緑枝挿しセットの作り方と使い方

緑枝挿しの季節になりました。私のやっている緑枝挿しの 簡易装置の作り方と使い方を紹介します。

装置の作り方

・用意する物

プランター:外型寸法、横,52 縦,37 高さ,22cm、横の袖の部分に 支柱を挿す穴が、17.5cm間隔で 両側各3つある物

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覆いを受けるネット:プラスチックの2.54cm間隔の格子で、使うのは15マス×16マス

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用土:揷し木用又は鹿沼土の細目1袋

覆いフィルム:厚さ0.012㎜のポリエチレンフィルム、単体では入手出来ないので 45Lの袋を買って切る。厚みはこれ以上厚いのは不可です。

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フィルムを留めるクリップ:ホッチキスで製本した紙の文書のホッチキスをカバーする物。廃品を使っているので、商品名は知りません。A4用の物 3本。

・作り方

プランターに用土を半分くらい入れる。

プラスチックのネットを次の様に加工する。

15マスの方の両端の部分を切り取る。

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更に3本のツメを残す様に、両端から2本目と中央の3本だけを残して 他は切り取る。

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ネットをアーチ状にして、3本のツメをプランターの支柱用の穴に差し込む。

ポリ袋は 両脇と底を切って、2枚の覆いフィルムに切り分ける。その1枚のフィルムをネットの上に掛ける。もう1枚は 破れた時の予備として取っておく。フィルムの四方をクリップで 次の様に留める。まず長手方向をA4のクリップでフィルムを留め、次に短手方向を A4のクリップを半分に切って、フィルムを留める。

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これで 簡易揷し木セットは完成です。

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要は ほぼ密閉された栽培容器を作る事なのです。その容器は 光と熱は良く通すが、水蒸気は密封する容器です。フィルムが厚いと 直射日光が当たった時、熱がこもって葉が萎れてしまいます。

使い方(挿し方)

挿し穂は 新葉の展開が終わった枝で、今年伸びた部分を使います。葉の数は3〜5枚で、枝の長さは先端から 5〜10cmで、それぞれの葉は 5〜6割残して切り取ります。全葉を使うよりも 半分にして2倍の葉にする方が、リスク分散が図れます。

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揷し木セットの覆いのフィルムとネットを外します。挿し穂の枝の半分ほどを用土に挿します。水を用土にたっぷりかけます。プランターにネットをセットして、そこにフィルムを掛けて 四方をクリップで留めて密閉します。

セットの置き場は、1日2時間ほど 直射日光の当たる所にします。換気は1日1回 短手の方のクリップを1ヶ所外して フィルムを開けて、中の空気が回転して入れ替わる様に、息を1回吹き込みます。給水は用土の湿り気が無くなって来た時に たっぷりかけます。空中の湿度が高いと 葉からの蒸散が抑えられ、水分が少なくても葉は枯れません。また 地中の水分が多いと 発根は遅れます。給水の頻度は、私の場合は 多くても10日に1回で、長い時は 40日に1回程度です。

移植

発根すると新芽が出る樹種では、発根したら鉢に移植して、普通の日照と水遣りにします。発根しても 新芽を出さずに冬芽が膨らむ樹種では、秋までそのまま管理してから植え替えます。

移植困難な樹種に応用

実生の苗を 掘り上げると 牛蒡根だけになってしまい、そのまま移植すると枯れてしまう 茶の木や野バラの様な樹種は、この揷し木セットで 細根が出るまで養生すると、安全な移植が出来ます。