います。今の葉は 端が少し枯れている葉が少し有りますが、まだ十分元気です。

寒ボタンを期待する根拠

普通のボタンで 夏に誤って刈り込んだ経験は有りませんが、それに似た状態の コウモリガの幼虫の食害によって、地上部が夏に枯れてしまった経験は2度有りました。一つは株が枯れてしまい、もう一つは翌春に弱い葉芽が出て来ました。地上部が無くなって直ぐに芽を出した 今回の様な株は初めてです。そこで もしかすると これは普通のボタンとは違うのでは と思ったのですが、この他にも そう思った現象が見られます。それは 発芽から花が咲く迄の年数なのです。私の経験上 その年数は普通は 約8年で、最少3年 最長12年です。その年数が極端に短かったり 長かった株は、異常な形質が現れる事が多い様に思います。この株は 5年で花が咲いていますので、その点からしても 普通のボタンでは無い様に思ったのです。

寒ボタンの形質

先の専門家によれば 春咲きのボタンと寒ボタンの間には、現れる寒ボタンの形質の強さによって 色々な状態が有るそうです。毎年必ず寒ボタンの形質が現れる 完全な寒ボタンや、1,2年おきにその形質が現れる株や それが数年に一度現れる株等が有るそうです。でも それを確認するには、その様な形質を示しそうな株は、全て春の蕾を摘み取って調べなくてはなりませんし、摘み取って 寒ボタンにならなかった株は、その年は花は見られない事になります。葉や花の状態についても、色々な中間状態が有ると思われます。

実生の寒ボタンの情報

この寒ボタンの情報を調べていると、その種類や手入れの仕方については沢山有るのですが、実生の寒ボタンの情報は 全く見つかりません。新品種の寒ボタンは 当然実生で出来た筈で、その実生株がどの様に作られているか、幼い株が二季性を現すのは無理なので、発芽後何年頃から寒ボタンの形質が現れるのか、その判定方法はどの様なものなのか 等の情報が知りたいのです。また実生と接木の株では 寒ボタンの形質に、どの様な差が有るのかについても気になります。

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1月末の状態、上の葉を手で左に退けると、下に日焼けしていない葉が見られます。