栗拾い

クリの実が弾けて落ちる時期になりました。我が家のクリも先週から落ち始めましたので、その様子を紹介します。

クリの生き残り戦略

クリの実には 様々な生き残り戦略が隠されています。まず 果実を包む沢山の棘を持つイガは、発芽能力を持つ前に動物に食害されない様にする為です。同じ理由で未熟の実は、食べると渋い 渋皮で包まれています。この皮は完熟すると、渋味は抜けてしまいます。完熟して発芽能力を持つと、今度はそれ迄とは真逆の「如何に動物に食べてもらうか」の戦術に切り替えます。邪魔をしていたイガを開いて、中の果実を吐き出します。果実は美味しくて消化の良い澱粉質にして、土の中では長期保存が効く様にしてあります。ただ その包み方に工夫が凝らされています。それは敢えて乾燥にとても弱い構造にしてあるのです。もし 動物に見付けられずに、そのまま土の上に放置されると、3日もすれば乾燥して発芽能力を失い、実も味が格段に不味くなってしまいます。それは親株の根元で発芽をされると、無駄な生存競争をする事になります。ですから 発芽能力のあるうちに、遠くの動物の巣穴に運ばせて、そこで発芽させたいのです。動物が冬季の食糧として保存し、その食べ残しが1%でもあれば、クリにとっては大成功なのです。その様に乾燥に弱いので、雨の時には イガから離れる様に、イガの内側のワタ状の層が水に触れると、膨れてイガが外側に反って 実を落とす構造になっています。また実を包む鬼皮も、下面を水分を通すザラザラの構造にして、乾燥に弱くしてあり、上面の光沢のある部分は、湿気のある所でも腐らない様にしています。

クリの実に付く虫

庭でクリ拾いをすると時は、安全第一を考えて 実だけではなく、イガも一緒に集めて 焼却します。その際 忘れがちなのは、虫に喰われた実です。喰われた実をそのままにしておくと、中の幼虫が成虫になって 翌年の被害を広げてしまいます。必ず食害された実も集めて、虫を捕殺しておきましょう。ここで気になるのは、この虫による食害が 例年は、10数個有り 少ない年でも数個は有ったのですが、今年は1個しか見られない事なのです。ここ数年は 色々な害虫の被害が、段々少なくなって来て、クリもその例外ではありませんでした。植物を栽培する者にとっては 喜ぶ現象なのでしょうが、害虫であっても消えてしまうのは、何かとても不気味さを感じます。これも気候の温暖化の影響の様に思います。

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次回は キンモクセイとギンモクセイを紹介します。