新顔の果物

デワノマタタビは キューウィフルーツの仲間で、新潟,長野,福島,山形の豪雪地帯にだけ自生する マタタビ科の蔓植物です。この植物は まだ馴染みが薄くあまり目にしませんが、 家庭でも簡単に栽培出来そうな新顔の果物ですので、今回は その家庭向の試験栽培の経過を紹介します。

苗作り

繁殖は 揷し木で行いますので、既に栽培されている方を探して 枝を分けて貰います。野生の株は サルナシなどと同様に 個性が千差万別で、果樹に適した株を見付け出すのは無理です。揷し木は 緑枝挿しも出来ますが、剪定した枝を使う 春挿しが簡単で楽です。剪定した枝を 直ぐに20cm程に切って、半分程を土に挿しておけば 3月には芽を出して来ます。保湿用の透明の覆いを掛ければ良いのですが、そのままでも1,2割は活着します。家庭で栽培するのであれば、苗が1本得られれば それで十分です。このデワノマタタビは、マタタビ科の中で 唯一 単為結果する種なので、雄株を用意する必要は有りません。

栽培

私はこれまで 庭に直植えして 蔓を屋上に誘引していたのですが、今回は家庭で 庭が無くても簡単に栽培出来るプランターを使ってみました。大きさは 外径65×45cm 高さ35cmの物です。用土は下に 2,3cmの炭のかけらを敷き その上に5cm程の庭土を入れて、その上に落ち葉や庭木の剪定した枝を細かく刻んだ物を縁の高さ迄入れ、半年ほど置いて腐らせました。ですから 庭が無い場合は手軽に腐葉土を買って来て、土の上に 10cm程入れておけば良いのです。苗床を別に用意しなくても そこに枝を10本程挿しておき、活着した苗を1本残して 後は取り除いて、そのまま栽培用として使っています。その後の施肥は 一切していません。その代わり用土が少しづつ減って来ますので、絶えず 落ち葉や庭木の剪定屑や小枝のチップを追加補充をしています。この株は 2年目には花を沢山付けましたので、多分この方法で 家庭用として栽培出来そうです。消毒はせずに、虫が付いたら箸やブラシで取り除きます。剪定は 12月に 今年伸びた枝を、3から5芽残してその先を切り取ります。

果実

花は 5月上旬に 新梢の2,3節目の所から着き始め、葉の付け根に 1カ所に3から5輪の薄緑色の5弁の花を付け、3から5節連なります。もし 近くにキューウィの雄株が有ると、蜂などがその花粉を運んできて 受粉し、受粉しなかった実の2倍程の大きさになり 種子も入ります。デワノマタタビの果実は サルナシより一回り大きく、皮の柔らかい実です。その実は 薄緑色で、直径1.5cm 長さ2cm程の俵形の大きさで、10月下旬から11月に 弾力性が出て来たら収穫し、風通しの良い室内で追熟させます。緑色が濃くなって柔らかくなったら 食べ頃です。通常の受粉せず実った果実は、キューウィフルーツの様な種子は入りません。農薬を使っていなければ、水洗いして 皮のまま生食出来ます。沢山採れた時は ジャムにして食べています。味は淡白で 僅かに酸味と甘味が有ります。蛋白質分解酵素がキューウィフルーツより濃度が高いので、肉や魚料理の後のフルーツとして良いかも知れません。最近果物売り場で、ベビーキューウィの名で売られている物がこれだと思います。

f:id:tanemakijiisan:20230512165955j:imageプランターに植えて 2年目で花が咲いた状態です。

f:id:tanemakijiisan:20230512170223j:imageその上部は 周りの植木に絡みついています。今年は花が咲いても 2年目なので、実が留まってくれるかどうか分かりません。上手く収穫できそうな時は、秋にその状況を投稿します。