木や宿根草の種子の発芽は、親の芽出しの時期より早くなるのが普通です。普通の発芽苗は、まだ生き抜く力が弱いので 他の強い植物が葉を茂らせる前に、日照を稼いでおかなくてはなりません。ですから 種子は親株より先に、発芽しているのです。その株が大きくなるに従って、芽を出す時期は 遅くなって来るのです。殆どの草木が この様になっていますが、ギョウジャニンニクだけは 全く逆になっています。その理由は 多分この草が寒冷地の陽当たりの悪い場所に自生する為だと思います。
我が家では ギョウジャニンニクは、暖地のせいか 秋には地表に少しだけ芽が見えていて、2月初めには もうその芽が動き出します。でも 暖地で植えても 種子の発芽は 遅く、3月中旬から 4月初めにかけてになります。その頃 親株は もう既に 葉が5,6枚出て、そろそろ蕾が見える頃になっています。ギョウジャニンニクの発芽率は 自生地では、播く前に種子を流水処理をしても3割程と あまり良くない様です。私は 種子は採取して直ぐに播いていますが、発芽が遅いので 毎年播いた種子が 本当に発芽するかどうか、いつも気を揉みながら 発芽して来るのを見守っています。
今年の 3月17日に 漸く発芽して来た最初の株です。ギョウジャニンニクの繁殖法には、他の植物ではあまり観られない 根の途中に 木子を作る方法がありますが、この木子も親株よりずっと遅れて芽を出します。
親株の右側の細い新芽が、木子の芽です。
ギョウジャニンニクは 成長がとても遅い草で、最初の年は この細い筋の様な葉が 1枚出るだけです。次の年には 葉が2枚出て、その次の年には 葉が3枚から4枚になります。でも これを暖地で栽培すると、自生地の寒冷地で 7,8年掛かるところを 5,6年で成長します。暖地では 葉の活動期間が、寒冷地のそれより 2ヶ月以上長いからでしょう。ただ 暖地では あまり馴染みの無い山菜なので、暖地で栽培している人は 殆ど居ない様です。