ヤマイモのムカゴ

ヤマイモのムカゴが目に付く季節になりました。ヤマイモは掘るのは素人には無理ですが、ムカゴなら誰にでも容易に採取出来ます。それに味も芋とあまり変わりません。そこで今回はそのムカゴを紹介します。

ヤマイモ

ヤマイモは日本各地の山野に自生している野生の蔓性の芋です。雌雄別株で種子でもムカゴでも増えます。ムカゴは雌雄どちらにも出来ます。植生がとても強いので、果樹や庭木の花木に絡み着くと、日照を遮り その木を凄く弱めてしまうので、嫌われ者の雑草です。おまけにその繁殖力がとても強いので、一度庭に入られると 駆除するのは至難の業です。その様な植生の為、この頃では元々の山野よりも、住宅地の中の手入れの行き届かない庭で、良く見られるようになりました。しかし そんな雑草でも その蔓には秋になると沢山の食べられるムカゴが着きます。住宅地の庭で 沢山のムカゴを付けている光景を見ると、ついムカゴを採らせて下さいとお願いしたくなります。

ヤマイモ掘り

野生のヤマイモは、「長芋」「自然薯」などと呼ばれる高級食材です。粘りがとても強く味や香りも良く、栄養的にも優れた食品です。ただ 山野でそれを掘り出すのはとても大変な事です。ヤマイモは種子やムカゴで生えて数年しないと、食べるに適した大きさになりません。芋の部分は、春から初夏にかけて 茎や葉を作る為に、全てを使い切り萎びたカスになってしまいます。夏になると 地表付近から また新たな芋を作り、前よりも更に大きな芋になります。この様に 毎年新しい芋に作り替えて、年毎に大きく 深く太くして行きます。日当たりの良い場所では、数年で 深さ1.5mほどで、太さ4,5cmになります。ただ 芋が太くなっているのは、地表から4.50cm下からで、それより上は細い棒の様な物です。ですから その下の太い芋を掘るのは、とても大変な仕事です。専用の芋掘りノミを使って、芋の片側を芋を傷付けない様に丁寧に掘って行きます。芋はとても折れ易く 折れるとその下の部分は、掘り出すのはとても困難です。掘った土は ノミに粘着させて穴から出すのですが、これにはには ちょっとしたコツが有り、それを覚えないと掘れません。掘った穴は、必ず埋め戻して下さい。そのままにして置くと 草に隠れてしまい、穴に落ちると 足を挫いて とても危険です。

ムカゴ採り

芋掘りに比べ ムカゴならば、道具も技術も要らずに採れます。ムカゴは日当たりの良い場所に生えている蔓で、細い蔓に大きいムカゴが沢山つきます。太い蔓には ムカゴは付きません。ヤマイモにとって 細い蔓は、葉で出来た養分を 地下の芋まで運ぶよりも、その場でムカゴにしてばら撒く方が 繁殖には都合が良いのです。ムカゴを採る時は、出来るだけ蔓を揺らさずに 一つづつそっと採らないと、蔓からすぐにポロポロと落ちてしまいます。

食べ方

採って来たムカゴは、使う前に ざっと大中小に分けておきます。我が家では、大粒の物は ムカゴご飯に、小粒の物は 卵とじに、中ぐらいの物は 油炒めにしています。

駆除の仕方

ヤマイモを庭から駆除するには、数年かかります。春から夏にかけて、月に一,二度 庭の隅々まで丁寧に点検し、蔓を見つけたら 引き抜いておきます。地上の蔓を引き抜いても、地下に芋が残っていると、また直ぐ生えて来ます。地下の深い部分の芋は、蔓を引き抜いても残りますので、またそこから生えて来ます。更に完全に抜き去ったつもりでも、取り残しが有るのが普通ですので、3年程は注意深く見直す必要が有ります。

 

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生垣に垂れ下がった ヤマイモのムカゴ。

 

次回は 宿根ソバを紹介します。