イヌビワのジャム作り

山道を歩いていると、イヌビワの黑い実が目立つ様になって来ました。今年はイヌビワの成り年の様です。沢山採れそうなので、久しぶりにジャムを作ってみました。

野生のイチジク

イヌビワは名前に枇杷が付いていますが、種としてはイチジクの仲間です。イチジクは人間が最も古くから園芸種とした果実の一つです。イヌビワは日本に自生する野生のイチジクで、雌雄別株で雌株には秋になると、大粒のブドウほどの黒い実が成ります。関東地方でも、低山や雑木林で良く見かける落葉樹です。

果実

イチジクよりは大分小さいですが、形と構造はほぼ同じです。味はイチジクほど甘味は有りませんが、ほんのり甘味が有り ねっとりとした食感で、苦味や臭みは有りません。鳥や動物に食べてもらって、糞に残った種子が離れた場所で発芽するのでしょう。

受粉

このイチジクの仲間は、かなり複雑な受粉方法を取っています。受粉には特定の蜂が関わっていて、その蜂も交尾にはこのイヌビワの実を利用するので、両者は共存関係になっています。その仕組みはかなり複雑なので、ここでは説明を省きます。詳しく知りたい方は、昆虫の本を見て下さい。ただこの受粉や交尾の後、雄は実の中に残り密漬けの様な状態になる様です。でも毒や変な味がする事は無く、寧ろ栄養的にはタンパク質少し増えるかも知れません。蜂の子が食べられない人は、食べない方が良いかもしれません。

ジャム作り

黒く熟した実を集めてゴミや汚れを拭き取ります。それをホウロウの鍋に入れて、砂糖を加えます。砂糖の量は好みによって異なりますが、私は実の 1/3ぐらいにしています。加熱は弱火で長時間加熱する人も多いですが、私は素材の風味が消えてしまう様に感じますので、強火で短時間で仕上げます。ただ焦げ付かない様に、とても忙しく手を動かさなければなりません。ブルーベリーのジャムも同じですが、果実の形が残る作り方と、ミキサーで粉砕して作る方法の2種類があります。私は簡単な形を残す方法で作っています。クワの実やデワノマタタビでジャムを作るときは、とろみをつける為に粉末ペクチンを加える必要が有りますが、イヌビワの場合は素材にとろみが有りその必要は有りません。

保管

大量に作ってしばらく保存する時は、小さめの瓶に分けて入れて、90℃以上で5分以上湯煎して高温殺菌し、高温の内に蓋を軽く閉めます。蓋は強く締めると、冷めたら固くなり開かなくなります。冷めた時蓋の中心部が、少し凹んでいれば密封が完成です。もし凹んでいなければ、もう一度加熱からやり直します。密封し殺菌が完成すれば、常温で1年間は保存出来ます。一度開封したら冷蔵庫で保存します。

 

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イヌビワの熟した実

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イヌビワのジャム

 

次回は 両性花のサンショウの実の収穫を紹介します。