緑枝挿しの様子

以前緑枝挿しのセットの作り方を投稿しましたが、今年はサンショウとシデコブシをしましたので、その様子を紹介します。セットの詳細は 前回の投稿を参照して下さい。

サンショウ

雌雄別株のサンショウに、僅かですが 両性花の付くアシガラサンショウと名付けたサンショウが有ります。この株の両性花から採れた種子を 毎年播いて、実生株を育てています。でも 花が咲く様になっても、中々両性花を沢山付ける株は現れません。その中に今年初めて3房花を付けた株が有り、その花をよく見ると 多くが両性花が有る様に見えました。来年以降 もっと花の数が増えて、花がしっかりと観察出来れば 本当に両性花かどうかが判ります。揷し木をして増やすのは これを確認してからでも 良いのですが、念の為 今年の内に 揷し木をしておく事にしました。サンショウは 揷し木が容易で、接木より簡単です。また大きくなってからの移植は、枯れる事が多いです。

シデコブシ

7,8年前に 佐賀の吉野ヶ里へ行った時に、植木市でやけに花びらの多いシデコブシが有ったので、買い求めて来ました。家に帰ってから 花をバラして 花弁を数えてみたところ 64枚でした。今迄私の育てた中で 最多の花は 34枚です。シデコブシは 12から14枚が普通です。この花びらの枚数は、樹の勢いや気候や環境によって変わって来ます。この株も庭に定植してからは、樹の勢いが弱いせいか 30枚程になってしまいました。種子も他の花の花粉を受粉してみたのですが、実は付けませんでした。この株は接木した部分がはっきり分かる状態でしたので、もしかすると台木と穂木の相性が悪いのかも知れないと思い、揷し木をした株を作ってみる事にしました。シデコブシは 揷し木が難しく、通常は 接木で増やしています。去年は温度管理が悪くて 失敗してしまいました。そこで今年 再挑戦してみたのです。

揷し木の時期

緑枝揷しをする時期は、新芽の葉が完全に伸び終えた直後が適期です。今年は 5月3日にしました。

挿し穂の作り方

挿し穂は 日当たりの良い樹の上部か南側の 良く伸びた枝を使います。切り取った穂木は 1日水に差して置き、しっかり水を吸わせます。葉の数は 3~5枚になる様に、元の方の葉を取り除きます。各葉は 面積が半分になる様に 葉先を切除します。

揷し木の管理

土に 1~2㎝の深さに挿します。土に十分水を掛けて、厚さ0.01㎜程の薄いポリエチレンのシートを掛けて しっかり密閉します。これより厚いシートを使うと、中が蒸れて高温になってしまい、一度でも高温になると 葉は枯れてしまいます。中の空気が澱まない様に 2日に1回程度は、挿し穂の点検を兼ねて換気をします。揷し木セットの置き場は、日中 1~2時間 木漏れ日の当たる所に置きます。水遣りは 土の表面が乾くか 日中にシートの内側が水滴で曇らなくなったら、水を補給します。水を遣り過ぎると 発根が遅れたり 発根しない事が有りますので、葉が傷まない程度に 乾燥気味にしておきます。今回も挿した後 まだ1度も給水していません。

発根後の管理

1ヶ月から2ヶ月すると 発根して来ます。穂木をそっと摘んで ゆっくりと ほんの少しだけ持ち上げて、発根しているか調べます。発根していれば、持ち上がらないか 土ごと上がって来ます。発根していなければ、穂木は簡単に抜けて来ます。発根していれば 覆いを外して、置き場所を 1日2時間程度 直射日光の当たる場所に移し、土の表面に 乾燥防止用に小枝のチップを敷いておきます。水遣りは 晴れた日には 毎日行います。

f:id:tanemakijiisan:20230613094559j:image6月12日の挿し穂の状態です。左側が サンショウで、もう発根していると思います。右側が シデコブシで、多分まだ発根していないと思います。7月半ばになって 葉が枯れてなくても 発根していなければ、もう発根する事は無く 今年も揷し木は 失敗です。その時は また来年も 条件を変えて、再挑戦してみます。