アシガラサンショウの両性花の変化

サンショウの実の収穫時期になりました。アシガラサンショウも実がはっきり分かる状態になって来ましたので、今年の実の着き方について投稿します。

実の着き方の変化

最初にこの雄株に実が着いているの見つけた時は、その木の雄花を「花山椒」として採取していた時期でした。ですから 実は取り残した花房に着いていた両性花によるものでした。1個見付けたので、高さ3mほどの木全体を調べてみると、全部で8個見つかりました。でも もし花房を採取していなければ、もっと多くの実が成っていた筈です。また もっと以前から実がなっているか調べていれば、実が何時から成り始めたかが分かったのですが、残念ながら実が成るなんて思いもしなかったので 調べた事は有りませんでした。この木は 山で 多分30年以上経っている木の枝から、揷し木して育てたものです。10年以上前に揷し木苗を直植えし、その後4,5年して花を付けて 雄株と判明したのですが、その時は実が着いていなかったのは確かです。ですから それ以降 実を発見した年までの間の どこかの年からか成り始めたのでしょう。その成り始めた年は、突然数十個も成ったとは考えられません。せいぜい 最初は 2〜3個ほどでしょう。実生の果樹等の場合は、花が咲き始めた頃は 殆んど実が着かずに、木が古くなって来るに従って 良く実を着ける様になるのが普通です。揷し木苗の場合も 実生ほど顕著ではないのですが、この傾向が見られます。ただ アシガラサンショウの場合は、もっと複雑な要因が有ります。それは 雄花の中の両性花が増えて来る割合と、その両性花が実を着ける割合の二つが絡んで来るからです。私の推測では、この両方共が年を経るに従ってその割合が増えて来ると考えています。実を見付けた年以降は、花を採取するのはやめています。成った実の数は、発見の翌年は 40個を少し超える程度で、それが毎年少しづつ増えて 去年は100個を超えるほどになりました。今年は多分それよりもかなり増えている様に見えます。両性花の数は 小さい花なので判り難いのですが、花が咲き終わった後の花柄を調べると判ります。普通の雄花は 花が咲き終わると、花柄の根元から散ってしまいます。それに比べて 両性花は、花が咲き終わるとると、実が留まらなくても 花だけ散って 花柄はそのまま残っています。この現象は3年ほど前に気付いて 調べ始めましたので、それ以前の期間の記憶は有りませんが、ここ2,3年は確実に増えて来ています。この様な観察結果から、木が大きくなった事を考えても それでも両性花も実の数も、「木が古くなるに従って その割合が増えて来る」と言えそうです。では この先どうなって行くのでしょうか。究極の状態は、全ての雄花が両性花に変わり、殆どが実を着ける様になる事です。でも そこ迄は行かないと思います。ここでもう一つ問題になるのは、木がどれだけ古く迄持つかです。山のサンショウの木で、古い木を見ることは 稀です。殆どが 日照りによる水不足か 強風で倒れて枯れます。この二つの原因をしっかり管理すれば、数十年持たす事も可能です。現にこのアシガラサンショウも 一度台風の強風によって45度に傾き、根の半分以上が切られて 枯れかけました。現在はステンレスのフックとワイヤーで保持し 厚く敷き草を敷いて、以前よりも元気になっています。これからこの木がいつ迄生きて、どう変わるか調べて行こうと思います。

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左が成熟したアシガラサンショウの実、右が不完全な実と花柄だけになったもの。

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アシガラサンショウの実の成り方。

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普通のサンショウの実の成り方。