この実 なんの実

良く散歩する山道の傍にある高木に絡みついた、常緑の木性蔓植物に 見た事も無い形の実が成っていましたので、その様子を投稿します。

その植物の様子

この蔓植物自体は 山で良く見かけていましたが、名前も生態も良く知りませんでした。その蔓植物の 実を見かけたのは 初めてでした。花は その蔓植物の物と確信は持てませんが、春に時々見かけた2cm程の白い物で 豆科の花の形では無く 平べったい4枚の花弁の物だった様な気がします。夏の終わり頃に この細長い実に気付いたので、その後どうなるか観察していたのです。

f:id:tanemakijiisan:20231112105603j:image夏には緑色だった実は、今は綺麗に赤く色付いています。インゲン豆に似た 細長い鞘が、2本対になっています。長い物では 25cm程の長さになっています。

どんな種子が出来るのでしょう

まだ見た事も無い種子なので、今の果実の様子から どんな種子に成るのか想像してみました。外形はこれ以上大きく成る事は無いと思うので、鞘の中には 小さい粒が 1列に並んでいると思われます。鞘の色が赤いので 中の粒は、皮が堅く 黒い色をしているのでは無いでしょうか。多くの植物で 果実の外側の皮は 赤くして 小鳥を呼び寄せ、中の種子は黒くして 小鳥の食欲をそそり、その実を食べさす形態が見られます。この実は 種子が熟すと 鞘が縦に裂けて 種子が現れる状態になるのでしょうが、種子が鞘から外れて 落ちる事は無く 暫くの間鞘に付いていると思います。多分 鞘の両脇に 交互に種子が付いて 種子の間隔を開けて 啄み易くし、小鳥が食べに来てくれるのを待つのでしょう。小鳥に種子を食べさせる多くの植物は、その種子を落としません。地表に落ちた種子を啄むのは、小鳥にとって 敵に襲われる とても危険な状況になるからです。

種子には 周りに果肉などの 小鳥に栄養になる物は、大きさからして それを付ける余裕は無く、何も付いていないと思います。それでも 小鳥がその種子を食べる理由は、種子そのものを消化して その栄養分を摂るからだと思います。でも 全ての種子が消化されてしまっては、植物にとって 小鳥に種子を食べさす意味は有りません。ですから 植物は種子の周りの皮を少し丈夫にして、食べられた数の1~5%が 皮が壊されずに 糞と一緒に排出され、結果として 種子が遠くへ運ばれる様になっているのでしょう。こうすれば 植物の側にも 小鳥の側にも 利益が有り、十分に成り立つ取引になります。植物界では 種子の食べ残しを狙うのが多数派で、このやり方は 少数派で サンショウや僅かの豆類に見られるだけです。

初めて見る事象の 結果を予測する

植物の観察に限らず 物事のその後の変化を 予め予測する事は、今後に役立てる力を養う上で とても重要な事です。これ迄の経験や 今見られる現象から 次に起こる事象を予測し、その予測内容を 詳しく記録等保存し 出来れば公表しておきます。そして その結果が現れた時に 詳しく予測との違いが有るかを検証し、違いが有ればその理由を考えて 持っていた自身の知識を修正し、経験の中に加えて行くのです。こうすると 高い観察力,直感力,推察力が養われて来ます。この意味合いで 私は 記事を投稿する時は、出来るだけ 今後の予測を含める様にしています。

この実についても 今後どの様な状態になるのか、良く観察してみて 予測と比較して、その内容を投稿する予定です。

でも この蔓の名前の方は、名前にはあまり拘りが無いので まだ調べていません。

 

追加投稿 完熟した実

1ヶ月程してから 見に行ってみました。種子を播く方法が 予想とは全く違っていました。種子は鳥にではなく 2cm近くの綿毛を端に付けて 落下傘の様に、自分で 風に乗って遠くへ行く方法でした。殻は一辺に弾けるのではなく、先端から 数日かけて徐々に弾け 種子を放出していました。多分風の向きが変わって 色々な方向に飛ぶのを期待しているのでしょう。予想を外した原因は 種子の形と色で、種子の形は 丸い粒ではなく 細い棒状の物でした。外観には 丸い膨らみが見られなかったのは その為でした。あの長さでは 種子の数が20個以上入っていそうに見えたのですが、綿毛の長さも入れるとかなり長くなり 多くても5,6個しか入っていません。殻の赤色も鳥を呼ぶ為では無かった様で、何故緑の葉の中に あんな目立つ色なのか不思議です。種子を飛ばす頃には もう赤色は褪せて、茶色になっていました。

f:id:tanemakijiisan:20231211170011j:imageこの種子は 鉢に播いて、発芽率を調べてみようと思っています。ただし 育てるのは 他の木に邪魔になりそうなので 止めときます。