ギョウジャニンニクの収穫と試食

20年近く前に 発泡スチロールの箱に植え付けて、植え替えも施肥もせずに 水やりだけをしていたギョウジャニンニクの箱が、遂に底に大きな穴が出来てしまいました。

f:id:tanemakijiisan:20240201095152j:image箱の左下が溶けて 穴が開いてます。

栽培の経緯

ギョウジャニンニクは 寒冷地の山菜で、東北や北海道では 熊に出会う危険を押してでも採りたい程 魅力的な山菜の一つと聞いていました。山取りは 乱獲のせいで少なくなり、最近は寒冷地での栽培品が多く出回っています。図鑑等には 暖地では栽培が難しいと書かれていましたので、20年近く前に 近くの神社の植木市で 鉢植えで売っていたのを見かけた時に、本当に暖地では栽培出来ないのか 確認してみようと1鉢買い求めてみたのです。それ以前から 寒冷地の植物は、発泡スチロールの箱で栽培すると 暖地でもよく育つと言う印象が有りましたので、このギョウジャニンニクも そうすれば 当地でも栽培出来るのではないかと思ったからです。更にもし 上手く栽培出来れば、種子を採って 実生株も作ってみようと思いました。

買い求めたギョウジャニンニクは 1鉢に2株入っており、家に帰って直ぐに 発泡スチロールの箱に植え付けました。箱には 底に木炭のかけらを敷き詰めた上に 庭土を入れ、植え付けた後に 表面に小枝のチップを敷き詰めておきました。

結果は やはり発泡スチロールの箱は、ギョウジャニンニクにとっては 暖地では適している様で、暫くすると 箱いっぱいに 株が増えて 花も沢山付けました。ただ 花は良く咲くのですが、暖地では受精が上手く出来ない様で、種子は ほんの僅かしか採れませんでした。でもこれで 発泡スチロールが、ギョウジャニンニクの暖地栽培に適している事は 確認出来ました。発泡スチロールの箱は、5,6年もすると 植物か虫の出す成分で、底や側面が溶かされて穴が開いて来ます。動かさずそっとしておけば 20年近く使えますが、10年を過ぎたら 様子を見て 壊れそうな箱は 新しい箱に替えるのが良い様です。

ここ迄の ギョウジャニンニクの栽培の詳細は、以前 何回か投稿していますので、関心のある方は そちらの方を読んでみて下さい。

食べる事にしたきっかけ

しかし ここ2,3年は 株が古くなったせいか、花を付けなくなってしまいました。丁度 箱の底の一部が無くなり 種子も採れなくなったのを機会に、この箱の全部の株を掘り出して 食べてみる事にしました。元々ギョウジャニンニクの栽培は、収穫して食べる事が目的では無かったので、ギョウジャニンニクの食べ方も知らず 去年まで 食べた事は有りませんでした。去年の晩春に 試験的に 大きい葉を20枚程採って、おひたしにして食べてみたのが 初めてでした。葉は緑色で柔らかく 不味くは有りませんが、香りも味もあまり感じませんでした。収穫時期と緑の葉の部分が、食べるのに適していなかった様に思います。そこで今度は 緑の葉が 1cm程伸びた1月末に、収穫してみました。このギョウジャニンニクとは直接関係ありませんが、掘り起こした土の中から 5,6匹のミミズが出て来ました。我が家では 庭や鉢に農薬や化学肥料を一切使っていませんので、ミミズにも居心地の良い環境なのでしょう。ギョウジャニンニクにとっても、ミミズとの共生は 好ましい環境と言えます。

収穫作業

f:id:tanemakijiisan:20240201202941j:image株を箱から掘り上げて 土を綺麗に落とした状態です。

ギョウジャニンニクの栽培では、掘り出した中の 太い株だけを収穫し、細い株は また植え直しておきます。その株が 大きく育ち 分球しますので、また その中の大きく育った株を収穫する方法を 何度も繰り返します。現在の私の方針は、暖地である当地で 栽培して増やす株は、家で採取した種子から育った株だけにしています。ですから この寒冷地産の細い株は、栽培するつもりが無いので 細い株も食べる事にしました。

寒冷地での栽培方法は 収穫の前年の秋に 収穫する株に土を深く被せて、白い部分を長くして 収穫する 「軟化処理」と呼ぶ栽培法を採っています。関東でのネギの栽培と同じで、消費者の嗜好に合わせた状態にして 出荷しています。

株の掃除と食べ方

掘り上げた株は、根と茎の下の硬い部分を切り取り、外側の汚れた薄皮を取り除きます。

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今回は これを刻んで、餃子の具に ニンニクとショウガの代わりに入れて 食べてみました。写真の量で 25個分に入れて、餃子を作りました。今度は ギョウジャニンニクの香りと味が しっかりと有って、とても美味しく感じました。やはり寒冷地の人がしている様に、白い部分を使うのが 美味しい様です。これなら 「ギョウザニンニク」と洒落ても ピッタリかも知れませんね。

来年の収穫と試食の予定

我が家に有る寒冷地産のギョウジャニンニクの株は、この株から3,4年後に 他家受粉用に、長野県の「道の駅梓川」で買い求めた株が もう1箱有ります。この株も同様に栽培すると 良く育ち 最初の株より増えましたが、他家受粉をしても 種子は 僅かしか採れませんでした。こちらの株も 今は花が咲かなくなりましたので、来年はこの箱の株も 食べてみようと思っています。今年収穫した株は、去年の晩春に 大きな葉を収穫してしまいましたので、株が少し痩せたのだと思います。来年収穫予定の株は、葉を採るつもりは無いので 今回の株より もっと太い株が採れると期待しています。ついでに 次回は葉が枯れた9月に、寒冷地でやっている様に 箱の周りに囲いを付けて 落ち葉を数cmかけて、軟化処理を試してみようと思っています。結果がどうなるか また来年投稿しますので、期待していてください。

暖地産の株の試食予定

現在では 当地で採取した種子から育った株が、寒冷地産より大きく育ち 数も増えて来て 種子も沢山採れています。2,3年後には それ等の株から少し収穫して 食べ比べてみて、食材としての価値を調べてみようと考えています。もし それが食材として 寒冷地産と同等かそれより良ければ、暖地で採れた種子から作った株を 暖地で栽培する方法は、成長も早く 種子も沢山採れ 収穫時期も寒冷地産より早いので、競争力の有る栽培法と言えます。ギョウジャニンニクは、この様に暖地で栽培しても 障害になる病気や害虫が無く、施肥や消毒も要らない とても作り易い作物ですが、唯一の欠点は 種播きから収穫迄の時間が長い事です。でも 暖地栽培ならば これをもっと短く出来ます。ただ 関東の暖地で栽培するには、関東圏では 食べ慣れた食材では無いので、まず消費者を増やす事が 必要でしょう。