デワノマタタビのジャム作り

デワノマタタビは、これ迄は サルナシの変種と思われていましたが、サルナシとは別種のマタタビ属の植物で、主に日本海側の豪雪地帯に自生する植物です。その実は サルナシの倍くらいの大きさで、熟しても緑色で 淡白な味の果実です。栽培してみると 湘南の温暖な気候でも良く育ち、実も良く付けます。この種は マタタビ属の中で唯一 単為結果するので、雌株を植えれば 雄株が無くても 実を付けますので、とても作り易い果樹です。近くに キューウィの雄株が有れば、その花粉で受粉して大きな実が成りますが、単為結果の場合は 実が小さくなり、中に種子が入りません。ジャムを作る場合は、実が小さくても問題無いですし、種子の粒が無い方が 入れ歯の人には喜ばれます。なお この果実には 蛋白質分解酵素が 多く含まれていて、一度に沢山食べると 胃壁を刺激しますので、食べ過ぎないでください。逆に 魚や肉を食べた後に食べると、消化を助ける様です。

ジャム作り

・収穫と追熟

収穫時期は、10月に入って 数個の実が熟して落ちたら、まだ固い実を含めて 全ての実を収穫します。実のもぎ取り方は 果柄の根元を逆方向に捻ると、簡単に枝から外せます。果柄は 後の下処理する時に使うので、果実に付けたまま 収穫します。果実は 水で軽く洗ってから 乾燥した室内で、新聞紙を広げて そこに重ならない様にして並べ、柔らかくなる迄 追熟させます。実が沢山採れた時は、柔らかい物と固い物を選り分けておき、柔らかくなった物から順に、何度かに分けて 使っていきます。

・実の下処理

柔らかくなった実は、果柄とそれに付いた根元の固い部分と 先端の花殻を取り除いて、容器に入れます。それをフードプロセッサーで粉砕して鍋に入れ、それに砂糖を加えます。砂糖の量は 好みにもよりますが、私は実の 7〜8割にしています。また 好みによりレモンを絞った果汁を加えます。なお 根元の固い部分を取り除く時、指の爪を使うと 蛋白質分解酵素の影響で 深爪になり 痛めますので、小匙を使って作業します。

・煮込み

果汁を入れたた鍋を火にかけます。煮込むと 緑色の果汁が、黄土色に変わって来ます。火加減は 私は始めから強火で、沸騰して来たら 中火にして 5分間程煮込み、短時間で仕上げる様にしています。弱火で 長時間かけて煮込み、水分を飛ばす人も多いですが、そうすると香りが無くなる様に思いますので、私は強火を使っているのです。ただ 強火にすると、絶え間無くかき混ぜていないと焦げ付くので、かなり大変な作業です。

ペクチンの添加

マタタビ属の果実には、ペクチンが含まれていないので、ジャムにすると 粘り気がないので、ジャムとして 扱い難くなります。そこで 仕上げに 粉末ペクチンを加えます。こうすると 水分が多く残っていても、粘り気の有るジャムが出来ます。添加のやり方は、表記されている量を参考にして ペクチンを取り出し、その量の数倍の砂糖を混ぜて良くかき混ぜて、煮込んだ熱い果汁に加えて 良くかき混ぜます。ペクチンを直接加えると、塊になって良く混ざりません。ペクチンの量を確認する時は、小匙に少量を取って 常温に冷ましてから、粘り気を確認してください。熱いままだと 粘りは判りません。

・瓶詰めと殺菌

煮た果汁が冷めたら、瓶詰め作業をします。大きい瓶を使うと、防腐剤を使っていませんので、食べ切るまでに 冷蔵庫に保管しても、カビが生えて来てしまいますので、小瓶か中瓶を使うことをお勧めします。詰め終わった瓶は 蓋を被せて 閉めずに、別の鍋に入れて 5分間程煮沸します。この際 瓶の下には 瓶が熱で割れない様に、割り箸の様な物を敷いといて下さい。煮沸殺菌が終わったら、鍋から取り出す前に 瓶の蓋を 軽く締めます。蓋は強く締めてしまうと、冷めたら固くて開けられなくなります。蓋を締めたら 鍋から取り出して、常温まで冷まします。冷めたら蓋の中心部が僅かに凹んでいる事を、光の反射を見て確認します。もし 凹んでいなければ、密封されていませんので、煮沸作業をやり直します。瓶には 品名と日付を書いたラベルを貼っておきます。

・保存

開封しなければ 常温の冷暗所で 保存すると、1年間は持ちます。開封後は冷蔵庫に保管し、なるべく早く早く食べ切って下さい。

ジャムの別の作り方

果皮を取り除いて 果汁だけを取り出して、ジャムを作る事が出来ます。こちらの方は 収量が下がりますが、エグ味等の雑味が無く 上品な味に仕上がります。作り方は 柔らかくなった実を、ニンニク絞りを巨大化した様な ポテトマッシャーと言う道具を使って、実を絞って果汁を取り出します。フードプロセッサーは使いません。果汁に砂糖を加えて煮込むと、沸騰すると アクが浮かび上がって来ますので、それを丁寧にすくい取ります。その他の作業は、前記の作り方と同じです。

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収穫前の枝に着いた果実

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追熟させている果実

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煮込んだ物と、瓶詰めした物

 

次回は ユリの種子の収穫を紹介します。