今年の植物の結果事情

今年もいよいよ 稔りの秋になりました。庭の野生植物を主に その実の成り方について 投稿します。

ヤマシャクヤクの仲間

花の数と種子の収量は、ほぼ例年通りでした。この仲間には ヤマシャクヤクの他 セイタカヤマシャクヤクやその中間のデワノヤマシャクヤクが有りますが、どれも 自家受粉を良くするので 虫が来なくても良く実を付けて、成り年/裏年は ほとんど起きません。

ボタン

今年は花の数が少なく 例年の半分以下です。去年の花芽を作る時期に 日照不足だったのでしょう。ボタンは自家受粉をほとんどしないので、虫による媒介か人が授粉をしないと 実がなりません。ここ数年は 媒介する虫がかなり減って、去年や今年は 人工授粉しなかった花は、全く実が採れませんでした。今年は花が少なく コロナの影響で 受粉の機会を逃してしまった花も多く、種子は例年の 3割程度しか採れませんでした。

ヤマユリ

ヤマユリは 自家受粉はしません。木子て増やした株が いくら沢山の花を咲かせても、他家受粉にはならないので 種子は出来ません。系統の違う株がなければ 種子は採れません。その問題以前に 20年ほど前から、気候の温暖化の為 耐暑性を持った株でないと、育たなくなってしまいました。今年からやっと 耐暑性を持った 系統の異なる 3系統の株が、花を咲かせ始めました。このユリの花に来る虫も、10年程前から 殆ど来なくなってしまいました。そこで今年は 花の数が多い株は 2輪までとして、全ての株に 他系統の花粉を人工授粉してやりました。その結果 今年は、耐暑性を持っている可能性の高い種子が、大量に採れそうです。

ミヤママタタビ

マタタビ科の植物は 雌雄別株で、実を成らせるには 虫による媒介か人工授粉が必要です。今年から雌株の近くに植えた 雄株の雄花が 沢山咲き始めました。湘南地域では 3月下旬頃が 花の盛りになります。今年は コロナの影響で 受粉作業が出来ませんでした。虫に頼るしかなかったのですが、最近 虫全体が減っている上に 元々この時期に来る虫は 少ないので 全く受粉されず、実は一つも採れませんでした。

ギョウジャニンニク

今年から 当地で採取した種子から育った実生株が、数株 花を咲かせ始めました。この実生株は 寒冷地の実生株とは、明らかに形質が異なる様です。寒冷地の実生株は、暖地では 他系統の株を人工授粉しても 殆ど実を付けず、ほんの僅かしか実が採れません。でも今年花を咲かせ始めた実生株は、人工受粉をしなくても 1輪当たり10から20粒程の種子が採れました。ギョウジャニンニクは 虫媒花ですが、これ等の株は 自家受粉もするのでしょうか。来年 実験して 調べてみる必要か有りそうです。

ヤマブドウ

野生のブドウの仲間は 雌雄別株で 風媒花です。庭のヤマブドウの雌株が 今年から花を本格的に付け始めて、20以上の花房が確認出来ました。雄株は 20年近く前から 花をつける株が 裏庭に有るのですが、30mほど離れた建物を挟む位置になるので、風が吹いても 上手く受粉出来ない様です。今のところ実は1房3粒しか見当たりません。

イヌビワ

今年も成り年の様で、山道で黒く熟しているのを良く見かけます。今年はもう2回も 量はわずかですが ジャムを作って食べました。受粉は 特定の蜂がするのですが、色々な虫が減っているのに、あまり裏年を見ない事からすると、単為結果もしているのでしょうか。

サンショウ

雌雄別株の 風媒花の植物で、花粉は スギ程ではないと思いますが、とても広く飛んでいる様です。その為 雌株が 1株でも、裏年になる事は無い様です。庭のアシガラサンショウは、基本は雄株なのですが 年を経るにつれ 実の数が増え、今年は 150粒程の種子が採れそうです。ちなみに 去年の収穫は、100粒ちょっとでした。少し気になる事は、ここ数年 あちこちで実生株を見かける事が多くなったことです。これ等の実生株は 全て小鳥が糞をして播いたもので、小鳥に食べられなかった種子は 発芽出来ません。近年小鳥の餌になる他の物が 減って来ているので、サンショウの実を多く食べるのかも知れません。小鳥にとっても 中々住みにくい世の中になってしまったのでしょうか。

 

 

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写真は セイタカヤマシャクヤクの果実で、9月上旬に鞘が割れて 黒い種子が現れます。葉は10月まで枯れません。種子は 果肉を綺麗に取ってから播くと、再来年の3月下旬に発芽します。

最近の虫事情

ここ10年くらいの間に、虫の様子が 大分変化して来ました。確証は有りませんが、多分 気候の温暖化のせいだと思います。害虫を含む色々な身近な虫が減ったり 全くいなくなったりして来ました。毛虫やシンクイムシや致命的な被害を及ぼすコウモリガなどがいなくなるのは助かるのですが、鳥にとっても 餌が無くなり大変な事になっているのでしょう。鳥の様な天敵が減れば、新たな虫の大発生も考えられ、何かとても不気味な感じです。ちなみに 今年は春から 蚊がとても少ないですね。