ジャガイモの花

ジャガイモ畑一面に可愛い青い花が見られる季節になりました。でも花の後に実がなっているのを見た事がありません。何故なんでしょう。今回は芋類の花と実について見てみましょう。

芋類の花

身近に見られる食用の芋類としては,ジャガイモ,サツマイモ,サトイモ,ヤマイモ,コンニャクが有ります。この中でヤマイモだけが野生種で,雌雄別株で花も咲きタネも出来てムカゴも付けます。その他の芋は食用として改良された園芸種です。またその中で良く花の見られるのは,ジャガイモだけです。でもジャガイモは、花が咲いても実は成りません。この芋類の花が滅多に見られなかったり、花が咲いても実が成らなかったりする理由はよく分かりません。

ジャガイモの実とムカゴ

3年前に家庭菜園の中に植えたままにされたジャガイモが、4株大きく育っているのを見つけました。それをそのままにして観察していると、花の後に緑色の直径1〜2㎝ほどの球体が、全ての株に付いているのを見つけました。その実とは別に、葉の付け根に実と同じくらいの大きさのムカゴが付いていました。たまたま1株だけがこの現象が現れたのであれば、偶然の事象と思われますが、全ての株がこの様になったのは何か特定の原因が有ったのだと考えられます。そのまま観察を続けていると、実は種子が出来る前に株が枯れてしまいました。ムカゴは株が枯れても小さなジャガイモみたいで、下に落ちても生きていました。

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更に芋を掘り上げずにそのまま観察を続けると、次の年は細い小さな株が2株出て来ましたが、直ぐ枯れてしまいました。ムカゴの方はすぐに土に埋めて置きました。次の年に芽を出しましたが、15㎝ほどの大きさにしか成らず,花も咲きませんでした。

芋の仲間の野生種がどんな物かは分かりませんが,野生の物はヤマイモの様に花が咲いて種子が出来るのでしょうか。

芋類の増殖方法

園芸種の芋類の増殖方法は、種子を使わずに栄養繁殖に頼っています。今回のジャガイモの成長の様子を見ていると、ムカゴでも中々大きくなりません。多分種子から育てるとムカゴよりもっと遅くなりそうです。そこで園芸種に改良する時に、最も成長が早く効率の良い栄養繁殖になったのでしょう。ジャガイモの今の地中に芋の出来る形態は、地上に付くムカゴが地中に移って木子になり、その茎が伸びた様に思われます。

ジャガイモに実やムカゴが出来た原因

ジャガイモの植え付けは,種芋を芽をつけて2,3個に切り分けて植え付けます。根がしっかりと発達するまでの間の栄養を、種芋から貰う為です。この方法は樹木の揷し木と同様に、個体が若返って花が咲いても実が付かないのかもしれません。人間はこの若返り効果を、上手く利用しているのかもしれません。地中に出来た芋を掘り上げずにそのまま置くと、割られていないので若返らずに老化して、実やムカゴを付けたのかもしれません。ムカゴから出た株を、そのまま何年も放置して観察を続けてみようと思います。

 

次回はノカンゾウを紹介します。