シロバナタンポポの春の花

今年の2月1日に 散歩道の道路脇で見かけた、寒中に頑張って咲いていたシロバナタンポポを 投稿しておきましたが、春にはどうなっているか 見に行って来ました。2株が 冬の時よりよりも ずっと元気に咲いていたので 安心しました。

f:id:tanemakijiisan:20240405180606j:image在来種のタンポポは 春にしか咲かないと聞いていたので、暖冬を春と間違えて咲いたら 春にはもう咲かないのか 気になっていました。でも やはり本当の春には 花を咲かせる様です。花が咲かなければ このタンポポは、草に紛れて 全く気付かないと思います。次回は 綿毛が付いている時を狙って、見に行ってみようと思ってます。上手くいけば 種播きと発根を観察出来ます。シロバナタンポポの種子を播いて 咲いた花を調べれば、色々な事が分かって来ます。

因みにシロナンテンの種子を播くと 白になる確率は 3割程度で、代を重ねると 白が出る確率が高くなって来ます。タンポポのシロバナの比率は、地域によって違いますが セイヨウタンポポも含め 当地では1~3%くらいでしょう。

 

 

 

3年目に発芽するヤマユリ

ヤマユリは遅発芽性で、種子を播いてから 2年目に発芽して来るのが普通です。現在進めている耐暑性の強いヤマユリを作り出す計画の中で、播いて3年目に発芽する株が纏まって出現しました。そのヤマユリは 耐暑性の強い株を作り出す為に、21年の初夏に 耐暑性の強い株同士を掛け合わせて 出来た種子で、1蒴約300粒を 1個のプランターに播きました。22年の春には 全く発芽せず、23年春には 100本程の1枚葉が出て来て、その年の秋に 10本程の1枚葉が出て来ました。今年は3年目になるので、去年の春に出た1枚葉が 一部茎立ちして来るのと、去年発芽しなかった残りの種子が 10本か 多くても20本程の1枚葉が出て来ると思っていました。ところが 去年と同じかそれを上回る程の1枚葉が出て来ました。3年目に こんな多くの1枚葉が発芽して来る現象を見たのは初めてです。

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でも何故突然この様な現象が起きたのでしょうか。私がその原因では無いかと思っているのは、気候の温暖化と種子の持つ強い耐暑性です。ヤマユリは 播いた次の年の夏に 高温で被覆が壊れて休眠が解除され、秋に発芽し 地中に小さな球根を作ります。普通はその次の年 即ち2年目の春に地上に1枚葉を出します。ただ 普通の耐暑性の弱いヤマユリは、暑さで種子や球根が腐ってしまうのですが、耐暑性の強い株は高温に耐えられますが その代わり多くが休眠してしまい、地上に1枚葉を出すのが 3年目になってしますのではと 推察しました。その推察の根拠になった現象は、本来秋には発芽しない筈なのに 去年の秋に10株近くが発芽している事です。秋に1株か2株の発芽であれば 株固有の現象とも考えられますが、10株もとなると集団が持つ形質としか考えられないからです。

この傾向は 里山で耐暑性を期待して種子を採取し、家で採取した物と比較用に播いておいた ヤマユリの種子にも現れています。このヤマユリの休眠期間の長期化については、来年種播き後 3年目になるプランターが、2個有りますので その結果を確認すれば よりはっきりして来ると思います。

ギョウジャニンニクの発芽

木や宿根草の種子の発芽は、親の芽出しの時期より早くなるのが普通です。普通の発芽苗は、まだ生き抜く力が弱いので 他の強い植物が葉を茂らせる前に、日照を稼いでおかなくてはなりません。ですから 種子は親株より先に、発芽しているのです。その株が大きくなるに従って、芽を出す時期は 遅くなって来るのです。殆どの草木が この様になっていますが、ギョウジャニンニクだけは 全く逆になっています。その理由は 多分この草が寒冷地の陽当たりの悪い場所に自生する為だと思います。

我が家では ギョウジャニンニクは、暖地のせいか 秋には地表に少しだけ芽が見えていて、2月初めには もうその芽が動き出します。でも 暖地で植えても 種子の発芽は 遅く、3月中旬から 4月初めにかけてになります。その頃 親株は もう既に 葉が5,6枚出て、そろそろ蕾が見える頃になっています。ギョウジャニンニクの発芽率は 自生地では、播く前に種子を流水処理をしても3割程と あまり良くない様です。私は 種子は採取して直ぐに播いていますが、発芽が遅いので 毎年播いた種子が 本当に発芽するかどうか、いつも気を揉みながら 発芽して来るのを見守っています。

f:id:tanemakijiisan:20240317181314j:image今年の 3月17日に 漸く発芽して来た最初の株です。ギョウジャニンニクの繁殖法には、他の植物ではあまり観られない 根の途中に 木子を作る方法がありますが、この木子も親株よりずっと遅れて芽を出します。

f:id:tanemakijiisan:20240328214841j:image親株の右側の細い新芽が、木子の芽です。

ギョウジャニンニクは 成長がとても遅い草で、最初の年は この細い筋の様な葉が 1枚出るだけです。次の年には 葉が2枚出て、その次の年には 葉が3枚から4枚になります。でも これを暖地で栽培すると、自生地の寒冷地で 7,8年掛かるところを 5,6年で成長します。暖地では 葉の活動期間が、寒冷地のそれより 2ヶ月以上長いからでしょう。ただ 暖地では あまり馴染みの無い山菜なので、暖地で栽培している人は 殆ど居ない様です。

除草作業中の間違い

3月中旬になると 庭の鉢や苗床に、沢山の雑草や雑木が 勝手に生えて来ます。邪魔な草木は 発芽して来た時に抜き取るのが、栽培している草木に 最も被害が少なく 且つ楽な方法です。その為に 用土の表面に小枝のチップを敷き詰めて置くと、雑草の芽が出て来た時 チップを退けると、その芽を摘み易く 引き抜き易くなります。

毎年この時期になると、雑草や雑木と間違えて 種播きした草木を 引き抜いてしまう事故が起きます。我が家で 最も間違い易い発芽は、ヤマユリツユクサです。ツユクサの種子が ヤマユリの種播き箱に入り込む事は、時折起こる事なのです。でも 苗箱の中のツユクサは 予想している事なので、幾ら姿が良く似ていても 良く見れば 区別は付きます。今年こそ間違わない様にと注意しながら 雑草を取り除いていたのですが、また ヤマユリの発芽苗を ツユクサと間違えて、2本も引き抜いてしまいました。この間違えが起きたのには、それなりの訳が有るのです。そのヤマユリの発芽していた場所が、ヤマユリの種播き箱ではなかったのです。その発芽して来た場所は、ボタンやサンショウやギョウジャニンニクの箱や鉢の中だったのです。そんな所に ヤマユリの種子を播く事は絶対に有りません。このヤマユリの種子が 風によって自然に播かれたのは、多分 3年前だと思います。最近の温暖化の影響か 3年目に発芽する種子が多くなっているのです。ボタンの苗床の雑草を取っていた時、全くヤマユリが発芽している事は 予想出来なかったので、生えている芽をツユクサと決めてかかって 引き抜いたら、その葉の下にゴマ粒程の小さな球根が付いていたので、ヤマユリの発芽苗だと分かりました。その後 今度は サンショウの鉢の雑草を取り除いていた時、また 葉の下に小さな球根が付いていたので、二度びっくりしました。これらの箱や鉢の置かれていた場所は、ヤマユリの植えてあった場所から 数m以内の場所でした。そこで 近くに在るギョウジャニンニクの箱についても 注意深く丁寧に調べて見ると、その中に2本もヤマユリと見られる発芽苗を見付けました。ツユクサの1枚葉の根元は 巻き込む様になっていますが、ヤマユリの葉の根元は 平らになっています。

f:id:tanemakijiisan:20240317165201j:imageギョウジャニンニクの箱の中に発芽したヤマユリです。ツユクサの発芽苗は、引き抜いて見ると 種子から発芽した細いスジが、1枚葉の茎に付いているので 区別が出来ます。それを引き抜いて横にして置いてあるのが ツユクサで、中央に在る方が ヤマユリの1枚葉の発芽苗です。念の為 ヤマユリの1枚葉の その後の草姿を確認する為に、ヤマユリの苗の両側に 竹串を差して置きました。ヤマユリであれば ほぼそのままの草姿で、ツユクサであれば 次々と新たな葉を出して来ます。

十数年前に 庭の鉢に生えて来たヤマユリを育ててみると、強い耐暑性を持った株だった経験が有りました。それが偶々 幸運にも強い耐暑性を持った株だったと思ったのですが、それは逆で 強い耐暑性を持っていたからこそ 生き残れたのでしょう。ですから これらの株も生き残れば、耐暑性の強い株になる可能性が高いので、除草と言えども気を抜かずにやらないと、折角の幸運を逃してしまう事になります。

このヤマユリの苗は 用土の構造が、ユリに適した構造と違いますので、上手く育ってくれるか分かりません。もし 消えずに少し大きくなって来たら、ユリ専用の炭の鉢に植え替えて その形質を確認してみようと思います。ただ それが分かるには もう5年くらいはかかるでしょう。

忘れた頃に実を付けた柑橘の果実の評価 1回目

去年の11月1日に「忘れた頃に実を付けた柑橘」と投稿した実生の木は、果実が黄色く色付くと それ迄枝の中で緑色で 気付かなかった実が 更に5個見付かり、全部で7個稔っている事が分かりました。今年は 柑橘類全般に大豊作になっていますので、この株もその影響を受けて 実生にしては早く実を付けたのではと思います。3月4日に その中の1個が 落ちましたので、拾って良く見ると 一部が傷ついて 小さい穴が開き、4分の1程が柔らかくなって 腐り始めていました。虫に喰われた様子も無いので、側の大きなトゲが 実に刺さって傷付いたのでしょう。実が熟して落ちたのでは無い事が分かりました。植物としては 種子が発芽能力を持っていれば 熟したと言えるのですが、ただ 果物としては 味覚的に完熟していると言うには まだ早い様に感じます。

果実の大きさは 夏蜜柑くらいで、形は 先端が夏蜜柑と同様に平らで 根元の方が夏蜜柑より少し尖っています。皮の硬さは 夏蜜柑より少し柔らかで薄く、何とか素手で剥けるくらいでした。この落ちた実では 味覚の評価は出来ないと思いましたが、食べずに捨ててしまうのは 勿体無いので、取り敢えず どんな味がする実なのか、傷んでいない4分の3を食べてみました。

食べてみて 分かった点は次の通りです。

・酸味は 殆ど感じなかった。甘夏よりも酸味は少ない様に感じた。

・味に特徴が無い(コクが無い)様に感じた。ただ ハッサクよりは 有る様に感じた。

・苦味や渋味やエグ味等の食べ難い味は無かった。

・味に未熟さは 無かった。

・水分や歯触りは 適度であった。

・後味がさっぱりしている様に感じた。

・種子の数と大きさは 夏蜜柑と同じくらいだった。

意外だったのは 実生の果物としては 味に致命的な欠陥が無く、全く抵抗無く食べられる事でした。また この時期でも既に未熟感が無い事も意外でしたが、この未熟感が無いのは 一部が傷んで 追熟機能が働いた為とも考えられます。そこで 翌日にもう1個採取して食べて この点を確認してみました。成っている実の内 最も未熟に見える物を選んで、1個採取しました。もし その実が もう食べられる物であれば、他の実も全て食べられると判定出来るからです。

f:id:tanemakijiisan:20240305150439j:imagef:id:tanemakijiisan:20240305150458j:image後に採取した方の実です。その味については、先に食べた傷んだ物に比べると、味にまだ少し未熟感が感じられる事を除けば、先に食べた実と同じでした。やはり前の実は 痛んだ為に 少し追熟していたのでしょう、4月まで収穫を待てば この未熟さは消えると思いますので、最終の評価は 4月にもう一度残りを食べて 確認してみようと思います。多分この蜜柑の収穫期は4月で、その時には 味にもう少し甘味が出て来るかも知れません。でも 3月に収穫しても 暫く保管してから食べるのであれば、未熟感も消え 食べ頃になっていると思います。

現時点での果実としての評価は、総合的に見て 果物としての商品価値が、辛うじて有る様に思えます。果物の実生は過去に色々やりましたが、今回の様な まともな実が出来たのは 実生の生産木の多いウメだけで、後は全て物になる株は出来ませんでした。今回は 宝くじで 1等1億円とは行きませんが、ちょっとした額の賞金を当てた気分で 何かとても嬉しくなりました。欲を言えば 味にもう少し甘味とコクが有れば、申し分無いのですが 4月にそうなっている事を期待します。

最終では有りませんが この様な評価が出ましたので、早速この木の トゲ外しを 暇を見て 少しづつする事にしました。今迄は 実の事を考えていなかったので、通路に面した枝のトゲだけを取り除いていました。これからは この木の色々な場所の実を収穫する事を考えて、作業の安全の為に 出来る限りのトゲを取り除いておかなくてはなりません。トゲは一度全部を取り除いておけば、その次の年からは 新しく伸びた枝のトゲだけを取れば済みます。柑橘類の大きいトゲは、長さはそれ以上伸びませんが 年と共に太って丈夫になって来るので、そのまま付けて置くと 作業の時 刺されて 大怪我をしてしまいます。実生株は この傾向が特に強く、過去にナツミカンの実生株で 15cmを超える長さの大きなトゲが現れた経験が有りました。この株は それ程大きなトゲは無さそうです。

もし この蜜柑が本当に商品価値の有る物であれば、この株をこの蜜柑の原木として保存し 増殖をしておこうと考えています。そこで 適期ではありませんが、挿し木をしておく事にしました。株の中心部に 2m程に伸びて 小枝を付けた徒長枝が有ったので、それを切り取って 挿し穂を20本作りました。上手く行けば 新芽の時期に間に合います。挿し木の成否は、活着率が5割と考えていますが、もし駄目ならば 6月の新葉が固まった頃に、もう一度挿し木をしてみます。

生産木を作るのであれば 接木で苗木を作るのが一般的で 問題も無いのですが、原木の保存株を作るのであれば 可能な限り挿し木で苗木を作るのが良いのです。接木は理論的には 台木の形質は 穂木が育った木には移らない事になっていますが、現実には 台木の形質が穂木の形質に入り込んでしまう現象が起こる事が有るのです。私は以前ウメの接木で、その事象を実際に経験しました。もし 台木に都合の悪い形質が有り それが混ざってしまえば、原木の良い形質を 忠実に保存する事は出来ません。

この時期に 挿し木してみれば、この木の挿し木の難易度が判明します。4月に残りの実を試食した際に、その味と挿し木の結果を また投稿します。

 

小さい春の進み具合

今年は3月に入って厳しい寒さの振り返しがあったせいか、2月迄は順調か少し早めだった発芽や新芽の成長が、ここに来て遅れてしまいました。芽出しが2月始めだったギョウジャニンニクは今回の寒波の影響は分かりませんが、ヤマシャクヤクヤマユリやボタンやサンショウは、1週間くらい遅れている様に思います。

f:id:tanemakijiisan:20240313100150j:image23年3月13日の様子。

f:id:tanemakijiisan:20240313100429j:image24年3月12日の様子。

デワノヤマシャクヤクが、比較出来る同じ苗床の写真が有りましたので 見比べて見て下さい。

 

 

 

再生したヒメワサビ

虫に喰われて 枯れてしまったと思っていたヒメワサビが、気が付けば 初冬に再生していました。それを続けて観察していると、2月中旬になって 小さな白い花を付けていました。

f:id:tanemakijiisan:20240229210333j:image元の株より少し小さ目ですが 元気そうです。真っ黒で2cm程になるイモムシに 葉を全部喰われたらしく 株が弱った様ですが、根茎が残って 再生出来たのでしょう。この株が 前に栽培していた株の種子から出来たのであれば、株はもっと小さく 箱の周りにも 発芽苗が見られる筈ですが、その様な苗は見付からないので この株は種子から育ったのでは無いと思います。

ヒメワサビは ワサビよりも耐陰性が強い草で、他の草が 日当たりが悪く良く育たない様な場所でも、土壌に十分な湿気が有れば 気温が高くなっても、ひっそりと生き延びられるのでしょう。多分この草は 氷河期に分布を広げていたものが、温暖化が進んで 他の草が生息し難い今の様な場所に、離れ離れになって ひっそりと分布しているのではと思います。

ワサビについては 前にも書いていると思いますが、ワサビは とても変わった種子の散布法を採っています。株は 葉を地表に張り付く様に低く張り 草姿は低いのですが、花穂は無限花序で 異常に長く伸びるのです。果穂は自然に伸ばすと 1〜1.5mにもなります。この草は種子を 動物や鳥や風で運ばせたり、弾き飛ばすやり方の散布方法は採りません。この穂の長さを使って、少し離れた場所に鞘を持って行きそこに種子を落として 移動して行くのです。この方法は効率は悪いのですが、急斜面や崖を上に登る事が出来る利点が有ります。ただ この方法では 遠く離れた適地に 1回で移動し、分布を広げるのは無理です。昔は寒冷地が広く連続して分布していたのが、温暖になった今は 離れ離れに自生しているのでしょう。ヒメワサビは ワサビより草姿を小形にして、耐陰性を更に強くしています。ヒメワサビもワサビと同じ繁殖法を持っていますが、果穂の長さは 1m程と短い様です。

このヒメワサビの葉を噛んでみたのですが、何となくワサビの様な辛味と香りがします。このワサビの辛さは、虫に葉をかじられると 素早く株全体を辛くして、食害を防ぐ防御法を備えている様です。でも この黒いイモムシは その辛さを克服する方法を見つけて、ワサビを独り占めにしているのです。以前 ワサビをこのイモムシに 2度も葉を喰われて 再生しなかったので 、ワサビを畑で育てる “オカワサビ“ の栽培を諦めたのです。今度のヒメワサビは、頻繁にチェックして イモムシを駆除しようと思っています。