ヤマブドウの実

我が家に植えたヤマブドウの実が色付き始めました。ヤマブドウは色付いたら食べられるわけではありません。平地には自生しないヤマブドウの栽培を紹介します。

ヤマブドウの自生地

ヤマブドウ中部地方以北の標高600~2000mぐらいの山でよく見られます。それを暖かい平地で栽培してみようと、20年ほど前に 秋田の山で採取した枝を、庭に植えてみました。すると とても良く成長するのですが、我が家は無消毒なので すぐに茎を虫に食われてしまいます。最初に植えた株は 多少虫に食われても良く育ったのですが、花が咲いてみると 雌しべの無い雄しべだけの花でした。ここで初めてヤマブドウは雌雄別株であると知りました。そこで雌株である事を確認して枝を採取し、それを庭に植え付けました。でも雌株は虫に喰われると、すぐに枯れてしまいます。3回植えてもダメだったので、庭に植えるのを諦めていました。ところが 数年ほど前から 気候の温暖化のせいか、色々な害虫の被害が 目立って減って来ました。そんな中でダメ元で植えとおいた雌株が、3年前から虫に喰われる事無く ぐんぐんと伸びて、去年には3房の花を咲かせました。この事から ヤマブドウは、暖地の平地でも虫の害に遭わなければ、栽培は可能であると言う事が判りました。

雌株の結実

揷し木株は 実生株ほどではないですが、5,6年経って木が大きくならないと 花が着きません。また 花が咲いても 木が若い内は、房の中の僅かの花しか結実しません。去年初めて咲いた3房の花も、辛うじて3粒の実しか採れませんでした。今年は少し増えて数房付きましたが、実が着いて残ったのは 3房でした。その内の1房は、15粒近くの実を付けています。この実は 9月初めには色付きますが、完熟はもう一回り膨らんだ11月初め頃です。

雌雄別株の受粉

ヤマブドウは 雌雄別株で、雄株の雄花には雄しべだけで、雌株の雌花には 雌しべと雄しべが有りますが、周りの雄しべは飾りで 稔性は有りません。ヤマブドウは風媒花で、近くに雄株が有れば、雌株は実を着けます。この受粉はかなり難しい様で、雄株の花の数や時期や雌株との相性や、花の頃吹く風に対し 雌株の風上に在る等の条件が合わなければなりません。自生地でも園芸種のブドウの様に、殆どの花が結実してびっしりと実を付ける房になる事は無く、疎らにしか結実しないのが普通です。ちなみに 園芸種のブドウは、雌雄別株ではなく両性花です。我が家には 始めは雌雄別株と知らなかった為に、先に雄株を植えてしまったので、幸運にも雌雄が揃っている訳です。

両性花の確認

去年初めて花が咲いた時は、雄株の雄花の方は見なかったのですが、今年花が咲く時に雄株の状態が気になったので、雄花も一緒に見てみました。そこで少し気になったのは、雄株の雄花の開花が 雌株の雌花の開花より、少し遅れていたのです。ただ雄花は1房しか見ていませんので、他の見なかった花が 早く咲いていたのかも知れません。でももし花期がずれていたのであれば、このヤマブドウの雌花は 雄花の花粉で受粉したのではなく、自身の雄しべの花粉で受粉する 両性花の可能性があります。気になって専門家に聞いてみたところ、もし両性花であれば、その雄しべの柄は真っ直ぐ伸びて、飾りであれば湾曲しているので、判別出来ると言われました。そこで雌花の写真をよく見ると、何となく曲がっている様に見えました。これを確実に確認する為に、来春雌花の房の半分を、蕾の内に袋を被せてみようと思っています。袋を被せても結実していれば、この株は両性花と言う事になります。ただサンショウの例の様に、全ての花が両性花になるのではなく、ごく一部の雄しべが念性を持つ事が考えられます。その場合その種を蒔けば、全ての花が両性花になる株が出来るかも知れません。今の園芸種もその様にして作られた野生のブドウを、改良して作られたのでしょう。

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開花した雌花

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3房の内 最も多く実を着けた房

 

次回は 栗拾いを紹介します。