ボタンとシャクヤクの種間雑種

ボタンとシャクヤクの種間雑種には、有名な「オリエンタルゴールド」と言う園芸種が有ります。私も10年ほど前に近くの植木市で一鉢買い求めました。その目的は、もしかしたら種子が採れるかもと考えたからです。でも 自家受粉やボタンやシャクヤクの花粉を掛けても、今のところまだ一粒も種子は採れていません。毎年とても立派な鞘は出来るのですが、中は空っぽです。残念ながらまだ初期の目的は果たせていませんが、でもそのちょっと変わった生態が分かりました。

宿根草と木

ボタンは木で、シャクヤク宿根草です。その草と木の違いは、次の成長期の芽の位置です。草はその芽が地表以下に有り、従ってその地表より上にある茎は、成長期が終わると枯れます。木はその芽が地表より上に有り、当然その芽より下の部分の茎は枯れません。ちなみに 太い茎で背も高くなるバナナは 草です。いくら大きくても 花が咲いて実がなってしまえば、後は枯れて次の芽は地表から出るからです。反対に 木の中でも ボタンやアジサイやハギなどは、宿根草に近い性質を持っていますが でも木です。中でもボタンはとても宿根草に近い木です。ですからシャクヤクの根にボタンの枝を接木する事が出来るのです。園芸店に有る市販のボタンは、全てシャクヤクの根に接木して作った株です。ボタンの根を使うよりも、株を早く安く作れるからです。

オリエンタルゴールドは 草?木?

草であるシャクヤクと 木であるボタンを掛け合わせて出来た、種間雑種のオリエンタルゴールドは草なのか 木なのか。この疑問に対する答えは、そのどちらでも無く その両方でした。買い求めて 7,8年はシャクヤク同様に、その年伸びた茎は根本から枯れ、翌年は新たな茎が地表から伸びて花を付けていました。でも 一昨年はその年伸びた茎の地表から3,4cmの高さの芽が残り、翌年はそこから茎が伸びました。去年は地表から10cm程の芽が残り大きく膨らんでいます。つまり 株が若い時はシャクヤクの形態で、かなり古くなって来るとボタンの形態が現れる様です。

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種子の採取

どうやらこの種間雑種には種子は出来ない様ですが、何年も交配を続けていれば 何かの拍子に実が成るかもしれません。生物界では 理論と異なる事が往々にして起きるものです。あまり期待せずに 出来る限り交配を続けるつもりです。