エノキの種子

我が家の庭に一番多く生えてくる木はクスノキですが、次に多いのがエノキです。このエノキの種子の撒き散らし方が、他の樹木に見られない独特の方法ですので紹介しましょう。エノキの種子は、小枝の先の葉の付け根に1㎝ほどの柄の付いた5㎜ほどの球形のもので、3〜5個付いています。11月下旬から12月にかけて黄葉するのですが、葉が枯れても葉も実も落としません。エノキは風で種子を遠くへ運ぶタイプです。この方法を採る植物は沢山ありますが、皆んな種子に直接羽根や翼や綿毛を付けています。でもエノキの種子には、それらは何も付いていません。その代わりとして、枯れた葉を使っているのです。だから葉が枯れても、落とさずに枝に付けていたのです。また種子と葉が別れてしまわないように、その両方を小枝にしっかりと付けています。そして枝ごと一緒に風で飛んで行く様にしているのです。その為小枝の根元に分離層を設けて置き、強い風の吹くのを待って、強い風が吹いたら分離層から切り離して、飛んでいく様にしているのです。この分離層を設けて切り離す方式は、クスノキクヌギ等にも見られますが、本体を痛める事なく余分な物を落とす巧妙な方法なのです。エノキの近くを歩いた時には、周りの地面を探してみて下さい。種子と葉が付いた小枝が見つかると思います。

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