ヤマブドウの花後

ヤマブドウの雌株が自家受粉しているかを調べる為、2年前から雄花の花粉がかからない様に、雌花に 袋を掛けています。この雌株は 最近何故か害虫が殆どいなくなったので、良く成長し3年前から花を付け始めました。最初は2房で 年々数が増えて 5房 20房となって、今年は数えられないほど 沢山付けました。近くに在る雄株は どうも開花の時期が少しずれている様に感じられましたので、自家受粉している可能性があると思い、それを調べてみる事にしました。果樹は 木が成長して花が咲く様になっても、初めの内は 殆ど実は留まりません。花が咲き始めて数年してから 実が採れる様になるのが普通です。袋掛けの数は、2年前は2房 去年は5房 今年は15房掛けました。去年までは 袋掛けしたものも しないものも 殆ど実は付けず、2粒から5粒くらいしか採れませんでした。これはやはり普通の果樹と同様に まだ成り始めの為で、受粉や自家受粉の影響では無いと思います。しっかり実が付く様になってからでないと、この株が自家受粉するかどうか調べられない様です。今年は花を沢山付けましたので、この実を付ける時期になっていれば、自家受粉の可否の結果が出るのではと 期待しています。ただ 今年は花の咲く前に 強い風が吹く事が多かった様で、袋の半分以上が 風に煽られて 花房の根元を折られてしまいました。袋掛けは 開花の10日程前の 4月10日に行い、袋外しは 花が咲き終わって 実が少し膨らみ始めた 5月9日に行いました。

f:id:tanemakijiisan:20230509165656j:image袋を掛けなかった房です。

f:id:tanemakijiisan:20230509165910j:image袋を掛けた房で、実があまり膨らんでいないものです。

f:id:tanemakijiisan:20230509170110j:image袋を掛けた房で、実が良く膨らんでいるものです。

袋を掛けた房も 袋を掛けなかった房も、実はまだ少ししか膨らんでいませんが、袋掛けした房の1つだけが 何故か良く膨らんでいます。ブドウは受粉が上手く行かなかった場合でも、実が少し膨らんだ状態まで行くそうです。ですから 今の少し膨らんだものでも 実にならない事が多いので、最終的には秋にならないと結果は出ません。一番実の成る可能性の高いのは、3つ目の写真の 袋掛けした房で 実の良く膨らんでいる 1房だけです。もしこの実が出来れば、確実にこの株は 自家受粉する株だと言えます。自家受粉と言う事は、その雌花に付いている雄しべには 稔性が有り、その花は両性花であると言う事になります。今年の秋に どう成るかとても楽しみです。もし実が採れて 種子が採れれば、それを播いて 実生株を作ります。その実生株の雌雄の比率がどうなるのか、雌株の自家受粉性は有るか 等を調べます。

雌雄別株の両性花

雌雄別株の樹木は沢山有ります。その雌花と雄花の中には、雌雄両方の性質を持つ “両性花“ が混っている事が有るのです。でも一般には その様な株は無いと考えられ、もし有っても極稀な事と思われていますが、どうやら現実には かなり頻繁に現れている様です。確かに1本の木の中に それが現れる数は 極く僅かですが、その様な木の数の比率は かなり高い様です。具体的には 雌雄別株の樹木の中で、半分以上は その中に両性花を持っているのかも知れません。では何故その様な木は無いと思われているのでしょうか。それは 無いと思って 普通に其れ等の木を見ていると その存在に気付き難いのと、丹念にその有無を調べた人が 殆どいなかったからでしょう。私がその両性花を持つ木の比率が高いと思った根拠は、我が家の庭で サンショウ、ギンモクセイ、ヒイラギの雄株に僅かですが 実を見付けた事と、今また ヤマブドウの雌株に 自家受粉らしきものが有った事です。もし本当にこれらが 極稀な事象であったなら、一箇所で 一人が一生の内 3株も4株も重なる事は あり得ません。でも現実に起こると言う事は、これが稀な事象で無いからです。私がこれを見付けられたのは、必ず有ると信じて 丁寧に 全体を残らず調べてみたからです。

雌雄別株の種で 全ての花が両性花の株

私の最終的に目指しているものは、株の中に僅かに現れる両性花ではなく、全ての花が両性花になっている株を探す事です。雌雄別株の種で 全ての花が両性花の株は 山野には必ず存在すると思っていますが、其れを見付け出すのは 限り無く不可能に近いと思います。ずっと以前に ヤマブドウを調べていた時、その両性花が必ず存在すると思ったのが 両性花探しの始まりです。最近 この全部の花が両性花の株を探すよりも、一部両性花を持っている株を使って 全ての花が両性花になる株を作る方が、遥かに可能性の高い方法であると気付きました。

古代人の園芸種の葡萄の作出

園芸種のブドウは、雌雄別株ではありません。現在 世界各地で栽培されている色々な品種の葡萄は、数千年以上前の古代人が 野生のヤマブドウから作り出したものと思われます。手順としては まず 全ての花が両性花のヤマブドウの株を作り出して、その中から色々な形質の株を選び出し それらを掛け合わして、品種改良をして行ったのでしょう。古代人は 文字も器具も情報も無い中で、何故こんな高度な複雑な事が出来たのでしょうか。古代人は 現代人よりも遥かに高い “自然観察力“ と “思考力“ を持っていたからでしょう。私なんか 何十年か掛かって やっとその最初の段階に気付いたところです。現代人の方が遥かに優れていると考えるのは、思い上がりの錯覚なのかも知れませんね。