再生したヒメワサビ

虫に喰われて 枯れてしまったと思っていたヒメワサビが、気が付けば 初冬に再生していました。それを続けて観察していると、2月中旬になって 小さな白い花を付けていました。

f:id:tanemakijiisan:20240229210333j:image元の株より少し小さ目ですが 元気そうです。真っ黒で2cm程になるイモムシに 葉を全部喰われたらしく 株が弱った様ですが、根茎が残って 再生出来たのでしょう。この株が 前に栽培していた株の種子から出来たのであれば、株はもっと小さく 箱の周りにも 発芽苗が見られる筈ですが、その様な苗は見付からないので この株は種子から育ったのでは無いと思います。

ヒメワサビは ワサビよりも耐陰性が強い草で、他の草が 日当たりが悪く良く育たない様な場所でも、土壌に十分な湿気が有れば 気温が高くなっても、ひっそりと生き延びられるのでしょう。多分この草は 氷河期に分布を広げていたものが、温暖化が進んで 他の草が生息し難い今の様な場所に、離れ離れになって ひっそりと分布しているのではと思います。

ワサビについては 前にも書いていると思いますが、ワサビは とても変わった種子の散布法を採っています。株は 葉を地表に張り付く様に低く張り 草姿は低いのですが、花穂は無限花序で 異常に長く伸びるのです。果穂は自然に伸ばすと 1〜1.5mにもなります。この草は種子を 動物や鳥や風で運ばせたり、弾き飛ばすやり方の散布方法は採りません。この穂の長さを使って、少し離れた場所に鞘を持って行きそこに種子を落として 移動して行くのです。この方法は効率は悪いのですが、急斜面や崖を上に登る事が出来る利点が有ります。ただ この方法では 遠く離れた適地に 1回で移動し、分布を広げるのは無理です。昔は寒冷地が広く連続して分布していたのが、温暖になった今は 離れ離れに自生しているのでしょう。ヒメワサビは ワサビより草姿を小形にして、耐陰性を更に強くしています。ヒメワサビもワサビと同じ繁殖法を持っていますが、果穂の長さは 1m程と短い様です。

このヒメワサビの葉を噛んでみたのですが、何となくワサビの様な辛味と香りがします。このワサビの辛さは、虫に葉をかじられると 素早く株全体を辛くして、食害を防ぐ防御法を備えている様です。でも この黒いイモムシは その辛さを克服する方法を見つけて、ワサビを独り占めにしているのです。以前 ワサビをこのイモムシに 2度も葉を喰われて 再生しなかったので 、ワサビを畑で育てる “オカワサビ“ の栽培を諦めたのです。今度のヒメワサビは、頻繁にチェックして イモムシを駆除しようと思っています。