ボタンの二季性の考察 その2

前にボタンの二季性についての考察を 投稿しましたが、どうもまだ気になる点が有りますので、さらに追加しておきます。

気になる点

日本や ボタンの自生地である 中国の雲南省四川省は、中緯度で はっきりとした四季のある温帯地域です。その中で 植物が年2回の同じ事を繰り返すのは、やはり無理がある様に思います。それに何故か 現在の一季性のボタンは、出葉 開花 結実のサイクルを 半年の短い期間内に納めて、残りの半年は 休眠しています。これは温帯地域に自生する 落葉樹木が 秋迄有効に時間を使うのと比べ、ボタンの生態は 無駄が目立ち かなり違っています。その為 温帯地域の低地での自然の状態では、他の植物との生存競争には勝てずに 消滅してしまうでしょう。また ボタンは とても確率は低いとは言え、二季性を持った株を 必ず出現させています。これは一度切りの出現の 突然変異とは違います。この出現した二季性のボタンも、人間が介在すれば 生存は可能である事は確認出来ましたが、温帯地域で自然の状態では 生き残れ無い事は事実です。

この疑問に応える仮説

そこで 此れ等の疑問に応える仮説を考えてみました。その仮説とは 次の様なものです。

現在のボタンの自生地は、数千年前より 中国の雲南省四川省と言われていますが、それより遙か以前の自生地は 四季が明確で無い 亜熱帯か赤道付近で、標高1500mから2000mの高山帯だったのではないでしょうか。また その頃のその地域の気候は、明確な四季は無く 有るのは雨季と乾季だけで、その 年2回の乾季は 乾燥した暑い季節であった事が考えられます。その環境の為 高木が生い茂ることは無く、低木が少し繁茂していただけだったのでしょう。そしてボタンは、その厳しい乾季は 二季性にして 葉を落として短い休眠をして やり過ごし、他の時期は 低温や日照時間が短くなる事は無いので、無駄無く過ごすやり方を採用したのでしょう。この様にすれば 少ない養分で作った葉でも十分で、周りに生えている 多大の養分を使って 乾季にも耐える丈夫な葉を作った植物との生存競争にも勝て、十分繁栄する事が出来たと思います。

その後 気候の変動や地形の移動等によって、その生息域が狭められてしまい 遂には今の自生地だけになってしまったのでしょう。でももうそこには 明確な四季が有り 冬季の気温も低いので、二季性は採れず 二季目は休眠にしてしまったのでしょう。ただ 遺伝子の中には 以前の二季性が残っているので、それが時折出現するのではないでしょうか。この時折出現する二季性の株を使って、不完全な二季性であっても 寒ボタンとして使われているのです。

仮説の確認

この仮説を確認するには、遺伝子や過去の気温や地形や花粉等を 化石を探して調べなくてはならず、とても大変な作業になります。ただ 私にはその能力も時間も有りませんので、残念ながらその確認は出来ません。将来 これに興味を持たれた方が、この仮説の正否を確認してくれる事を期待しています。