ヤマシャクヤクの種取りと果肉外し

ヤマシャクヤクの種取りを 一度で済まそうと様子を見ていたら、先に稔った種子が落ち始めたので 急いで収穫しました。まだ開いてないのを含めて 52粒採取出来ました。多分数個は 落ちたと思います。ヤマシャクヤクの種子は、鞘の外側は薄緑色で 普通の色ですが、鞘が割れて中が見えると 鞘の内壁と種子にならなかったシイナは、鮮やかな明るい赤色で とても良く目立ちます。その赤い中に 黒い大豆ほどの大きさの種子が、一鞘に 3〜6個入っています。その種子は 鞘が開いても直ぐには落ちずに、暫く鞘の端に付いています。この色の組み合わせと開鞘後の種子の様子は、全て小鳥に種子を食べて貰う為の仕掛けなのです。鳥の目に良く目立つ赤色で鳥を引き寄せて、種子の黒で鳥の食欲をそそり、鳥にとって危険な地上に種子を落とさずに 安全に啄ませるのです。何故小鳥に種子を食べさせるかと言うと、親株から出来るだけ遠くに種子を播きたいからなのです。小鳥に食べられずに 親株の近くに落ちた邪魔な種子は、果肉が付いたままなので その発芽抑制作用により、発芽できない様になっているのです。小鳥には 食べて遠くに運んで貰ったお礼に、果肉には小鳥にとっては大事な栄養素の アントシアニンを、多く含ませている様です。この果肉は 小鳥の消化管で消化酵素を使えば 簡単に取れるのですが、人が取り剥がそうとすると とても大変な手間が掛かります。カッターナイフの刃で 一個一個 丁寧に髭を剃る様に取ります。果肉を取った後は 1日水に漬けてアクを出し、それを直ぐに播き床に播きます。状態が良ければ、7割ほどの発芽率が期待出来ます。

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開いてから 少し日が経ったので、赤がくすみ始めて来ています。

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左上が 果肉を取る前の種子、左下が 種子をテッシュペイパーに包んで 爪で果肉を掻き取った状態で、右上がその時の紙です。

右下が果肉を カッターナイフで 剃り落とした種子で、その下に見えるのが 1個の種子から剃れた果肉のカスです。

下にあるのは ナイフです。