ボタンのカビ病

ボタンの葉にカビが生えた様な症状が出て、葉が弱って来て 酷くなると株が枯れてしまう病気が、3年前に発生しました。20㎞も離れた株も 次の年に罹っていますので、地域一帯に蔓延している様です。正確な病名は知りませんので こう呼んでおきますが、胞子による空気感染している様です。

f:id:tanemakijiisan:20230817215410j:image手前2箱と中右2箱は 種間雑種のオリエンタルゴールドで、奥2箱は ボタンで、全部の株が 去年からカビ病に罹っていました。

f:id:tanemakijiisan:20230817230529j:image葉が冬でも枯れなかったボタンです。今年の春に出た葉に、カビ病の症状が出ています。この株は 今年罹ったので、葉の傷みはまだ軽症の方です。

この病気の対象は、ボタンとシャクヤクとその種間雑種の様で、ヤマシャクヤクは 罹らない様です。今のところ全てのボタンやシャクヤクが罹る訳ではなく、僅かですが罹らない株も有る様です。前回 種子を採取したと投稿した3株は 症状が出ていませんが、耐性が有るのか これから罹るのかは 分かりません。若い株や苗は 罹り難い様で、発芽3年目迄の苗には 病変は見られません。

この病気の症状は 始めに 葉に症状が現れ、酷くなると 葉柄にも黒いシミが現れます。罹患した年に枯れる事は無く、翌年は 木が弱って花の数が少なくなり、咲いても種子を付ける程の勢いは無くなります。その翌年には枯れる株も有り、回復した株は まだ確認出来ていません。茎や根がどうなっているのか、外観からは分かりません。

この病気に対しては、発症した株の廃棄や農薬の散布等の特別な対応は採らず、症状と経過を出来るだけ詳しく見守ります。枯れ葉や剪定した茎もそのまま放置し、用土もそのまま再使用して 拡散するか 観察しています。

この病気に似た現象は、30数年前に経験した事が有りました。対象の植物はこの時もボタンで、病気は 紫紋羽病でした。この菌は 何処にでも良く見られる白紋羽菌の仲間で、白紋羽菌は通常枯れた植物体にしか付かず、朽木を土に戻すので 森の掃除屋と呼ばれている菌で、稀に 生きた野菜の根にも付く事が有ります。これに対し 紫紋羽菌の方は、生きた木の根に付き 急速に木全体に広がって、その木を 発症から10日もしない内に枯らしてしまいます。その時も 隣り合う3株の 花を10輪程付ける実生のボタンが やられてしまいました。被害はボタンだけでなく、近くのヤツデも2本枯れてしまいました。枯れたボタンの木を根元から伐採して、その断面を調べてみると 紫色が確認出来ましたので、紫紋羽病と判定しました。この菌は ボタンやヤツデの様な、柔らかい瑞々しい根を持つ樹木に 付き易い様です。この時も 農薬を散布することを考えましたが、やめて 経過を見ることにしました。その理由は 4km程離れた2ヶ所の住宅の庭のヤツデにも、同じ症状が見られたからです。同時多発的では1ヶ所の殺菌駆除は意味がなく、他の有用菌を駆除することになりかね無いからです。仲間の白紋羽菌にも、何かのきっかけで 突然一斉に凶暴性に変化し、生の草木に襲いかかる事が有り、短期間で 元の性質に戻る様です。何が原因かは分かりませんが、キノコを含む真菌類の持つ特性の一つかもしれません。

このカビ病についても、20㎞程離れた数ヶ所のボタンにも、同じ症状が見られましたので、やはり同時多発的の様です。発症から既に3年目になりますが、もう少し様子を見てみようと思っています。もし 中々収まらない様であれば、この菌に耐性のある株を増やして行く必要が有るのかも知れません。

もう一つの原因として、気候の高温高湿化が この病気を誘発している事も考えられます。もしそうであれば、耐性のある株に移行する事は、ボタンの温暖化対策の一環となります。今後この事も頭に入れて 調べて行こうと思います。