したたかなドクダミ

ヤマユリの耐暑性を選別する為の 播き床のプランターに、ドクダミが 5株一斉に発芽して来ました。8月上旬迄続いた猛暑が、台風の余波の纏まった雨で 一休みになると、それがドクダミにとって 絶好の発芽の機会だったのでしょう。それにしても この種子が何処からこのプランターに入って来たのでしようか。このプランターは 棚の上に置かれている事と、同じ棚に置かれている他の5つのプランターには発芽していない事から、種子は プランターを ここに置く前に入っていたとしか考えられません。ドクダミの種子の散布法は 落として撒き散らす方法で、鳥や虫に運んで貰う事は無いからです。とすると この種子が ここに播かれたのは、ヤマユリの種子を播いた2年前より もっと前になり、播かれて3年以上経ってから発芽した事になります。ドクダミは 多分播かれてからの年数で 発芽するのではなく、発芽の好機を ずっと狙っていて、その好機が来たら発芽するのでしょう。隣接していないプランターも調べて見ると、ヤマブドウの種子を播いて 地上に置いておいたプランターにも、同じ様な大きさの 実生苗が3株 見つかりました。これは何時 種子が播かれた物かは分かりませんが、同じきっかけで発芽して来たのでしょう。地面に直接置かれた発泡スチロールの箱には、箱の外のドクダミが その地下茎を箱の底の部分に侵入させて、底を突き抜いて ドクダミが箱の中に侵入して来る事が良く有ります。でも流石に プラスチックや陶器までは 突き抜けられませんので、プランターの中の苗は 実生です。その凄い生命力と繁殖力には 感心させられますが、播き床や植木箱には 不法侵入なので、見付け次第 即刻 強制退去して貰っています。

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ドクダミの主な繁殖法は、地下茎を伸ばして行く方法です。でも 花も良く付けて 沢山の種子を付けます。しかし その種子の殆どが 受粉しない無性生殖で出来るクローンだそうです。セイヨウタンポポと同じ 強烈な繁殖法です。でも 自生している現場を見ていると、その種子の数からすると 夥しい数の実生苗が見られる筈なのに、掘り起こしてドクダミを取り出すと 殆ど地下茎で繋がっている株だけで、実生苗は殆ど見つかりません。これは 樹木の種子に良く見られる 発芽抑制機構が有るのでしょう。草の種子に にこの機能が有るのは 珍しい方です。

ドクダミは 物凄い繁殖力で 何処にでも見られますが 民間薬としても有名で、「十薬」や「重薬」と呼ばれて使われています。でもそんなに古くから民間薬として使われていた訳ではなく、江戸時代の8代将軍の吉宗が、民間薬としての使い方を広めた薬用植物の一つとされています。我が家でも 花の時期に刈り取って 陰干し、ドクダミ茶として使っています。

ドクダミには 殆ど他家受粉しない割には、突然変異がよく見られます。花弁が八重になったり 赤色の株が、時々見られる様です。これも ドクダミのしたたかな生き残り戦略の 一つなのかも知れません。

f:id:tanemakijiisan:20230819112449j:imageこれは 裏通りの 道路と建物の間の20㎝程の隙間に咲いている 八重のドクダミです。この株は 普通の株に混じって、毎年 何輪か咲いています。多分 家の人は 気付かれていないと思います。