ヤマブドウの結実時期

今年から本格的に実をつけると期待していたのですが、残念ながらそうは行きませんでした。確かに花は本格的に付けたのですが、実が採れたのは たった3房だけでした。この木の着果については、自家受粉している可能性が有りましたので、今年は3房を選んで 袋を掛けて 雄株の花粉を遮断してみましたが、その房は途中まで実が膨らみましたが 実は出来ませんでした。ただ こんな少量の結実では 自家受粉の可否の確かな判定を出す訳には行きません。専門家によると 雌株に付いている雄しべは飾りで、受精能力のある花粉は作れない との事で、その雄しべは真っ直ぐではなく 湾曲しているとの事でした。確かに家の雌株も その雄しべは湾曲していますが、でも近くに在る雄株の花期や位置関係から考えると、やはりまだ自家受粉の可能性が疑われます。雄しべの花粉の形状と花粉の稔性とは、直接の関係は無いかも知れません。他の雌雄別株の植物でも、全ての花が両性花になるのではなく、ごく一部の花が両性花になる現象が見られます。私が現物で確認した例では、サンショウ、ギンモクセイ、ヒイラギが有ります。信頼出来る確実な情報では、サルナシでも見られるそうです。私もサルナシの雌株で、全く受粉しないのに 極僅かに実を付けた経験が有りましたので、花粉を調べて貰ったところ 花粉に稔性は有りませんでした。何処かからキューウィの雄株の花粉を虫が運んだのでしょうとの事でしたが、調べた花以外の花に稔性を持った花が有ったとも考えられます。これ等の樹木が 極一部にわずかに実を付ける現象が見られても、確認されて報告される事はまず無いと思われます。このヤマブドウでも 以前 植物の専門家間の又聞きの情報なのですが、「雄株が雌株に変化して 実が成った、こんな不思議な事が有るのでしょうか。」と言う話を聞きました。私はこれは 雄株の中に 一部両性花が出来て、実を付ける様になったのでは無いかと思っています。家の雌株についても 来年は袋を掛ける房の数を、20〜30房にして もう一度確認してみようと思います。

今年はヤマブドウの受粉については 確実な事は得られませんでしたが、平地の暖地での栽培における実の成り方について分かった事が有ります。今まで自生地における観察から 果実が熟す時期は、ただ漠然と 寒くなって葉が落ち始める頃と考えていました。一昨年と去年は ほんの僅かになった実が、9月初めには皮が少し皺になりかけていました。実が熟すには 少し早い様に感じられましたが、数が少ないからだろうぐらいにしか あまり気にしませんでした。今年 何となく気になって 9月17日に 実を調べてみたところ、2房残っていた実は 既に全て殆ど水分が飛んで 皴枯れていました。どうやらこの地域では、8月下旬がヤマブドウの熟期の様です。ヤマブドウの熟期は、気温や日照時間や葉の状態によるのではなく、受粉してからの期間による様です。この現象は、ミヤママタタビの実の熟し方と同じです。ヤマブドウは この地域で栽培すると、自生地よりも1ヶ月から1ヶ月半早く開花します。従って熟す時期もそれと同じだけ早くなるのですが、葉が落ちるのは 逆に1ヶ月以上遅く成ります。ですから 実が熟す時期と葉が落ちる時期の間隔は、自生地と平地の暖地では 全く違って来て、とても違和感を感じてしまうのです。この熟期の違いが、味や栄養にどの様な影響を与えるのか 気になるところです。来年からは 必ず8月中旬から 注意して実を観ておこうと思います。

早速 採取した実から種子を取り出して 綺麗に掃除して、プランターに播いておきました。一昨年と去年の結果から、この木の種子の発芽率は かなり良く、7割くらいは期待出来そうです。

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