サンショウ属の発芽

毎年アシガラサンショウの雄株に付く両性花から出来る種子を播いているのですが、去年は 大きめのプランターに纏めて播いておきました。他の種子が入り込まない様に、種播きしてからしっかりと網戸用のネットで覆いを掛けて置きました。すると 今春に 11本のサンショウが、芽を出して来ました。

f:id:tanemakijiisan:20230623111322j:imageでも 良く見ると サンショウは2本だけで、他はカラスサンショウの様です。このカラスサンショウは、サンショウの種子を播いた後から入った事は考えられませんので、プランターに入っていた用土に 最初から入っていたのでしょう。このカラスサンショウやフユサンショウは、木に付いた実を小鳥が食べる場合も有るのでしょうが、地表に落ちたものを 土鳩の様な鳥が 啄ばむ方が多い様です。家の庭でも 鉢植えの土が、引っ掻き回されているのを 良く見かけますので、朝夕人気の無い時に 土鳩等が来ていると思います。これ等の鳥が食べたサンショウ等の消化残りが、糞と一緒に撒かれて 離れた場所に 発芽するのです。我が家にはカラスサンショウは有りませんが、近くの山には生えていると思います。逆に 数年前まで我が家の庭に、私が遠くの山から採って来て植えた フユサンショウが有ったのですが、隣接する山の斜面にフユサンショウが生えているのを見かけた事が有ります。フユサンショウは 近隣の山には 全く無いので、我が家のフユサンショウの実を食べた鳥が 播いたのだと思います。このカラスサンショウとフユサンショウは、サンショウと違って 種子が数年間休眠出来るのです。サンショウの種子は、休眠は出来ず 発芽しなかった種子は すぐに枯れてしまいます。この休眠が解ける条件は、播かれた表土が明るく開ける事の様です。数年前に伐採したフユサンショウなのですが、今だにまだ 庭の思わぬ所から発芽して来ます。

ここで話を このプランターに戻しますと、このプランターは 以前茂った藪の下に置かれていました。多分このプランターの中を 土鳩が餌を漁った時に、食べたカラスサンショウの種子の混じった糞をして、それがそのまま休眠してしまったのでしょう。それが明るい所に出されたので、一斉に発芽したのだと思います。

サンショウ属の種子には、黒い艶のある表皮の下に 薄い油脂層が有って、鳥に食べて貰って それを取り除かないと、発芽出来ないのです。その代わりに 9割程を消化されて鳥に与え、残り1割程を糞と一緒に 遠い場所に播いて貰っているのです。