イスノキの虫癭

イスノキは 照葉樹林帯の常緑の高木で、九州南部の宮崎県などで良く見られる樹木です。この木には独特の虫癭が見られますので、それを紹介します。

材質

イスノキは 材がとても緻密で堅い木です。剪定した太い生の枝を水に入れると、浮かずに沈んでしまいます。この木は堅いので、木工細工や彫物や算盤玉等に使われています。

出会い

以前宮崎県の照葉樹林の森を見に行った時、公園の中の吊り橋を歩いている時、直ぐ目の前に 卵大の大きな虫癭を沢山付けている木が有りました。それ迄イスノキは 図鑑で材の硬い木とは知っていましたが、虫癭は見た事が無かったので、とても驚きました。地元の人によると、昔はあれを ヒョン笛と言って、子供達が吹いて遊んでいたそうです。

栽培

この虫癭が気になったので、20年程前に採取した枝で揷し木苗を作って、庭に植えてみました。湘南地域でも 気候的には全く問題なく育ちますが、でもこの地域では全く見られません。近くでは 伊豆半島の下田の先の神社に、大きな木が有り 天然記念物になっています。大きいからか 珍しいからか、天然記念物になったその理由は判りません。近くには見られないので、離れた場所に植えても虫癭が出来るかを調べる為に植えてみたのです。

虫癭

木は 4,5年で 2m近くに育ちましたが、虫癭は分かりませんでした。7,8年してから、葉に幾つかのドングリ程の小さな虫癭が見られました。その虫癭は 歳と共に少しづつ大きな物が付く様になりましたが、最大でも 3,4cmで それ以上は大きくならず、数もよく見れば見つかる程度でした。

虫の広がり方

この経過から考えると、この虫はかなりの数が遠くまで飛んでいる様です。虫癭の大きさが違うのは、虫の種類が異なるのか 環境により変化するのかは判りません。

虫と木の関係

この木の葉は 他の木には無い、虫癭を作り易い組成になっているのでしょう。多分虫癭を作る事が、イスノキにとっても何か都合の良い事が有るに違いないと思うのですが、それが何なのか未だ良く判りません。木が小さくまだ虫癭の無かった頃でも、何ら問題が無かった様に見えたんですが、とても不思議です。

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次回は デワノマタタビのジャム作りを紹介します。