ヤマユリにも温暖化の影響か?

この夏の異常に厳しかった猛暑も  ようやく治まりましたが、我が家で栽培している 鉢植えのヤマユリに、今まで経験した事の無い現象が見られましたので、投稿しておきます。我が家で栽培していたヤマユリには、早咲きで 耐暑性の弱い株と、中咲きで耐暑性がある株と、遅咲で強い耐暑性を持つ株の3系統が有りました。その中で 異常な現象を現した株は、遅咲きで耐暑性の強い株でした。

異常現象

9月初めに この状態に気付いたのですが、花が咲いて実を付けた株と 大小数本の木子株が生えている鉢に、2本のほぼ同じ大きさの新芽が伸びていました。その新芽の状態から考えると、此れ等の株が芽を出したのは 8月上旬から中旬と思われます。9月末でもまだ伸び続けて、高さ30cmと25cm程になりました。

f:id:tanemakijiisan:20231001205821j:image9月末の状態です。鉢の奥に有る 葉の細めの2本の株が、夏に芽を出した株です。葉は細いですが 傷みは見られません。先端に少し膨らみが見られるので、もしかしたら 蕾が有るかもと思いましたが、先まで伸びてみると 蕾は有りませんでした。鉢の中央少し左から出て 左に傾いている茎が、花を1輪付け 受粉して 実を付けている株で、この鉢に 最初に植え付けた球根から出来た個体です。2本の新芽は分球した球根から出ている様で、その元の球根は 分球した新しい株に入れ替わって、実を付けた茎は残っていても 既に消滅しているのでしょう。

新芽の発生の元は?

ヤマユリは 普通の状態では、真夏に芽を出す事は有りません。また その年に作られた木子が、草丈30cmにもなる大きな茎を出す事も有りません。ですから 中央の花の咲いた株が、来年用の2個の芽を持った新しい球根を作って、その球根が完成する前に 芽が動き出してしまったのでしょう。ユリは 翌年に出す芽を 7月初め頃に作り、その後 葉で作られた養分を使って、その芽の周り新たな鱗片を作って、そこに来年に使う養分を蓄えて行くのです。通常は その芽は翌春にならないと 動きません。でも この株が新芽を夏に出した原因は 分かりませんが、この芽が時期外れに成長して 地上に出て来た としか考えられません。この芽が成長しているのは、元の株の葉で作られた養分も使って、茎や葉を大きくしているのでしょう。つまり 来年の養分を 今使っているのです。芽が2本になったのは、繁殖力が強く 分球する為に 7月に芽が2本作られたからでしょう。

温暖化の影響か?

球根の中に作られた芽は、何か特定のキッカケにより 動き始めるのではと思います。そのキッカケとして 考えられる状態は、一定期間ある程度の低温に保たれるか、葉が無くなってから後に 気温が上昇する等の事だと思います。この芽を動かすきっかけが、温暖化による高温で 狂ってしまったのではと 思います。但し その株が強い耐暑性を持っていなければ、高温になると 夏には地上部が枯れてしまい この現象は起きません。他の植物に見られる温暖化の影響として、夏の暑さに耐えた物は その活動期間が 長くなっている様に見えます。このユリも 耐暑性がとても強いので、夏の暑さで その活動が弱らなかった為に、この異常現象を起こすキッカケになっているのかも知れません。

この状況が常態化すると、耐暑性の強いヤマユリは「疑似二季性植物」になってしまうかも知れません。

以前 ギョウジャニンニクの暖地適応株について 何回か投稿しましたが、その温暖化の影響については 前回投稿したとおり、ギョウジャニンニクにも ヤマユリと似たお温暖化の影響と思われる現象が現れています。

今年の発芽苗にも 温暖化の影響か

2年前に播いて この春に発芽して来た、耐暑性の強い株を掛け合わせた種子の株にも、この夏の終わりに再度発芽する現象が見られました。f:id:tanemakijiisan:20231014085117j:image大きい葉は 夏を超えた葉で、小さいのが 秋に出て来た葉です。f:id:tanemakijiisan:20231109110406j:image11月初め頃には 秋に出た葉が こんな大きな葉になりました。この株は かなり強い耐暑性を持っている様で、12月に枯れるまでには 地中の球根はかなり大きくなっていると思われます。この強い耐暑性の株は 温暖化により、かなり成長が早くなっていると思われます。

春に この播き床のプランターには、3割程の発芽率で 100株程発芽したのですが、夏の暑さで殆どが枯れて 数本しか残りませんでした。 9月になって 葉が残っている株や一旦枯れた株に、2枚目の1枚葉を出した株が 4,5株有りました。新しく出て来た葉は、12月頃まで枯れずに残ると思います。これは 今まで見られなかった現象で、強い耐暑性を持った株が 温暖化の影響を受けたものと思われます。

注) この新芽を2本出した株は 今はもう私の所には有りません。

ヤマユリは 耐暑性の強い株同士を掛け合わしても、耐暑性の強い株が現れる確率は、1~3%にしかならない事が分かりました。そこで強い耐暑性を持った株を増やす計画をやり直す事にした事は、以前に詳しく投稿しておきました。その計画通りに 一昨年と去年播いた苗床以外のヤマユリの株は、全て知り合いの園芸業者に引き取って貰いました。この2本の新芽を出した鉢も その中に含まれていますので、いつ迄枯れずにいるのかは 観察出来ません。でも 今の苗の耐暑性の強い株が育って大きくなれば、また同じ現象が見られると思いますので、それを観察するつもりです。