ギョウジャニンニクの種子

実生のギョウジャニンニクが今年初めて種子を着けました。植木市等で鉢植えで売られている株は、寒冷地の実生株から作られているものです。この寒冷地の実生株を 湘南の様な温暖な地で栽培すると、栽培は出来ますが 色々な面で生態に変化が現れて来ます。まず 葉の活動期間がずれて、2月下旬に芽が動き出し 6月に入ると枯れ始めて、7月に入ると 完全に枯れてしまいます。次に 花は良く咲くのですが、種子は殆ど出来ません。最初は虫が来ないせいかと思い 人工授粉したのですが、それでもやはり種子は採れませんでした。どうやらこれも実生時の環境と異なる所で栽培した為の様です。この僅かしか採れない種子を毎年播いていると、発芽率は7割程度と とても良いので、当地での実生株が大分増えて来ました。そこで分かって来たのですが、温暖な地で出来た実生株は、寒冷地で出来た実生株とは 生態が大分違い、受精した時の環境に適合した生態になる様です。ただ全部が違って来るのでは無く、一部は親株と同じ生態のものも現れて来る様です。その異なる生態は まず葉の活動期間です。2月下旬に芽が動き出し、少しは枯れるのですが 多くの葉は、9月初めまで残っています。次に今年初めて咲いた花は、10〜20粒の種子が出来ています。この違いを確認する為に、敢えて人工授粉はせずに 状況を見守りました。それでもこんなに多くの実を着けました。まだこれ以外にも 異なる生態が有るのかも知れませんので、今後注意深く観察してみるつもりです。また この種子を播いて 暖地の2代目の株が どの様な生態の株になるのか、もう少し調べて行こうと思います。

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黒い種子が見えて来た当地の実生株の実です。

これ迄の結果から言える事は、もし ギョウジャニンニクを 暖地で栽培するつもりなら、その地で出来た実生株を使わなくてはならないと言う事です。

また ギョウジャニンニクは、受精した直後に その地の環境をどの様にして把握しているのか、とても興味深い課題です。