セイタカヤマシャクヤクの開花

ヤマシャクヤクから遅れること一月半ほど経った5月中旬に、やっと比較用に植えたセイタカヤマシャクヤクが咲きました。

この株の栽培目的

7年前の秋に取り残してしまったセイタカヤマシャクヤクの実が1個有り、他の種子は既に蒔き終わっていたので、ヤマシャクヤクの箱の中に蒔いておきました。セイタカヤマシャクヤクヤマシャクヤクとは別種の植物なのですが、殆どの園芸書等では赤い花が咲くヤマシャクヤクの変種としています。でもこれはヤマシャクヤクの変種ではなく、ヤマシャクヤクとは別種の植物なのです。それをよりはっきり見せる為に、ヤマシャクヤクの中で栽培してみたのです。今年初めての花が咲きましたが、この様に一緒に植えてみるとその違いは一目瞭然です。発芽するのはヤマシャクヤクは秋に蒔いて翌春ですが、セイタカヤマシャクヤクは秋に蒔いて翌々年の春で2年目になります。その翌年からの芽出しはだんだん遅くなり、今年はヤマシャクヤクが花を咲かせている4月初めにやっと芽を出して来ました。4月末になるとヤマシャクヤクの倍の高さに葉を広げて来ます。5月上旬にはヤマシャクヤクの2倍近くの葉になっています。実はヤマシャクヤクは7月に熟しますが、セイタカヤマシャクヤクは9月に熟します。葉はヤマシャクヤクは7月末には枯れますが、セイタカヤマシャクヤクの方は10月末まで枯れません。本来セイタカヤマシャクヤクヤマシャクヤクより深い所に根を張ります。ヤマシャクヤク用の浅い箱に植えると、弱い水不足でも直ぐに枯れてしまいます。

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右端の背の高いのがセイタカヤマシャクヤクです。

 

種の比較方法

現在の植物の種が別種かを判定する際は、その種の形質等を従来種と比較しますが、それぞれの自生地での形質を使います。でもその中には自生地の環境によるものが含まれています。つまり同じ種であるが、自生する場所の環境が大きく異なると、その形質も大きく異なる場合があり、別種と判断されてしまいます。その逆も有ります。これを防ぐ為には、比較する植物をできる限り同じ場所で、発芽から種子の出来るまで栽培して調べる事が是非必要です。

このセイタカヤマシャクヤクも同じ環境で栽培してみると、いろいろな形質で明らかに異なっている事が分かります。ヤマシャクヤクとは自生地が全く違いますが、自生地の環境による違いでは無い事が良く分かります。

この標準地を定めて比較栽培する方法は、扱う植物についてその性質をよく理解して、その栽培法を習得していなければ、適用する事は出来ません。多分栽培法まではよくわからないし、種蒔きから種子の採取まで長い時間がかかると言う理由で、殆ど採用される事が無いのでしょう。

 

次回はナンテンの開花を紹介します。