ヤマユリの開花 その2

6月24日に咲き始めた早咲きのヤマユリは2株でした。この早咲きで 耐暑性を持った株を 「ヤマユリA」と呼んでいます。中咲きで耐暑性を持った株で 花の咲く株は5株有り、その最初の株は 7月6日に咲きました。この中咲きの株を「ヤマユリB」と呼んでいます。耐暑性は ヤマユリBの方が高い様で、花が咲き始めても 根元の方の葉が 1枚も枯れずに 暑さに耐えています。またこの株は 花弁の中央に赤い筋が現れる「ベニスジ」の遺伝子を持っている様です。これ等のBの株は、元の株が花の咲く大きさになる前に 根元に沢山出来た木子を分けて作った株です。ですから いくら沢山の株が有っても クローンなので、B同士受粉すると自家受粉になってしまい 種子は出来ません。そこで 先に咲いて冷凍保存して置いた Aの花粉を掛けて種子を採ります。また このBの花の花粉も 採取して冷凍保存して置き、次に咲き出す遅咲きの「ヤマユリC」と呼んでいる花に受粉して 種子を採ります。

これ等の掛け合わせで採れる種子には、かなりの高い確率で 耐暑性の より高い株が現れると思われます。今後さらに気候の温暖化が進むと考えられますので、暑さに弱いヤマユリは 平地ではもう見られなくなると思います。平地にヤマユリを残すには、強い耐暑性を持った野生の株を 早く作っておかなくてはなりません。この受粉をしてから 採れた種子を播いて、その育った株からまた種子が採れるまでの期間は、早くても 5,6年はかかりますので もう一刻の猶予も有りません。本来はこれ等の植物の耐暑性の変化は、自然界では植物自身が行なっているのですが、あまりにも早い気候変動なので 植物には追いつけません。でも人間が ほんの少しだけ手を貸してやれば、耐暑性を身につける事が出来て 生き残る事が出来るのです。

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ヤマユリBの花です。ユリの研究者によると、このベニスジの形質の出現は 気まぐれで、遺伝子を持っていても 現れたり 現れなかったりするそうです。Bには そのベニスジの血が入っていた様です。この紅色は 開花後だんだんと薄れていきます。

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今年からは 早咲き,中咲き,遅咲きと本格的に 沢山の花が咲き始めますので、家の狭い百合の棚が あたかも自生地で野生のユリが群生している様になります。これ等の株は 全て鉢植えですが、施肥や植え替えをせず 農薬も使いませんので、水遣りと草取り以外は ほぼ野生と同じ生態になっていますから、あながち野生と呼んでも 誇張では有りません。来年はこの調子で育つと、今年の2倍くらいの花が咲くと思います。