ユリの芽出し

3月下旬から4月中旬にかけて、鉢植えのヤマユリが 次々と芽を出して来ます。ヤマユリにも 株による個体差が有って、芽を出すのも花が咲くのも その時期には3週間以上の差が有ります。4月の上旬が 最も多くのヤマユリが芽を出して来る時期です。

ヤマユリは本来半日陰の場所を好むのですが、私は 耐暑性の強い株を選別育種する為に、敢えて陽当たりの良い場所に 鉢を置いて栽培しています。今植えてある株は、全て強い耐暑性を持った株です。

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この写真の2つの株は、木子をこの鉢に植え付けてから 3年目です。去年は1輪花を付けましたが、今年は2~3輪の花を付けると思います。

私のユリの栽培法は、一度鉢に植え付けたら 鉢が壊れるか ユリが枯れるまで、植え替えはしません。鉢の下半分に木炭が固く詰めてあるので、簡単には 球根を取り出せないのです。無理に取り出そうとすると、球根を壊してしまいます。脇に出来る木子は 容易に取り出せることが多いので、その様な木子は 取り出して 別の鉢に植え付けてやります。野生のユリは 肥料を与えると、バイラス病を発症して 葉が縮れて枯れてしまいます。ですから 私は全く肥料を与えていません。その代わり 鉢の乾燥防止を兼ねて、充分に乾燥させた樹木の小枝のチップを、1cmほどの厚さに敷き詰めてやります。そのチップは 敷き草と違い 直ぐには腐りませんので、肥料分になるのも 極僅かにしかならないので、ユリが枯れる事なく安全です。チップは 毎年少しづつ追加補充してやります。水やりは 雨の日以外は 毎日やっています。また 農薬は一切使いません。この様に栽培すると、10年以上 毎年花が咲いて 元気に育ちます。

種子は1株に1個 人工授粉をして 採っています。木子で増やした株が多いので、自家受粉にならない様に、開花時期の異なる株の花粉をかける様にしています。最後に開花する花の花粉は、来年の最初の開花の受粉の為に、冷凍乾燥保存しておきます。この種子を播いて より耐暑性の強い株を選び出すのです。

耐暑性の有るユリは、長い日照時間にも耐え 秋の終わり迄葉が残るので、成長がとても早くなります。でも 自然の状態では 極稀にしか現れない強い耐暑性を持った株同士が、うまく交配する事は ほぼ皆無なのです。ですから温暖化について行けずに、消滅して行くのです。