ナンテンの花

ナンテンの花の季節になりました。普段よく目にする花ですが、よく観察するとちょっと変わった咲き方をしますので、紹介します。

開花順序

ナンテンの花房は1房に150〜200輪の花を付けます。小さい蕾が大きくなって白くなる迄は、全ての花が同じ様に成長が進みますが、花が開くのは同時ではありません。10輪ぐらいづつ開いていきます。普通の花は開く順番が決まっていますが、この花はその開く順番には全く決まりは無く無秩序です。何故無秩序なのかその理由は、花を隣り合って咲かせずなるべく離れた位置になる様にしたのだと思いますが、とても不思議な咲き方です。ナンテンは虫媒花で小さい甲虫が来て、花粉の袋を破いて行きます。袋に入っている花粉は、とてもべとべとした感じです。虫は蜜でなく花粉を食べているのでしょうか、身体中に花粉を付けて花の中を這い回っています。この花粉の袋を破る前に、既に体についていた花粉によって受粉します。その後破った袋の花粉が、虫の体に付着します。この状態で他の株に行けば、他家受粉になります。直ぐ隣の花に行ってもらっては自家受粉になってしまうのです。花は受粉が済むと直ぐに硬い花弁を落としてしまいます。この花弁のない花にはもう虫は来ません。これは一つの花房に虫を長居をさせない為です。これ等の動きは全て効率よく他家受粉する為のものです。

多くの植物は何とか他家受粉しようと色々な方法を採っています。雌雄別株にしたり、雄しべと雌しべの位置を変えたり、時間差を設けたり等が有ります。このナンテンは、咲く花の数と位置を制限し、咲いている時間を短くして、寄って来た虫を出来るだけ早く他の株に行かせて、他家受粉をする方法を採っているのです。普通の両性花では、とても珍しく巧妙なやり方です。

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次回はジャガイモの花を紹介します。