サンショウのヒコバエ

庭のアシガラサンショウの木の傍らに、高さ50cm程のサンショウの苗が生えているのを見つけました。その苗の土を退けてみると、アシガラサンショウの根から生えたヒコバエでした。サンショウのヒコバエはとても珍しい物で、私も初めて見ました。

蘖(ヒコバエ)

ヒコバエは樹木の栄養繁殖の一つで、3つの型が有ります。一つは樹木を根元近くで伐採した後の、切断面の周囲から芽吹いて大きな木になるものです。以前は薪炭用の雑木林の世代更新にこの方法が使われていました。根が全て残っているので、短期間で木を復元出来るからです。次の型は 木が大きくなって その根元付近の幹から芽吹くものです。これは何かの原因で 親木が枯れない限り、ヒコバエは大きくなれずに枯れてしまうのが普通です。もう一つの型は 大きな木の根から直接芽吹くもので、地表に盛り上がった根から出るのが普通で、これも元の木が枯れないと大きくなれません。また親株からかなり離れた場所の根から出たり、地表に出ていない根から出るものも有ります。

サンショウのヒコバエ

サンショウは大きな木になることが珍しいせいか、普通はヒコバエは出ない様です。私も今回見たのが初めてです。ただ 今までヒコバエに注目して観察していませんので、もしかしたら偶には出ているものも有ったのかも知れません。我が家のサンショウのヒコバエは、親木から15cmの所から出ていて、地表から1cm程の土の中の根から生える型です。土を除いて調べると、親株から伸びている根は 5㎜程の太さで、ヒコバエが出ている所から先の方が少し太くなっていて、 7,8㎜の太さです。

今後予想される形態

このヒコバエは、親株からの根を切り離して掘り出せば、苗木として使うことが出来ます。でもせっかく見つかったヒコバエなので、このまま大きくしたらどうなるのか観察することにしました。ただ親株からとても近い位置なので、競合してどうなるのか気になります。普通は親株に近いヒコバエは枯れてしまうのですが、サンショウは日陰にとても強い樹ですので 両立すると思います。根を見るとヒコバエから先の方が太くなっているので、もう親の養分に頼らなくても十分成長できます。

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太い木の側に直立した細い木がヒコバエです。

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根から左側に見えるのがヒコバエです。下方がヒコバエから先の根で、親木からの根より明らかに太くなっています。