ウメの種子の発芽実験

ウメの種子には 特殊な発芽抑制機構が有り、今までの10年以上に亘る発芽実験で その凡その内容が分かって来ました。今年もその内容を追加確認する為、次の様な実験をしてみました。

今までの実験で判明した発芽抑制機能

ウメの種子は、種子を播くと 8月迄の暑い期間に、水溶性の発芽抑制物質を出し その濃度が一定以上を超えると、9月以降に 発芽準備に入った時 死んでしまいます。これは 8月末迄の間 4℃に保ったり、8月末迄 毎日たっぷりと給水して その物質を流し去る環境にした実験で 確認されました。またその濃度は、種子1個当たりの用土の容量が 直径と高さが12cmの鉢の時に、1個の種子から滲出した時の物質の濃度です。即ち これ迄の実験で、12cm以下の鉢に 1個播くと 発芽出来ず、15cm以上の鉢に 1個播けば ほぼ確実に発芽する事が確かめられています。プランターや畑に それに相当する密度を超えて 纏めて播くと、種子は発芽出来ません。

未確認事項

どの様な物質が 何処から出て来るのかが まだ判っていません。ただ 種子の殻が 何かを出している事は確認されています。

今回の実験内容

発芽抑制物質が 殻から出ているのか、種子本体から出ているのか確認する事にしました。内容は 直径15cmの鉢を 8個用意し、其々に各1個づつの種子を播きます。そこに次の様に、別に用意した種子から 外側の殻と中の仁と呼ばれる身を分解し、その殻や身を加えてみました。

・何も加えないもの 2鉢

・中の種子を取り除いた殻を 2個分と1個分加えたもの、各2鉢 計4鉢

・外側の殻を取り除いた裸の種子を 2個と1個を加えたもの、各1鉢 計2鉢

f:id:tanemakijiisan:20230606161154j:image左側下2鉢が 殻2個分を加えたもの、上側右2鉢が 殻1個分を加えたもの、中下1鉢が 殻を取り除いた裸の種子を1個加えたもの、中央1鉢が 裸の種子を2個加えたもの、右側2鉢が 何も加えないもの。

写真に素材を記録した後、これらを1cm程の深さに埋め込み、その上に乾燥させた小枝のチップを敷いておきました。

実験に使った実

f:id:tanemakijiisan:20230606125314j:image座論梅の完熟した物で、8個使い 1個は予備です。

 

この状態で 来春に どれが芽を出すか 観察します。