ヤマブキの花

今年もヤマブキの鮮やかな黄色の花が目立つ時期になりました。

f:id:tanemakijiisan:20240408215458j:imageこのヤマブキの花を見ると 何時も思い浮かべる和歌があります。それは「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに 無きぞかなしき」です。この歌は 太田道灌の逸話でも有名で、落語の題材にもなっています。でも 私が感心するのは、平安時代の貴族や文化人の 自然や植物に対する知識の高さなのです。当時既に品種改良された八重のヤマブキが有り、野生のヤマブキは種子が出来るが、その園芸種には種子が出来ない事を、歌の作者も評価する側も それを認識していた事になります。そうでないと この歌に秘められた想いが伝わりません。

現代の人に 山道で、「この緑色の小さな房がヤマブキの種子ですよ」と教えると、「えっヤマブキって種子が出来るんですか、あんな歌が有るんで 実が付かないのかと思ってました」と帰って来ます。自然に対する関心が薄く、野性種と園芸種の違いが全く認識されていないのです。昔の人は 今の人が考えているより ずっと賢かった様です。