フユザンショウ

フユザンショウは ちょっと変わった生態のサンショウです。その変わった生態を紹介します。

雌株しか無いフユザンショウ

図鑑に フユザンショウには 雄花を付ける雄株が、まだ確認されていないと書かれていました。このサンショウの仲間の植物は、冬でも葉が落ちないので この名が付いたそうです。そして 秋にサンショウと同じ様な 赤い実を付けると有りました。そこで 実物を栽培して確認する事にしました。

分布

それまで全国の山を歩いている時、見た事はありませんでした。図鑑で見る迄 この木を知らなかったので、多分有っても気付かなかったのでしょう。でも サンショウの様に多く見かけるもので無く、滅多に無い物である事は確かです。10年ほど前にやっと 丹沢山中や 北伊豆の細いハイキングコースの脇で見つける事が出来ました。良く調べてみると、1株だけで有るのではなく、10mほどの範囲に数株以上が まとまって見られました。サンショウは 小鳥がその実を食べないと発芽出来ません。このフユザンショウも同じ筈ですが、何故か親株の近くにしか生えないのか 不思議です。その内の小さい株を2株採取して、庭に植えてみました。

栽培株の生態

庭に植えた株は、とても早く成長し、翌年にはもう花を咲かせました。その花は確かに雌花で 雌株でした。実はサンショウと同じ様な物ですが、僅かに大きめでした。小鳥が啄んでいるのは見てませんが、周りに何本か発芽しているのが見られました。少し意外だったのは 湘南の様な暖地でも、冬になると葉が殆ど落ちて 僅かしか残らない事でした。他にまだ色々調べたい事が有ったのですが、ただこの木はとても大きく丈夫な棘が有り、成長も早く 暴れるので とても危険なので、栽培は 3年前に諦めました。山で見た株が 根元近くで切られていたのは、この為だったのでしょう。

種子はクローン?

この花粉が無いのに雌花だけで種子ができるのは、どうなっているのでしょう。種子は親株のクローンなのでしょうか。この繁殖法を獲得してから、不要な雄株が消滅してしまったのでしょう。この方法は 強い繁殖力は有っても、多様性が求められる競争力には劣るので、その数がとても少なくなったのでしょう。

子株の再発見

先日家の隣の山を歩いていると、そこに1mほどのフユザンショウが生えているのを見付けました。庭に植えたフユザンショウの株から 10mほどの所です。樹林の中の日差しが殆ど届かない場所だったので、成長がとても遅かったのでしょう。4,5年前に家の株から撒かれたとしか考えられません。庭に生えていた子株は、完全に全て取り除いた筈ですので。

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